shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

銭形平次 / 舟木一夫

2011-10-29 | TV, 映画, サントラ etc
 前回は手持ちの “時代劇コンピ” CD から「大岡越前」と「大江戸捜査網」の2曲を取り上げた。一般的な知名度で言えば多分「水戸黄門」、「暴れん坊将軍」、そして「銭形平次」あたりがチャンバラ主題歌界(?)のスタンダード・トップ3だろうが、「水戸黄門」は私にはクッサクサの老人向け音楽だし、「暴れん坊将軍」は名曲だとは思うがあまりにも松平健のイメージが強すぎて “白馬に跨って砂浜を駆ける時の BGM ” という刷り込みが私の中に出来上がってしまっており、スピーカーと対峙して聴く気にはなれない。
 残るは「銭形平次」だが、子供の頃は水曜の夜になるとそれこそ毎週のようにお茶の間からこの曲が聞こえてきたもので、大川橋蔵が出てたという以外ドラマの内容は全然覚えていないのに、この曲だけはほとんど耳タコ状態。だからそれ以来ずっと好きとか嫌いとかの対象ではなく、楽曲としては全く意識していなかった。
 そんな私がこの曲の素晴らしさに目からウロコしたのは昨年のこと、大好きな「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」 CM の “鵜飼い編” でこの曲のイントロ部分が使われているのを聞いて、昔は何とも思わなかったこの曲の持つ抜群のスイング感を再認識させられたのだ。改めて1曲フル・ヴァージョンで聴いてみたが、コレはもう立派な和ジャズ・ヴォーカル・ナンバーだ。今時どこを探してもこんなにウキウキワクワクさせてくれる歌と演奏は滅多にあるものではない。
 特に印象的だったのがノリノリのイントロに絡んでいくバス・クラリネットのカッコ良さで、軽快なテンポで飛ばすこの曲の要所要所をビシッと締める低音はまさに “一人ゴルソン・ハーモニー”。時代劇らしさ溢れる三味線やお囃子の鐘の音が支配するこの曲の中にファンキーなバスクラを巧みに取り入れたアレンジは考えれば考えるほど凄いと思わざるを得ない。例えるなら「ペニー・レイン」のピッコロ・トランペットや「恋のフーガ」のティンパニみたいなもんだが、コレがあるとないとではエライ違いで、よくもまぁここにバスクラなどという非日本的な楽器を持ってくることを思いついたもんだなぁと感心してしまう。
 それともう一つ、恥ずかしながら私は YouTube を見るまでこの曲を歌っているのが舟木一夫だとは知らなかった。舟木一夫というとどうしても「高校三年生」のイメージが強く、歯が浮くような “青春歌謡” というジャンルが苦手な私にとって彼は完全に対象外の存在だったのだが、この「銭形平次」では得意の詰襟唱法(?)を封印して見事なリズム歌謡を聞かせており、私の射程圏内に入ってきたのでヤフオクでシングル盤をゲット、無競争で200円だった。
 とにかくここで聴ける彼の “粋” を絵に描いたような変幻自在のヴォーカルは天下一品で、そのスイング感溢れるノリはまさに “江戸っ子ジャズ” とでも言うべきもの。この “粋” が分かる日本人に生まれてホンマに良かったなぁと思う今日この頃だ。

銭形平次 舟木一夫


BOSS#27『宇宙人ジョーンズ 鵜飼い 30s』
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