shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

70年代ポールのUS盤LP特集③

2019-01-13 | Paul McCartney
 B-SELSで US盤を2枚衝動買いした1週間後、再びお店にお邪魔して、“ネットで「ラム」「バンド・オン・ザ・ラン」「ヴィーナス・アンド・マース」の3枚買いましてん!” と言うと“え~、もう3枚も? 速攻ですねぇ...” とSさんもビックリ。“今日は 1stの「マッカートニー」とか、ないですかね?” と尋ねると “まだ店に出してない盤があるにはあるんですが、ちょっと問題がありまして...” と歯切れが悪い。お話を伺うと、プレスミスでセンター・レーベルがズレているため、ラストの曲が終わってすぐに針を上げないと悲惨なことになる(笑)とのこと。“盤質は良いので惜しいなぁ... と思ってるんです。” と仰るのでとりあえず聞かせていただくことにした。
 US盤「マッカートニー」に関しては一つだけどうしても確認したいことがあったので、盤をターンテーブルに乗せる前にデッドワックス部分を見せていただいた。するとそこには何と泣く子も黙る RL の刻印が... そう、これこそまさにあの「Led Zeppelin II」のホット・ミックスで名を馳せた巨匠、ボブ・ラドウィッグによってカッティングされたという何よりの証しである。RL はなにもゼップの専売特許というワケではないのだ。
 実を言うと私は2年ほど前にライトハウスのギフト盤 CD-Rでこの盤の存在を知ったのだが、その頃は “ビートルズのソロは UK盤一択!” という考えに固執していたこともあってあまり真剣に聴いていなかった。今回のポールのソロの US盤蒐集を始めた時に真っ先にこの CD-Rのことを思い出して再度聞いてみたところ、これが結構生意気な音で鳴る。しかも今日は CD-Rではなく状態の良いアナログ・レコードの音をダイレクトに聴くのだ。何だかワクワクしてきた。
 RL 刻印は何故か B面だけに彫られているのだが(←ゼップでもあったけど、こーゆーの、ホンマにワケがわからん..)、A面1曲目の「ラヴリー・リンダ」から軽快ながらもしっかりと芯のある音になっているし、「ホット・アズ・サン」なんかも中々温かみのある音に仕上がっており、RL 抜きの A面も悪くない。そしていよいよ問題の B面にいくのだが、1曲目の「ウー・ユー」からいきなりガツン!とくる力強いサウンドがスピーカーから迸り出てきて “おぉ、これはちょっと違うな...” と思わせてくれる。2曲目の超愛聴曲「ママ・ミス・アメリカ」なんか実にダイナミックな音作りで、US盤も捨てたもんやないなぁ... との思いを強くした。やっぱりカッティング・エンジニアの力って大きいですな。
 レコードを最後まで聴き終え、ほとんどチリパチ音のない NM盤だったこともあって無性にそのレコードが欲しくなり、 “これ売ってもらえませんか?” とお願いすると、“センター・レーベルは SMASになってるから1stプレスじゃないですよ。デッドワックスでは STAOを消して上から SMAS って彫ってあるから音そのものは1stプレスとそんなに変わらないと思いますけど... それに、レーベルがズレてるけど、いいんですか? ジャケットのレコード取り出し口もちょっと傷んでるし...” と仰るので、“私は音さえ良ければ1stプレスじゃなくても全然 OKです。レーベルのズレなんて、そんなんすぐに針上げたらしまいですやん。それに、この程度のジャケットの傷みは別に気になりませんし... 何とかお願いしますわ。” と頼み込み、2,800円で売っていただいた。
 尚、その日は冬のボーナスが自分の予想額よりもかなり多かったこともあって、お店にあった他のポール US盤も全部試聴させていただき(←何時間居座ってるねん...)、「マッカートニー」と併せて計4枚をまとめ買い... 「スピード・オブ・サウンド」が2,500円、「バック・トゥ・ジ・エッグ」と「タッグ・オブ・ウォー」はどちらも1,800円で、すべて盤質/ジャケット・コンディションが NMのピカピカ盤だった(^.^) 前にも書いたが US盤はアメリカからの送料(←大体 $25ぐらい取られてしまう...)のことを考えるとお店で買うのが大正解。しかも B-SELSは望めば全曲試聴させてもらえるし、コレクターにとってはまさにパラダイスである。
 その後、色々調べているうちに RL刻印が両面に入った「マッカートニー」を Discogsで発見! LHのインフォでさえも “RL刻印は B面のみ” と断言してあったので、これはえらいこっちゃと大コーフンし、即購入。セラーに RL刻印のことを再確認すると “何でそんなこと聞くねん?” みたいに不思議がられたのだが(←RLが何のことか知らんのやろなぁ...) $13.99という安値で買うことができて大ラッキーだ。
 因みに「マッカートニー」の真の US 1stプレス盤は、①センター・レーベル、デッドワックス、スパイン、そして裏ジャケ左下のカタログ№の4ヶ所が全て STAO表記で、②センター・レーベルのアーティスト名とタイトル名が上下2行になっていて、③裏ジャケ右下の NYアドレスの下に abkcoの表記がない、というのが特徴らしい。で、元旦の昼間から eBay事始めをしていた時に見つけたジョージのインド盤を出していたスウェーデンのセラーがたまたまこの「マッカートニー」US 1stプレスも同時出品しており、聴き比べをしてみたいという誘惑に負けた私は送料が安かったこともあってそいつもゲット。ということで、わずか2週間のうちに US盤の「マッカートニー」を3枚も買ってしまった(笑) まだ手元には1枚しかないが、残りの2枚ももうすぐ届くはずなので今からめっちゃ楽しみだ。 (つづく)

《Matrix / Runout》
①McCartney(Winchesterプレス)
  A: SMAS S̶T̶A̶O̶-1-3363 Z17-1-S —◁ STERLING LH
  B: SMAS S̶T̶A̶O̶-2-3363 Z14 —◁ STERLING LH/RL
②Wings At The Speed Of Sound(LAプレス)
  A: ST-1-11525 F-5 (E) • ✲ MASTERED BY CAPITOL Wly
  B: ST-2-11525 F-6 (E) • ✲ MASTERED BY CAPITOL Wly
③Back To The Egg(Terre Hauteプレス)
  A: AL 36057-1G T1
  B: BL 36057-1E 1T
④Tug Of War(Carrolltonプレス)
  A: G1 AL 37462-1BA COLUMBIA NY PUSHING+PULLING S2 ♡
  B: G1 BL 37462-1AF COLUMBIA NY PUSHING+PULLING S2 ♡