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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Presenting Dion And The Belmonts

2008-12-05 | Oldies (50's & 60's)
 55年から64年にかけてアメリカが一番アメリカだった頃、街にはフィフティーズ、シックスティーズと呼ばれるアメリカン・オールディーズの名曲たちが溢れていた。「アメリカン・グラフィティ」や「スタンド・バイ・ミー」といった映画はオールディーズを使ってこの時代への憧憬をストレートに表現したものだ。60年代に青春を過ごした人達はみんな何らかの形でオールディーズ・ポップスの洗礼を受けているに違いない。
 私が子供の頃に見たアメリカのホーム・ドラマは自分の日常とはまるで異なる別世界の物語だった。プール付きの大きな家、気さくなパパと陽気なママ、大型冷蔵庫にスポーツカー、天井まで届きそうなクリスマス・ツリー... 大体判で押したようにこんな感じだったが、心の中でそんな “古き良き” アメリカに憧れていた。中学に入って洋楽を聴くようになり、後追いという形ながら、そんなアメリカン・オールディーズに夢中になった。
 中でも私が好きだったのがロネッツやクリスタルズといったガールグループと、このディオン& ザ・ベルモンツに代表される男性ドゥーワップ・グループである。私が初めてディオンの歌声を聴いたのは61年の全米№1ヒット「浮気なスー」で、ソロ名義ながらバックにはデル・サテンズを従え、掛け声の「トンデヘレヘレ♪」には1度聴いたら忘れられない強烈なインパクトがあった。
 すっかり気に入った私は彼らの他のレコードも聴きたくなり、このレコードに辿り着いた。59年にローリー・レーベルから出た彼らのデビュー・アルバムである。いきなりドゥー・ワップ魂が全開のA-1「アイ・ワンダー・ホワイ」では幾重にも声を重ねていくベルモンツの驚異のコーラス・ワークに圧倒される。ロジャース&ハートのA-3「いつか何処かで」はジャズでもよく取り上げられるスタンダードだが、彼らは№1ヴォーカル・グループの力量を遺憾なく発揮して美しいハーモニーを聴かせてくれる。B-1「恋するティーン・エイジャー」は59年に全米5位まで上がったスマッシュ・ヒット。文字通り恋する10代の切ない心情を甘く歌うディオンとそれを暖かく包み込むようなベルモンツのコーラスがたまらない。この甘酸っぱさこそがオールディーズ・ポップスが我々を魅きつけてやまない一番の魅力なんだと思う。
 ジュークボックスの置いてあるバーで(酒は飲めへんけど...笑)一日中オールディーズを聴いて過ごしたい... そんな気持ちにさせてくれるドゥーワップ・ファン必聴のレコードだ。

Dion & The Belmonts - A teenager in love



The Best Of Herman's Hermits

2008-11-28 | Oldies (50's & 60's)
 ハーマンズ・ハーミッツは60年代半ばに絶大な人気を誇ったマンチェスター出身のポップ・グループである。ヴォーカルのピーター・ヌーン中心のアイドル・グループで、親しみやすいポップな曲に恵まれたこともあって65年にはアメリカでビートルズに次ぐ人気を誇るまでになった。ハーミッツにはアニマルズやヤードバーズといった様々なバンドをプロデュースし数々のヒット曲を世に送り出してきたミッキー・モストという敏腕プロデューサーがついていたせいか、特に初期の楽曲レベルの高さはハンパではない。デビュー曲の①「朝からゴキゲン」はキャロル・キングとジェリー・ゴフィンが共作したバブルガム・ポップ・ナンバーで、これぞ3分間ポップスの極みといえるようなウキウキする曲。②「ハートがドキドキ」も①の三軒隣りに住んでいるような軽快なポップ曲で、お約束のハンド・クラッピングやタンバリン、エヴァリー・ブラザーズ風コーラスもバッチリだ。④「ミセス・ブラウンのお嬢さん」は彼ら初の全米№1ヒット。そんなにスゴイ曲とは思わないが、イギリス伝統のミュージック・ホール的な曲調がアメリカでは未知のサウンドとして新鮮に響いたのではないか。因みに吉田拓郎の「となりの町のお嬢さん」はタイトルから曲調、音作りに至るまでこの曲ソックリに作られた拓郎会心のパロディーだ。ヘンリー君が結婚した相手の女性が実は離婚歴7回の「ヘンリー好き」で僕は8人目のヘンリーなんだと歌うコミカルなミュージック・ホール・ソング⑥「ヘンリー8世君」は「ミセスブラウン」の二匹目のドジョウを狙ったもので、その戦略が見事にハマり彼ら2曲目の全米№1に。ホンマにアメリカ人は単純だ(笑) 思わず一緒に口ずさみたくなるようなキャッチーなメロディー展開の⑧「あの娘に御用心」は絶妙なコーラス・ワークが聴き物のブリット・ポップ。「ウィンチェスターの鐘」の作者が書いた⑮「見つめあう恋」はカーペンターズのカヴァー・ヴァージョンでも有名な、まさに絵に描いたような大名曲。⑯「ノー・ミルク・トゥディ」はホリーズの「バス・ストップ」とタイマンを張れるくらいの隠れた傑作で、ビートルズっぽいサウンドがたまらない(≧▽≦) これだけポップなヒット曲が満載のハーミッツのベスト盤、オールディーズ・ポップス・ファンは必携の1枚だ。

Herman's Hermits - No milk today



Beach Boys Medley

2008-11-20 | Oldies (50's & 60's)
 音楽仲間内で「苦手な名盤」というのが話題に上ったことがある。世間の評価はめっぽう高いのに自分にはどうしてもその良さが分からない、いや、一体コレのどこがそんなにエエねん!と誰彼かまわず問い詰めたくなるような盤のことである。ジャズの世界では特に60~70年代のレコードに「マイナーな世界で自己満足に浸ってそんなに嬉しいか!」と言いたくなる様な “ワケの分からん名盤” がたくさんあって正直とても付き合いきれないのだが、ロック/ポップスの世界でも時々そういった迷盤に遭遇することがある。特にそれがビッグ・ネームの場合はやっかいだ。実は “ビーチ・ボーイズのサージェント・ペパー” の異名をとるほど世評の高い「ペット・サウンズ」こそが、ロックにおける私の “苦手な名盤” の最右翼なんである。
 このレコード、評論家もミュージシャンも一般のファンもほとんどの人が大絶賛しいるのだが、私の耳には「何コレ?」って感じでまったく楽しめない。私の唯一の味方(?)はブライアン・ウィルソン以外のビーチ・ボーイズ・メンバーたちで、彼らも私と同じように「ペット・サウンズ」をこき下ろしてるのだ。ブライアンが殆ど一人で仕上げたラフ・ミックスを初めて聴かされたメンバーのマイク・ラブが怒りをあらわに「誰がこんなの聴くんだ、犬か?!」(←そこまで言うか...笑)と言ったことから「ペット・サウンズ」というタイトルがつけられた、というエピソードは有名だ。
 じゃあお前の好きなビーチ・ボーイズは何やねん?と問われれば、初期のシングルは全部好き!と言いたい。「サーフィン・USA」はもちろんのこと、「ファン・ファン・ファン」「アイ・ゲット・アラウンド」「ヘルプ・ミー・ロンダ」「リトル・ホンダ」「夢のハワイ」「ダンス・ダンス・ダンス」「サーフィン・サファリ」「バーバラ・アン」「グッド・ヴァイブレーション」... 理屈ぬきで楽しい気分にさせてくれるこれらの名曲たちこそが私にとってのビーチ・ボーイズなのだ。この「ビーチ・ボーイズ・メドレー」は81年に例のスターズ・オン45が火をつけたメドレー・ブームに乗ってブライアン自らがテープにハサミを入れて上記のヒット曲群を繋ぎ合わせたもので、その鋭いセンスと見事な仕上がりに彼の天才を見る思いがする。楽しくなくて何のビーチ・ボーイズか!このレコードを聴くにつれ、その思いを強くするのである。

the beach boys medley