shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

松原みきのシングル盤特集②

2021-08-22 | J-Rock/Pop

⑤倖せにボンソワール
 最近の世間の音楽の聴き方はダウンロードが主流らしいが、私にとってはジャケットのない音源など問題外で、サブスクとか言われても全く食指が動かない。私はレコードで育った世代なので、音楽は “ジャケットを見ながら聴く” というのが当然であり、視覚との相乗効果によって中身の音楽がより一層魅力的に聞こえるという聴き方が骨の髄まで沁みついているのだ。このレコードなんかその最たる例で、ジャケット写真は数ある松原みきのシングル盤の中でも三指に入るのではないか。そして何よりも凄いのは、このアンニュイなムード横溢のジャケット写真が中身の音楽を見事に体現していることで、実際に聴いてみるとそのオシャレで洗練されたメロウな曲想とジャケット写真が見事にマッチしていることに驚かされる。“ジャケットを聴く” 極上のシティ・ポップとして忘れられない1枚だ。
Miki Matsubara (松原みき) - 倖せにボンソワール


⑥Jazzy Night
 繰り返すがレコードはジャケットだ。これに関してはCDが何ビットになろうがハイレゾの周波数がいくらになろうがアナログ・レコードの敵ではない。松原みきに関して言えば彼女の全シングル盤ジャケット写真の中で私の一番のお気に入りがこの「Jazzy Night」だ。彼女の素朴な人柄が伝わってくる笑顔はまさにpriceless!! 曲の方は「真夜中のドア」と同じ三浦徳子&林哲司のペアが書いたマイナー調のアッパー・チューンだが、どんなタイプの曲でも歌いこなしてしまう彼女の良さが最も際立つのはやっぱりこの手の曲やなぁと確信させられる名曲名唱だ。バックの演奏もキレッキレで、彼女のアグレッシヴなヴォーカルと相まって圧倒的な疾走感を生み出している。サビの“何もかも... ケセラ セェラァ~♪” の歌い回しがたまらなく好きだ。尚、このシングル・ヴァージョンは元々2ndアルバムに入っていた同曲を新たに録り直したもので、歌も演奏もよりタイトでシャープになっている。
Miki Matsubara JAZZY NIGHT


⑦ガンモ・ドキッ
 私はビートルズの「赤盤」と「青盤」から音楽を聴き始めたせいか、他のアーティストのキャリアも “前期” と “後期” に分けて考える癖がある。松原みきの場合は前期の作品が “都会的な歌謡ポップス” なのに対し、後期は “フュージョン色の濃いAOR” という感じで彼女の歌よりもサウンド・コンセプトに比重が置かれている印象が強く、フュージョン嫌いの私はイマイチ好きになれない。しかしそんな後期の作品の中でも彼女が歌ったアニメ主題歌だけは例外で(←当然フュージョン色は皆無!)、「GU GU ガンモ」の主題歌「ガンモ・ドキッ」ではラッツ&スターの「め組のひと」と中原めいこの「君たちキウイパパイヤマンゴーだね」をかき混ぜて田原俊彦の「チャールストンにはまだ早い」をひとつまみ振りかけたようなキャッチーなメロディーをキュートに歌っており、何度聴いてもウキウキワクワクさせてくれる。やっぱり松原みきはこうでなくっちゃ!!! B面の「ヒョコポン関係」もA面に勝るとも劣らないポップ・チューンで、小泉今日子の名盤「ナツメロ」を濃縮還元したような親しみやすいメロディーに耳が吸い付く。とにかくA面B面共にただのアニソンとしてスルーするには勿体ないキラー・チューンだ。尚、このレコードは「スージー松原」名義でリリースされているが、これは登場人物の名前(がんもどき、はんぺん、つくね)に引っ掛けておでんネタの“すじ”をもじったもので、そのあたりのユーモアのセンスも大阪出身の彼女らしいコテコテぶりだ。
Gu Gu ガンモ OP/ED


⑧サファリ・アイズ
 私はアニメ映画には全く興味が無いのでこの「サファリ・アイズ」がオープニング曲になっている「ダーティ・ペア」という作品は観たことがないが、この曲自体は結構好き。エキゾチックなムード溢れるイントロに導かれ、80年代の王道を行くダンサブルなシンセ・サウンドをバックにまるで杏里が憑依したかのような(笑)伸びやかな歌声を聴かせる彼女のバーサタイルでフレキシブルなヴォーカルに唸ってしまう。この人、ホンマにシンガーとしての引き出しが多いわ... (≧▽≦) B面曲の「パ・ド・ドゥ」は同じ映画のエンディング曲で、当時ブレイクしていたジャネット・ジャクソンへのオマージュっぽいサウンドがこれまた時代を感じさせるが、変拍子を使ったダンサブルな曲調が妙に印象に残るナンバーだ。
ダーティペア劇場版 オープニング曲「サファリアイズ-Safari Eyes」(松原みき)
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