shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「朝日のあたる家」特集

2010-01-12 | Cover Songs
 「朝日のあたる家」はアメリカのトラディショナル・フォーク・ブルースで、様々なアーティストによって取り上げられているが、私が初めてこの曲を聴いたのはもちろんアニマルズのヴァージョンだった。そう、「朝日のあたる家」といえば何はさておきアニマルズなんである。この歌には何種類か歌詞が存在することを当時の私は全く知らず、アニマルズ・ヴァージョンの歌詞が “多くの貧しい少年達の堕落の場所” となっていたので私はてっきり少年刑務所の歌だと思っていた。
 その後かなり経ってから、この曲の歌詞は元々 boys ではなく girls で、娼婦に身を落とした女性が自らの半生を懺悔する歌だったと知った。本当は “朝日があたる” 家ではなく、“朝日楼” という名の売春宿のことだったのだ。そう考えると後半部の “私のようになってはいけない... 人生を罪悪と哀しみで汚して... 朝日楼の中で” という歌詞がよりリアルに響いてくる。とてもじゃないがヒット曲云々の世界ではない。
 大晦日に見たちあきなおみのBS特番で最もインパクトが強かったのが、彼女が瞬き一つせずに歌うこの「朝日のあたる家(朝日楼)」だった。女の情念を見事なまでに表現したそのヴォーカルはまさに鳥肌モノ。私は1年365日音楽漬けの生活を送っているが、これほど凄まじい吸引力を持ったヴォーカルに出会った記憶がない。凄い、いや、凄すぎる... 日本にこんなソウルフルなシンガーがいたなんて... (゜o゜) この曲で私は完全にちあきなおみにハマッてしまったのだ。ということで今日は手持ち盤の中からオススメの「朝日」をご紹介:

①Animals
 彼ら以前にもジョーン・バエズやボブ・ディランがこの曲を歌っていたが、ロック/ポップスの世界でこの曲を一躍有名にしたのはアニマルズである。オルガンを効果的に使ったR&B色の濃いプレイがインパクト大で、3週連続全米№1も当然だろう。
The Animals - House of the Rising Sun (1964) High Definition [HD]


②ちあきなおみ
 いきなり第一声の “あたぁ~しがぁ~♪” で一気に彼女の世界に魅き込まれ、その後はもう画面から目を逸らすことができない。浅川マキが訳して歌った「朝日楼」をこれほどまでにドラマチックに表現するとは... (≧▽≦)  声の高低、強弱を自在にコントロールし、フッと声を止め、囁くように歌うなど、 “間の芸術” を活かした細やかな感情表現が絶品だ。魂で歌うシンガー、ちあきなおみの最高傑作!!!
朝日楼(朝日の当たる家) ちあきなおみ the house of the rising sun chiaki naomi


③Klaus Weiss Trio
 この曲のジャズ・ヴァージョンで一番好きなのがコレ。グルーヴィーなピアノに力強いベースが絡んでいくという、ピアノトリオ・ジャズの理想的な展開が楽しめる。ebay でこの曲の入ったアルバム「グリーンスリーヴス」のオリジナル盤を手に入れた時は嬉しくてたまらなかった(^o^)丿
クラウス・ワイス・トリオ


④Marie Laforeit
 マリー・ラフォレがトツトツと歌うこのヴァージョン、私はなぜか粉雪舞い散る極寒のシベリアを連想してしまうのだが、えもいわれぬ哀愁がそこはかとなく漂ってきて思わず聴き入ってしまう。彼女にしか出せないこの独特のムードがたまらない。
マリー・ラフォレ


⑤Ventures
 ベンチャーズはこの曲をアルバム「ウォーク・ドント・ラン64」で取り上げているが、やはり決定版は「ライブ・イン・ジャパン」だろう。インスト・ロックの生命線と言うべきメロディー・アレンジの巧さは傑出しており、数多い “テケテケ朝日” の中でも断トツの素晴らしさだ。
The Ventures - The House Of The Rising Sun

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