70年代半ばの日本の洋楽シーンにおいて、ソロの女性シンガーといえばオリビア・ニュートン・ジョンとリンダ・ロンシュタットだった。もちろん他にも多くの女性シンガーがいたはずだが、私が目にした音楽雑誌や耳にしたラジオ番組ではこの二人が突出していたように思う。私はもちろん二人とも大好きで、「カントリー・ロード」のような親しみやすい正統派ポップスが得意なオリビアに対し、ウエスト・コーストの男共を従えてロック色の濃いサウンドをベースに過去の名曲たちを次々とカヴァーしていくリンダ、という風に捉えていた。
そんなリンダの愛聴盤の中でも特にレコードが擦り切れるくらい聴いたのがこのシンプル・ドリームズである。全10曲で、ロック色の濃いノリの良いナンバーとカントリー色の濃いスロー・ナンバーがバランス良く収められており、私は特に前者の「ロックなリンダ」が大好きだ。まずは何といっても冒頭の①「イッツ・ソー・イージー」が素晴らしい。彼女は前作でもバディ・ホリーの「ザットル・ビー・ザ・デイ」をカヴァーしており、今回も彼の名曲を取り上げ絶妙なテンポ設定で自分の色に染め上げる温故知新のチカラワザ路線は健在で、抜群のノリでぐいぐい音楽を引っ張っていく。彼女の自信に満ちたヴォーカルは一糸乱れぬバックのサウンドと有機的に結びつき、これぞウエスト・コースト・ロック!といえるヴァージョンに仕上がっている。「ソゥイズィ、ソゥイズィ、ソゥイズィ、ソゥイズィ...♪」と呪文のように繰り返すコーラス・ハーモニーが耳に残るナンバーだ。
⑦「プアー・プアー・ピティフル・ミー」はシンプル・イズ・ベストを絵に描いたようなミディアム・テンポのストレートなロック曲で、彼女の張りのある力強い歌声がたまらない。歯切れの良いギターや弾けるようなシンセ・ドラムがこの曲に更なるドライヴ感を与え、彼女の隠れ名曲の筆頭に挙げたい快演になっている。歌詞の「ヨコ ハァマ!」の部分が何故か大好きだ(笑) ストーンズのカヴァー⑨「タンブリング・ダイス」は最初曲目を見た時に「え?リンダがストーンズ?」とミスマッチのように思ったが、実際に聴いてみるとリンダのパンチの効いたヴォーカルがこれまたネチこいバックの演奏と渾然一体となってグルーヴィーなノリを生み出してストーンズの難曲を見事に歌いこなしており、改めて彼女の選曲眼の正しさに感心してしまう。
しっとり系ではロイ・オービソンのカヴァー⑥「ブルー・バイユー」が彼女がただの“ウエスト・コーストのじゃじゃ馬娘”ではなくスロー・バラッドを歌わせても超一流であることを如実に示す名唱だ。ゆったりとしたカントリー・タッチで南国のムードが漂う中、溢れ出るような情感をコントロールしながらしっとりと歌い上げるリンダが実にチャーミングだ。トラディショナル・ソングの⑤「花嫁にはなれない」はドリー・パートンをゲスト・ヴォーカルに迎え、どこかやるせないムードを巧く演出しながら心温まるデュエットを聴かせてくれる。
この後彼女は同じ路線でもう1枚「リヴィング・イン・ザ・USA」を出すのだが、この頃が彼女が最も輝いていたように思う。確かに80年代に入ってからのネルソン・リドルとのスタンダード・ジャズ3部作は大成功を収めたが、私にはやはりこの頃の「土の薫りのするウエスト・コースト・ロック」路線のリンダが最高なのだ。
Linda Ronstadt - It's So Easy (LIVE)
そんなリンダの愛聴盤の中でも特にレコードが擦り切れるくらい聴いたのがこのシンプル・ドリームズである。全10曲で、ロック色の濃いノリの良いナンバーとカントリー色の濃いスロー・ナンバーがバランス良く収められており、私は特に前者の「ロックなリンダ」が大好きだ。まずは何といっても冒頭の①「イッツ・ソー・イージー」が素晴らしい。彼女は前作でもバディ・ホリーの「ザットル・ビー・ザ・デイ」をカヴァーしており、今回も彼の名曲を取り上げ絶妙なテンポ設定で自分の色に染め上げる温故知新のチカラワザ路線は健在で、抜群のノリでぐいぐい音楽を引っ張っていく。彼女の自信に満ちたヴォーカルは一糸乱れぬバックのサウンドと有機的に結びつき、これぞウエスト・コースト・ロック!といえるヴァージョンに仕上がっている。「ソゥイズィ、ソゥイズィ、ソゥイズィ、ソゥイズィ...♪」と呪文のように繰り返すコーラス・ハーモニーが耳に残るナンバーだ。
⑦「プアー・プアー・ピティフル・ミー」はシンプル・イズ・ベストを絵に描いたようなミディアム・テンポのストレートなロック曲で、彼女の張りのある力強い歌声がたまらない。歯切れの良いギターや弾けるようなシンセ・ドラムがこの曲に更なるドライヴ感を与え、彼女の隠れ名曲の筆頭に挙げたい快演になっている。歌詞の「ヨコ ハァマ!」の部分が何故か大好きだ(笑) ストーンズのカヴァー⑨「タンブリング・ダイス」は最初曲目を見た時に「え?リンダがストーンズ?」とミスマッチのように思ったが、実際に聴いてみるとリンダのパンチの効いたヴォーカルがこれまたネチこいバックの演奏と渾然一体となってグルーヴィーなノリを生み出してストーンズの難曲を見事に歌いこなしており、改めて彼女の選曲眼の正しさに感心してしまう。
しっとり系ではロイ・オービソンのカヴァー⑥「ブルー・バイユー」が彼女がただの“ウエスト・コーストのじゃじゃ馬娘”ではなくスロー・バラッドを歌わせても超一流であることを如実に示す名唱だ。ゆったりとしたカントリー・タッチで南国のムードが漂う中、溢れ出るような情感をコントロールしながらしっとりと歌い上げるリンダが実にチャーミングだ。トラディショナル・ソングの⑤「花嫁にはなれない」はドリー・パートンをゲスト・ヴォーカルに迎え、どこかやるせないムードを巧く演出しながら心温まるデュエットを聴かせてくれる。
この後彼女は同じ路線でもう1枚「リヴィング・イン・ザ・USA」を出すのだが、この頃が彼女が最も輝いていたように思う。確かに80年代に入ってからのネルソン・リドルとのスタンダード・ジャズ3部作は大成功を収めたが、私にはやはりこの頃の「土の薫りのするウエスト・コースト・ロック」路線のリンダが最高なのだ。
Linda Ronstadt - It's So Easy (LIVE)
shoppgirl姐さんに使っていただければ光栄です。
Love Me Tender ですが、
昔、American Top 40 の
Long Distance Dedication っていうコーナーで
エルヴィスとリンロンの音源を合成して
デュエットさせたヴァージョンがかかった時
鳥肌が立つほどゾクゾクしたのを覚えています。
もっぺん聴きたいな...
「リンロン」いいですね!使わせて頂きます(笑)
Living In The USA の最後を飾る「Love Me Tender」は素晴らしいと思います。
私も“初リンロン”は It's So Easy でした。
Blue Bayou がお好きとのこと、
その感覚、とってもよく分かります。
リンダの“バラッド名曲路線”って
ピタリとハマるとめちゃくちゃ説得力ありますもんね。
この盤の姉妹編 Living In The USA なら
When I Grow Too Old To Dream と
Love Me Tender じゃないでしょうか?
初めて聴いたリンダさんが「It's So Easy」でした。
パンチのある歌声にKOされて買ったアルバムが「Simple Dreams」でした。
気だるいジャケ写に当時はドキドキしました。
どの曲もいいですが
ロイ・オービソンさんのカバー「Blue Bayou」好きです。