shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Complete Rooftop Soundboard / The Beatles

2022-03-13 | The Beatles
 ビートルズの「ルーフトップ・コンサート」は連日の大盛況でIMAX上映が再延長されるなどして大いに盛り上がっているが、機を見るに敏な日本のブート屋さんがそんなオイシイ状況をみすみす見逃すわけがない。私がブートレッグをよく買っているライトハウス(略してLH)も今回の「Get Back」ブームに便乗して新たにルーフトップものの究極版といえるCDをリリースした。それがこの「The Complete Rooftop Soundboard」である。
 ルーフトップ・コンサートに関しては、以前から「Let It Be」の映画撮影班によるナグラ社のモノラルレコーダー音源をベースにしたブートレッグが色んなレーベルから出ていたが、LHは2019年にこのモノ音源をベースに当時利用可能だった他の音源をかき集め、演奏の合い間のやり取りなども含めて最大限ステレオで完全再現するという野心的な企画に挑戦、ルーフトップ・コンサート50周年にかこつけて同ライヴ全編をステレオで再現した「The Rooftop Concert」の「Definitive Edition」(黒盤)をリリースした。
 更にこれが瞬く間に売り切れると今度は「Anthology」のDVDや「Let It Be Naked」のアルバムなどからかき集めたせいでミックスがバラバラだった黒盤の音源をHMCリリースの1992年版「Let It Be」映画のステレオ音声に差し替えて聴感上の統一感を高めたアップグレード版の「Second Edition」(白盤)をリリース。映画用にミックスされた音声で統一したのは大正解で、ヴォーカルの生々しさや演奏の臨場感などが大幅に向上しており、私もルーフトップ関連音源の決定版としてこの3年間ず~っと愛聴してきたのだった。
 そして今年の2月、LHは映画「Get Back」のマルチトラック音源を駆使して作り上げた「The Complete Rooftop Soundboard」をリリースし、あっという間に完売したらしいのだが、その頃私は例の「Rubber Soul」と「With The Beatles」のラウドカット1G盤のことで頭が一杯で、とてもじゃないがブートレッグどころではなく、Kentから毎週送られてくるリリース情報メールを見逃してしまっていた。
 そして3月に入り、首尾よく手に入れたラウドカット1G盤2枚の爆音に浸りながらメールをチェックしていると、“BEATLES-THE COMPLETE ROOFTOP SOUNDBOARD (2CD):海外より100セットが特別に再入荷。これ以上の在庫は海外にも一切無く、セカンド・プレスの予定もありません。” という新着情報に目が留まった。え~っ、ちょっと目を離した隙にこんなん出とったんか...と慌てた私は即オーダーして何とか間に合ったというワケだ。
 このCDのディスク1(44:23)は映画「Get Back」で公開されたコンサートのマルチトラック・パートに撮影班のモノラル音源(→例えばライヴ開始前の「Get Back Warm-Up」の場面はマルチトラック音源が存在しないので、映画ではTake2を加工して映像に被せていた...)を合わせたルーフトップの完全版ライヴ・アルバムへとまとめ上げたもので、上記の黒盤白盤2枚と聴き比べると音圧面でも音の質感の面でもたった3年の違いで隔世の感があり、考え得る限り現時点で最高の音質でルーフトップ・コンサート全貌を、“何のつもりなの!” とヒステリックに叫ぶ昼寝ババアに邪魔されずに楽しむことが出来るのだ。
 ディスク2(37:52)は Original Multitrack Reels となっており、ディスク1とは違って余計なお喋りとか無しで音楽に浸れるので完全なライヴ・アルバムとして楽しめ、私としてはディスク1よりもむしろこっちの方を愛聴している。尚、メーカー・インフォには “ハイレゾ版をベースに音盤化した” と書いてあるのだが、これってひょっとしてオフィシャル配信用の「Rooftop Concert」と基本的に同じってこと??? 私はストリーミングとか配信とかサッパリわからないので、先月 “ビートルズのルーフトップコンサートが完全版で音楽配信開始!” というニュースを見て忸怩たる思いだったのだが(→ビートルズ・ファンには私のように昭和で時が止まってる人間も少なくないと思うので “デジタル配信オンリー” などという愚策はやめてもらいたい!)、もしこれがオフィシャルのパクリなら大ラッキーだ。
 メーカーが言うように、まさに “一家に一枚の文化遺産レベル” と言えるこのアルバム、「Get Back」のブルーレイ/DVD発売を首を長~くして待っているビートルズ・ファンにはたまらない逸品だと思う。
The Beatles - The Rooftop Concert (Full Concert, 1969)