shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ビートルズのドイツDMM盤特集②

2017-01-28 | The Beatles
 ビートルズのドイツDMM盤はeBayではあまり出てこないので主にDiscogsで買い集めることにしたのだが、ここのセラーはeBayよりもかなりレベルが低いので往生させられた。ドイツDMM盤の識別法はマトリクス・ナンバーとランオフ・エリアの広さぐらいしかないので事前にメールで質問してから買うようにしていたが、メールしても返事が返ってくるのは2~3割だし(←ヤル気無いんか?)、調べてすぐにメールするからと言っておいてそれっきりとか(←ナメとんのか?)、オリジナル盤のリストに平気で再発盤を出品してたりとか(←ド素人か?)、酷いのになると事前のマト番確認でイエスと答えておきながら間違った盤を送ってきて涼しい顔のセラー(←ドイツ人は数字も読めへんのか?)もいたりしてめっちゃストレスが溜まった。そう言えばペイパルを拒否るセラーへの支払いも一苦労で、生まれて初めてウエスタン・ユニオン国際送金というのを試したのだが、食い逃げされても何の補償もない送金システムのため(←本来は家族や友人への送金システムで、商品代金の支払いに使うのはダメらしい...)実際にレコードが届くまでめっちゃ不安だった。今まで手数料が高いとペイパルをボロクソに言ってきたが、初めてペイパル様(笑)の有難味が身に沁みて分かりましたわ。ということで、そんな逆境にもめげずに執念で集めたビートルズのドイツDMM盤を順次紹介していきたいと思う。まずは初期ビートルズの4枚から。

①Please Please Me [04219-A2, 04219-B1]
 レコードに針を落としA①の演奏が始まるといきなり巨大化したベースがブンブン唸り度肝を抜かれる。初めて聴いた時は“何じゃいこれは???” と腰を抜かしそうになった。これではまるで “リード・ベース” だ! 又、ドラムのビートやハンドクラッピングもかなり大きめに入っており、スピーカーから音がすっ飛んできて顔と言わずどこと言わずパンチを食らわせる。いやはやまったく凄い音作りだ。しかし鬼面人を驚かすこの手の音は最初は面白いが、何度も繰り返し聴くうちにだんだんと不自然さが耳につくようになってそのうち必ず飽きてしまうものだ。
 それと、曲によってはヴォーカルにかけられているリヴァーヴが強すぎるように感じられるのも気に入らない。ビートルズの、いや、ロックンロールのヴォーカルに小細工なんか一切不要だ。ということで、この「プリーズ・プリーズ・ミー」DMM盤は私的にはイマイチだった。

②With The Beatles [04181-A1, 04181-B1]
 このレコードは「アナログ・ミステリー・ツアー」の中で “やりすぎ感全開のとんでもない1枚”“低域・高域共に音の暴力レベル” という煽り文句(?)で紹介されていたので “轟音大好き人間” の私は一体どんな凄い音がスピーカーから飛び出してくるのか興味津々だったのだが、実際に聴いてみると、“えっ? こんなもん???” というのが正直なところ。もちろん他のDMM盤同様にデカい音が入っているので普通の人が聴いたらビックリするだろうが、UK黄パロ1stプレスのモノラル・ラウドカットの凄まじい轟音(←A①でいきなりジョンの爆裂ヴォーカルがスピーカーから迸り出てきた時の衝撃は忘れられない...)に慣れた私の耳には “ちょうど良い塩梅の元気な音” という感じなのだ。
 楽器のバランスに関してはリズム隊がヴォーカルよりも目立っている(笑)トラックが多く、特にB①のシンバル乱舞やB⑤の超極太ベースは強烈無比だし、ハイハットのカウントで始まるヴァージョンのA③で聴けるジョンのリズムギターも快感そのもの...(^.^)  音質的には上記の「プリーズ・プリーズ・ミー」DMM盤とは違って結構気に入っている1枚だが、テープがヘタっていたのかB③で一瞬音が揺れる箇所があるのが玉にキズだ。

③A Hard Day's Night [04145-A1, 04145-B1]
 このレコードでDMMプレスに期待することと言えば何はさておきタイトル曲のイントロの “ジャーン!” に尽きるだろう。期待に胸を弾ませながら盤に針を落とすといきなりこちらの期待通り、いや、期待を上回る “ジャーン!” がまるでラオウの天将奔烈、北斗剛掌波のような凄まじさで炸裂するのだからたまらない(≧▽≦)  B①冒頭のドラム一発 “バン!” の乾いた爆裂音、そして間髪を入れずに飛び出してくるジョンの野太いヴォーカルもDMMならではのパワフルな音で楽しめるのが最高だ(^.^) 
 A②A④A⑥といったアイドル路線全開の曲はその躍動感に拍車がかかってウキウキワクワク感がハンパないし、驚いたことにB③やB⑥といったアコギ中心の曲でさえもDMM効果でパワーアップしており、力強いストロークに支えられてカッコ良さが倍増している。というワケで、初期ビートルズのDMM盤の中では断トツに気に入っているのがこの「ア・ハード・デイズ・ナイト」なのだ。

④Beatles For Sale [04200-A1, 04200-B2]
 このレコードは「アナログ・ミステリー・ツアー」では “ベースがデカ過ぎて云々” と書いてあったが、それより何より高音がキツすぎる。あちゃー、これはあかんやつや...(>_<)  ただでさえ音がデカいのに、高音がメタリックに響いて耳に突き刺さってくるようではとてもじゃないが音楽は楽しめない。UKオリジナル盤やデンマーク盤は音量を上げていってもうるさく感じないが、これは完全にアウト。
 A①A④B①のジョンのヴォーカルがまるで安物のラジカセで聴いているかのような “作りもの”っぽい声になっているのは興醒めだし、B②のジョージのギターもキンキン響いてやかましいことこの上ない。だからこの盤を聴く時はプリアンプのトレブルを3~4目盛り絞るようにしているが、そこまでして聴く価値のある音作りかといえば否と答えるしかない。上記のペイパル拒否セラーから苦労して手に入れたレコードというのが他でもないこのアルバムなのだが、まさに労多くして功少なし。80年代のドイツ人がコレを聴いてどう思ったのか聞いてみたいものだ。