① Brown Sugar [英RS 19100 /1971.4]
ストーンズが最も得意としているのは軽快なリフに乗って疾走するこの「Brown Sugar」のようなアッパー・チューンだ。この手の曲を演らせたら彼らの右に出るバンドはいないだろう。曲自体はシンプルそのもので「Jumpin' Jack Flash」の70年代版という感じがしないでもないが、バックでかき鳴らされるアコギや気分を高揚させるマラカスが絶妙な隠し味として響き、彼らにしか出せないノリで聴き手をグイグイ引っ張っていくところがたまらない。アルバム「Sticky Fingers」はあのジッパー付きジャケットとこの曲のおかげで名盤化したのではないか。尚、B面に収録されたチャック・ベリー・カヴァー「Let It Rock(Live Version)」も負けず劣らずの名演だ。
Brown Sugar (2009 Mix)
The Rolling Stones - Let It Rock
② Tumbling Dice [英RS 19103 / 1972.4]
私がこの「Tumbling Dice」という曲を初めて聴いたのはリンダ・ロンシュタットがアルバム「Simple Dreams」でカヴァーしたヴァージョンで、ストーンズのオリジナル・ヴァージョンを聴いたのはそれからかなり後になってからのことだった。だから今でも「Tumbling Dice」と言えばリンダの力強いヴォーカルが頭の中に鳴り響いてしまうが、ストーンズによるオリジナル・ヴァージョンには洗練されたリンダ・ヴァージョンとは又違った “ダイヤモンドの原石” 的な魅力があるのも事実。この曲は他の派手派手なシングル曲と比べるとイマイチ目立たないかもしれないが、アルバム「メインストリートのならず者」の一連の流れの中で聴くと一際強い存在感を感じさせる重要な1曲だ。
Tumbling Dice ~ The Rolling Stones
Tumbling Dice
③ Star Star [仏RS 19.108 /1974.2]
この「Star Star」はイギリスでもアメリカでもシングル・カットされず、アルバム「Goats Head Soup」のB面ラストにひっそりと(?)収められていたこともあって、最初はこの名曲名演の存在に気付かなかった。そもそもあのアルバムはAラスに大嫌いな「Angie」が入っているので(←ミックのくどいヴォーカルにゲップ出ませんか?)ストーンズの全アルバム中もっとも聴かないレコードと言ってもいいくらい敬遠していたのだ。そんな私にこの曲の素晴らしさを再発見させてくれたのはジョーン・ジェット姐さんによるリスペクトに満ちたカヴァーで、“おぉ、これめちゃくちゃカッコエエやん!” と思って調べてみるとストーンズがオリジナルだったでござる... というオチだ(笑) 改めてストーンズ・ヴァージョンを聴いてみるとこれがもうむしゃぶりつきたいくらいカッコイイ(^o^)丿 チャック・ベリー直系のシンプルでストレートアヘッドなロックンロールは彼らのレパートリーの中に散見されるが、この曲はそれらの中でも最上の1曲と言えるものだ。
The Rolling Stones Star Star (Starfucker) (Uncensored)
Joan Jett - Star Star
④ It's Only Rock 'n Roll [英RS 19114 /1974.7]
先の2曲は秀逸なカヴァー・ヴァージョンを聴いてその素晴らしさを知ったようなものだが、この曲に関してはもちろんストーンズのオリジナル・ヴァージョンこそが唯一無比の存在で、この顎が落ちそうなグルーヴは本家ストーンズ以外ではとてもじゃないが再現不可能。今やストーンズの登録商標となった “I know it's only rock 'n roll but I like it.” というフレーズを繰り返すだけでこれほどまでの快感を与えてくれる曲はちょっと他では思い出せないし、泡だらけになるプロモ・ビデオも大いに笑わせてくれる。私的にはストーンズの最盛期は1966年から1970年くらいまでで、ここ一番という名曲名演はこの時期に集中しており、70年代前半は爛熟期... 花で言えば散り始める直前というイメージなのだが、その中でもこの曲はまさに “巨星ストーンズ最後の輝き” という感じがする必殺のキラー・チューンだ。
The Rolling Stones - It's Only Rock 'N' Roll (But I Like It) - OFFICIAL PROMO