① The Last Time [F.12104英Decca / 1965.2]
ストーンズが世界的に大ブレイクを果たしたのはこの次のシングル「Satisfaction」だが、その伏線となったのがこの「The Last Time」だ。それまではカヴァー曲に名演が集中していた彼らがジャガー&リチャーズの自作曲で初めて強烈なインパクトを残したのがこの曲で、“キャッチーなメロディーラインやリフを繰り返して印象的なフレーズを紡ぎ出し、大衆にアピールするシングル曲を作る” という手法は続く「Satisfaction」、「Get Off Of My Cloud」を経てストーンズ屈指の名曲「Paint It Black」へと繋がっていく。そういう意味でもストーンズ史において非常に重要なナンバーと言えるのではないか。チャーリー・ワッツの刻む正確無比なビートに乗ってブライアン・ジョーンズが繰り返し弾き続けるあの印象的なリフが脳内リフレインを起こすようになれば、もう立派なストーンズ中毒だ。
The Last Time (Mono)
② Satisfaction [F.12220 英Decca / 1965.5]
ストーンズは聴かないけれどこの曲だけは知っているという一般の音楽ファンも多いのではないかと思えるぐらいの知名度を誇る、言わずと知れたストーンズの代表曲。ビートルズで言えば「Yesterday」や「Let It Be」、「Hey Jude」的な位置付けの曲で、マニアにとっては耳ダコかもしれないが、改めて聴いてみるとやっぱりエエなぁ...と思わせてくれるのがこういった超有名曲だ。一番の魅力は何と言っても一度聴いただけで頭に残るあのカッコ良いギター・リフで、ミックの歌唱もコレしかない!という感じで迫ってくる。ミック・ジャガーは決して好きなタイプのシンガーではないが、ストーンズのサウンドにはアクの強い彼のヴォーカルが一番あっていると実感させてくれる一曲だ。
[I Can't Get No] Satisfaction
③ Get Off Of My Cloud [F.12263 英Decca / 1965.9]
この「Get Off Of My Cloud」はこの時期のストーンズとしては一番好きな曲で、イントロのチャーリー・ワッツの切れ味鋭いドラミング(←何回聴いてもシビレるわ...)で一気に引き込まれ、ミックのアグレッシヴなヴォーカルが印象的なサビメロの強烈なフックに耳が吸い付く。“Hey, you, get off of my cloud!” での掛け合いもインパクト絶大だし、バックで呪文のように上昇下降を繰り返すメロディー・ラインも絶妙な隠し味になっている。それにしても「満足できない!」(I Can’t Get No Satisfaction)に続いて「とっとと失せろ!」(Get Off Of My Cloud)というタイトルのシングルをもってくるところがいかにもストーンズらしい。
Get Off Of My Cloud (Mono)
④ 19th Nervous Breakdown [F.12331 英Decca / 1966.2]
この曲を初めて聴いた時は弾むようなイントロがめちゃくちゃカッコ良くてウキウキワクワク... アップテンポで快調に飛ばし(←特にギターがふるいつきたくなるぐらいにカッコイイ!)、更にサビの“Here it comes...♪” 4連発で気持ちが高まり一気にクライマックスへ... とここまでは完璧な流れだったのだが、続く “Here comes your 19th nervous breakdown...♪” のラインの凡庸なメロディーが生み出す尻すぼみ感に “えっ、これで終わり???” と肩透かしを食ったのを今でもよく覚えている。その後何十回何百回とこの曲を聴いてきたが、残念ながらこの第一印象が覆ることはなかった。前半部分がカッコ良いロックンロールに仕上がっているだけに、本当に惜しいと思う。
19th Nervous Breakdown (Mono)