shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

SWドラマ「オビ=ワン・ケノービ」最終回の衝撃

2022-06-28 | Star Wars
 大のスター・ウォーズ・ファンである私は先月から配信がスタートした新作ドラマ「オビ=ワン・ケノービ」をめっちゃ楽しみにしていた。オビワンと言えば SW の中でも私が特に好きなプリクエル(ep1~3)の中心人物であり、敵側にダース・ベイダーやパルパティーンといったこれ以上ないくらい濃いメンツが揃っていることもあって、あのSF史に残る傑作「マンダロリアン」を超える神作品になる可能性すら持っていると思っていた。しかし実際に始まってみると、“え? 何これ?” という肩透かし・期待ハズレ感がハンパなく、“せっかくのオビワンのドラマやのにあんまりおもろないなぁ... ネズミーが作ったスター・ウォーズって「マンダロリアン」と「ローグ・ワン」を除けばホンマにロクなモンがないやんけ...” と最初のうちはテンションだだ下がりで観ていた。
 私がこのドラマに期待したのは主人公オビワンと宿敵ベイダーの絡みを中心に緊張感溢れる物語が展開することだったが(→たぶん多くのスター・ウォーズ・ファンもそうだったと思う)、いざフタを開けてみると第1話~第3話あたりまでストーリー展開のテンポが非常に悪くてダラダラと緊張感の無いシーンが続いたし、ネズミーによるポリコレゴリ押しっぽい新キャラのリーヴァの立ち位置も中途半端で、その存在がストーリー展開の邪魔になっていた。配信ドラマということで予算が少なかったのはわかるが、オビワンとベイダーというSW史上屈指の人気キャラのドラマを作る以上はもうちょっとマシな脚本家を雇って実力派監督に撮らせるべきだったのではないか。なぜ「マンダロリアン」で大成功を収めたジョン・ファブロー&デイヴ・フィローニを採用しなかったのか不思議でならない。
 しかしこの「オビ=ワン・ケノービ」にはそういった諸々の欠点を補って軽くお釣りがくるほど魅力的な要素がある。そう、オビワン役でユアン・マクレガーが、ベイダー役でヘイデン・クリステンセンが出ているのだ。プリクエル大好き人間の私にとってはこの2人の共演が見れるだけでも涙ちょちょぎれるのだが、彼らがその圧倒的な存在感と迫真の演技で上記の不満を忘れさせてくれたのだ。まずは第5話、ベイダーが回想する場面でオビワンとアナキンが闘っているシーンが出てくるが、ep2 を想わせる短髪アナキンとオビワンの絡みを見れただけでファンとしては胸熱なんである。
Full EDITED Obi-Wan Kenobi VS Padawan Anakin Skywalker Training Duel


 そして最終回でいよいよ待ちに待ったオビワンvsベイダーの闘いが始まる。SW 史上最高のデュエルとの誉れも高いあのムスタファーの闘い以来の(←第3話でベイダーが一方的にボコってオビワンに焼き土下座させたのは “闘い” とは言わんでしょ?)因縁対決だ。カメラワークが下手くそで、手ブレがひどくて見にくいのが残念だが、これこそまさにファンが見たかったライトセイバー・デュエルである。この血湧き肉躍る殺陣をどれほど待ち望んだことか... ムスタファ―の時と一言一句同じ “I will do what I must 私は義務を果たす。" と言って “ソレス” の構えをするオビワンに対し、ベイダーがあの時の “You will try. 果たせるかな?” ではなく “Then you will die. では死ぬしかない。” と「反乱者たち」でアソーカに言ったのと同じセリフで返すところなんかもうゾクゾクした。
 闘いの前半こそ “地の利” 返し→生き埋めと、ベイダーのパワー殺法に押され気味だったオビワンだが、岩の下敷きから復活した後半では別人のようにアグレッシヴに攻めまくる。それまで見せたことがなかった超攻撃型の “ドジェムソ” (←アナキンの得意ムーヴだ!)でベイダーを圧倒し、更にダース・シディアスを彷彿とさせる “ジュヨ―” の刺突まで繰り出して一気に形勢逆転! ベイダーの胸の生命維持装置をセイバーの柄でガンガン突きまくるわ、背中をバッサリ切りつけるわ、とにかくあのベイダーをボッコボコにしたのにはビックリ...(゜o゜) ベイダーの苦しそうなキュルル...キュルル... という呼吸音を聞くのは ep6 以来か。このオビワン怒涛の猛ラッシュには思わず身を乗り出して声を上げてしまうほどコーフンした...(≧▽≦)
 ただ、一つだけ残念だったのは、ep8 のレイみたいに大量の岩を浮かせてベイダーに向けて飛ばしまくるシーンで(←“地の利ポーズ” はギャグか何かのつもりなんか?)、それまでワクワクしながら観ていた私はここで一気にテンションが急降下(>_<) これではまるで羅将ハン vs ケンシロウではないか! ネズミーになってからのスター・ウォーズでフォースがただの “異次元魔法” になってしまっているのが残念でならない。それにしても監督選びの失敗にポリコレゴリ押しキャラのねじ込み、そして魔法みたいなフォースと、ep8と全く同じミスを繰り返しているところがアホすぎる。ネズミーってホンマにクソやわ。
 まぁそれはそれとして、オビワンの猛攻撃で顔面左半分がパックリ割れたベイダーのマスクの下から覗くアナキンのギラついた目がむき出しになるシーンでは思わず「反乱者たち」のベイダーvsアソーカを思い出したが、実写ヘイデンの怪演が凄すぎて、背筋が凍りつくような強烈なインパクトがあった。
 そしてそこからの2人の対話のシーンこそがこのドラマ最大のハイライト。 “I'm not your failure. You didn't kill Anakin Skywalker.... I did. 私はオマエの失敗作ではない。ヤツを殺したのはオマエではない... この私が殺したのだ。” と言うベイダーの言葉は、アナキンの人格部分が遠回しに “僕がこんな風に闇落ちしてしまったのはアナタのせいじゃないからもうこれ以上苦しむ必要はないんですよ、マスター...” とオビワンを自責の念から解放してあげようとして言っているように思えた。
 それを聞いて “Then my friend is truly dead. 我が友は完全に死んだようだ。”(←ep6 でルークが言った Then my father is truly dead. を巧く使ってる...)と、ついにアナキンへの想いを断ち切り、トドメも刺さずに “Goodbye, Darth. さらばだ、シスの暗黒卿よ。" と言ってその場を立ち去るオビワン。“アナキン” でも “ベイダー” でもなく、ただの “ダース”(暗黒卿)と呼んでいるところにオビワンの吹っ切れた心情が読み取れた。そう言えば ep4 でもオビワンはベイダーに “ダース!” と言ってたなぁ...
 とまぁこのようにセリフの一つ一つに深い意味が込められていて非常に感慨深いものがあったが、それに加えて、アナキンの肉声と変成器を通したベイダーの声とを切り替えながら、顔に当たるセイバーの光の色によってその内に潜むベイダーとアナキンという2つの人格の間を行き来する微妙な揺らぎを見事に表現した演出には唸ってしまった。決闘シーンを撮らせたら素人以下のデボラ・チョウ監督だが、こういうきめ細かい心情描写は抜群に上手いなぁと感心した。
Darth Vader vs Obi-Wan Kenobi | Full Final Fight | HD


 ユアン・マクレガーとヘイデン・クリステンセン以外ではクワイガン役のリーアム・ニーソンが見れたのに大感激(←どんだけプリクエル好きやねん...)。安っぽいコスプレみたいな尋問官を出す暇があったらもっとクワイガンをフィーチャーして欲しかったというのが正直なところ。それと、レイア役のヴィヴィアンちゃんの演技も特筆モノの素晴らしさだった。オーウェンの “You want to meet him? 話していくか?” も良かったし、オビワンからルークへの “Hello there.” はやっぱりきたか...(笑)という感じでニヤリとさせてもらった。
 このようにシリーズ前半はイマイチながら、最終2話はファンサ要素満載で一気に盛り返した感のあるこの「オビワン・ケノービ」、ラスト2話をファブロー&フィローニで映画化すればベストだったと思うが、少なくともシークエル三部作の中ではまだマシな方だった ep7 や ep9 よりは遥かに楽しめた。

【おまけ】ファンが求めていた物が何なのかが一目でわかる動画がこれ↓。かったるい追いかけっこや隠れんぼなんて見たくないんだよ。
EMOTIONAL FINALE OF "OBI-WAN KENOBI EPISODE 6" REACTION VIDEO
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