先日 B-SELS ホームページの「日記」のコラム(7/17付)を読んでいたら、お店に出品中の「Let It Be」UK BOX についての記述があり、その中で店主の Sさんは “すさまじい” という形容詞を用いてそのレコードの音を絶賛されていた。“良い音”“凄い音”という表現はよく耳にするが、“すさまじい音” という描写には滅多にお目にかかれるものではない。「Let It Be」といえば先月 B-SELS で極めつけの高音質を誇る “スタンパー2G盤” をゲットしたばかりだが、これまで何十枚何百枚(?)もの2U/2U赤りんごジャケ盤を聴いてこられたであろうSさんにこれ程のインパクトを与えた“すさまじい音” というのを是非とも聴いてみたいと思った私はこの前の4連休最後の日曜日に B-SELS に行ってみた。
私がいつものように荷物置きにカバンを置くと、Sさんはすぐに「Let It Be」のUK BOX を壁から降ろされた。Sさんとのお付き合いはまだ2年にも満たないが、私の考えていることはすべてお見通しのようだ。Sさん曰く、“売れてしまう前に聴いていただこうと思いまして...” とのこと。私はSさんの仰る“すさまじい音” を聴き逃すまいと耳に全神経を集中させた。
A①「Two Of Us」が始まった。おぉ、何と力強い音だろう! 私もこれまで数えきれないくらいこの曲を聴いてきたが、これほど力感漲る「Two Of Us」は聴いたことがない。しかも盤質がめちゃくちゃ良くて(←後で確認したら盤面ピッカピカでスピンドル・マーク皆無のミント盤だった...)ほぼノイズレスで超クリアー&クリスプな音が店内に響きわたる。
A②「Dig A Pony」のジョンのヴォーカルがめちゃくちゃ近くて生々しい。何故か傷がついていることが多い最難関トラックA③「Across The Universe」もやはりノイズレスで、雄大なアコースティック・サウンドを心ゆくまで堪能できて言うことナシヽ(^o^)丿 気がつけば、音の分析を忘れてしまうくらい音楽そのものにグイグイ引き込まれていく自分がいた。A④「I Me Mine」のジョージのヴォーカルとギターも実にパワフルだ。
しかしA面最大の聴き物はグルーヴィーなA⑤「Dig It」を露払いに登場する真打ちA⑥「Let It Be」だ。特に中間部のギター・ソロは圧巻そのもので、サウンドの熱量がハンパない。思わず “何だかもう別ミックス聴いてるみたいな感じですね!” と大コーフンしながらSさんに話しかけると “我が意を得たり” と言いたげな様子で満面の笑みを浮かべられた。
私はこの音の秘密は何だろうと思いながら商品説明カードに目をやると、マザー/スタンパー・コードの欄に “- TP/2GDA” とある。ひょっとしてコレか... と思いながら “A面のマザーが「-」になってますが、この音の良さはそれと何か関係あるんですかね?” と伺うと“そうなんです。実はこのレコードにはマザーの刻印が打ってないんですよ。” と仰る。なんでも、たまたま常連さんが持ってこられたマザー刻印無しの「Let It Be」の音がめちゃくちゃ良かったので手持ちのレコードを調べてみたら同じようなマザー刻印無しの盤が2枚あって、そのどちらもが常連さんのレコードと同じような凄まじい音で鳴ったのだという。なるほどねぇ... 3枚の “マザー刻印無し盤” だけが同じような “すさまじい音” で鳴ったとすればSさんの仮説は大いに説得力を帯びてくる。独りで eBay や Discogs を漁っているだけではこのような貴重な情報は絶対に手に入らない。B-SELS の強みの一端はこのようなコレクター情報網にあるのだなぁと実感すると同時にそんなお店が近くにあってホンマにラッキーやなぁと思った。
するとそこでSさんが “マザー刻印無しのもう1枚の盤がコレです。盤質はさすがにボックスより少し落ちますが、擦れ程度で深いキズは無いので十分楽しめます。” と仰ってエサ箱から赤りんごジャケ盤(←こちらは7/27付の「日記」に登場)を持ってこられた。こちらの方はボックスではないので14,800円と値段も手頃だ。 “こっちも聴かせていただいていいですか?” とお願いすると “もちろんです!” と快諾され、もう一度A①「Two Of Us」から聴き始めることになった。おぉ、確かにボックスのと同じ力強い音がする。Sさんの “マザー刻印無し盤最強説” に私も賛成だ。盤質もボックスのミント盤と比べるとほんのわずかノイズがあるかなぁレベルのすこぶる良好な状態(私の耳にはEX)で、コスパは圧倒的にこちらの方が高い。
せっかくなのでB面の方も(←こっちの面はマザー刻印あり)聴かせていただいた。14,800円盤の方はマザーが1で盤質はB①~③がEX、B④~⑤がEX-という感じなのに対し、ボックスの方はA面同様の“ほぼミント”な盤質で、前者のLP単品の方だけ聴けば全く問題ない超お買い得盤なのだが、ほぼノイズレスなボックスの方を聴いてしまうとどうしても心が揺れてしまう。改めて “盤質こそが大正義” なのだと思い知らされた。
貧乏コレクターの私はA面の聴き比べを聴き終えた時点では “B面はこの前の 2G盤があるし、あんまりお金ないからA面狙いで14,800円盤の方を買おうかな...” という気になっていたのだが、ミントなB面を聴き、更に奇跡的に新品同様状態(!)の写真集やジャケットを眺めているうちに “ミント状態の「Let It Be」を買えるチャンスなんてもう2度と巡ってこんかもしれへんで... ホンマに安い方でエエんか?” という悪魔の囁きのような(笑)内なる声が聞こえてきたのだ。ビートルズのことになると私が悪魔に魂を売ってしまうのはこのブログを読んでおられる方ならご存じの通り。
もちろんその日は手持ちのキャッシュが無かったので(←毎回このパターンやな...)2枚のマザー刻印無し盤を聴き終えたところで “今日はホンマにエエもん聴かせてもらいました。大雨の中を来た甲斐がありましたわ。” とSさんにお礼を言って B-SELS を後にした。 (つづく)
私がいつものように荷物置きにカバンを置くと、Sさんはすぐに「Let It Be」のUK BOX を壁から降ろされた。Sさんとのお付き合いはまだ2年にも満たないが、私の考えていることはすべてお見通しのようだ。Sさん曰く、“売れてしまう前に聴いていただこうと思いまして...” とのこと。私はSさんの仰る“すさまじい音” を聴き逃すまいと耳に全神経を集中させた。
A①「Two Of Us」が始まった。おぉ、何と力強い音だろう! 私もこれまで数えきれないくらいこの曲を聴いてきたが、これほど力感漲る「Two Of Us」は聴いたことがない。しかも盤質がめちゃくちゃ良くて(←後で確認したら盤面ピッカピカでスピンドル・マーク皆無のミント盤だった...)ほぼノイズレスで超クリアー&クリスプな音が店内に響きわたる。
A②「Dig A Pony」のジョンのヴォーカルがめちゃくちゃ近くて生々しい。何故か傷がついていることが多い最難関トラックA③「Across The Universe」もやはりノイズレスで、雄大なアコースティック・サウンドを心ゆくまで堪能できて言うことナシヽ(^o^)丿 気がつけば、音の分析を忘れてしまうくらい音楽そのものにグイグイ引き込まれていく自分がいた。A④「I Me Mine」のジョージのヴォーカルとギターも実にパワフルだ。
しかしA面最大の聴き物はグルーヴィーなA⑤「Dig It」を露払いに登場する真打ちA⑥「Let It Be」だ。特に中間部のギター・ソロは圧巻そのもので、サウンドの熱量がハンパない。思わず “何だかもう別ミックス聴いてるみたいな感じですね!” と大コーフンしながらSさんに話しかけると “我が意を得たり” と言いたげな様子で満面の笑みを浮かべられた。
私はこの音の秘密は何だろうと思いながら商品説明カードに目をやると、マザー/スタンパー・コードの欄に “- TP/2GDA” とある。ひょっとしてコレか... と思いながら “A面のマザーが「-」になってますが、この音の良さはそれと何か関係あるんですかね?” と伺うと“そうなんです。実はこのレコードにはマザーの刻印が打ってないんですよ。” と仰る。なんでも、たまたま常連さんが持ってこられたマザー刻印無しの「Let It Be」の音がめちゃくちゃ良かったので手持ちのレコードを調べてみたら同じようなマザー刻印無しの盤が2枚あって、そのどちらもが常連さんのレコードと同じような凄まじい音で鳴ったのだという。なるほどねぇ... 3枚の “マザー刻印無し盤” だけが同じような “すさまじい音” で鳴ったとすればSさんの仮説は大いに説得力を帯びてくる。独りで eBay や Discogs を漁っているだけではこのような貴重な情報は絶対に手に入らない。B-SELS の強みの一端はこのようなコレクター情報網にあるのだなぁと実感すると同時にそんなお店が近くにあってホンマにラッキーやなぁと思った。
するとそこでSさんが “マザー刻印無しのもう1枚の盤がコレです。盤質はさすがにボックスより少し落ちますが、擦れ程度で深いキズは無いので十分楽しめます。” と仰ってエサ箱から赤りんごジャケ盤(←こちらは7/27付の「日記」に登場)を持ってこられた。こちらの方はボックスではないので14,800円と値段も手頃だ。 “こっちも聴かせていただいていいですか?” とお願いすると “もちろんです!” と快諾され、もう一度A①「Two Of Us」から聴き始めることになった。おぉ、確かにボックスのと同じ力強い音がする。Sさんの “マザー刻印無し盤最強説” に私も賛成だ。盤質もボックスのミント盤と比べるとほんのわずかノイズがあるかなぁレベルのすこぶる良好な状態(私の耳にはEX)で、コスパは圧倒的にこちらの方が高い。
せっかくなのでB面の方も(←こっちの面はマザー刻印あり)聴かせていただいた。14,800円盤の方はマザーが1で盤質はB①~③がEX、B④~⑤がEX-という感じなのに対し、ボックスの方はA面同様の“ほぼミント”な盤質で、前者のLP単品の方だけ聴けば全く問題ない超お買い得盤なのだが、ほぼノイズレスなボックスの方を聴いてしまうとどうしても心が揺れてしまう。改めて “盤質こそが大正義” なのだと思い知らされた。
貧乏コレクターの私はA面の聴き比べを聴き終えた時点では “B面はこの前の 2G盤があるし、あんまりお金ないからA面狙いで14,800円盤の方を買おうかな...” という気になっていたのだが、ミントなB面を聴き、更に奇跡的に新品同様状態(!)の写真集やジャケットを眺めているうちに “ミント状態の「Let It Be」を買えるチャンスなんてもう2度と巡ってこんかもしれへんで... ホンマに安い方でエエんか?” という悪魔の囁きのような(笑)内なる声が聞こえてきたのだ。ビートルズのことになると私が悪魔に魂を売ってしまうのはこのブログを読んでおられる方ならご存じの通り。
もちろんその日は手持ちのキャッシュが無かったので(←毎回このパターンやな...)2枚のマザー刻印無し盤を聴き終えたところで “今日はホンマにエエもん聴かせてもらいました。大雨の中を来た甲斐がありましたわ。” とSさんにお礼を言って B-SELS を後にした。 (つづく)