スリッパの底に異物感がする。取り上げてみると1㎜立方程のガラスの破片が食い込んでいた。
4月14日の地震で壊れた電子レンジの扉のガラス破片だとすぐに分かった。電子レンジの扉のガラス(外側)は割れると1㎜立方程の大きさで粉々に割れるのだ。
何故か二重になっている内側のガラスは割れずにいたので何となく使い続けて来たが、奥方が買い換えようと云いだしたそんな矢先のことであった。
すっかり掃除をしたつもりでいたが、転居先までついてきた。
壊れた家具類は大方棄てたが、運び込んだ洋タンスは本の山に倒れこんだせいで蝶番がねじれたらしく開け閉めが少々具合が悪い。
ベッドも大量の本と本棚の下敷きになったせいか、最近時折ギシギシと悲鳴を上げる。飾り棚の扉も同様である。
しかしながら「もったいない主義」で、人間同様残り少ない人生を共に「一病息災」でいこうと思っている。
二度の地震の後、膨大な量の壊れた家具や家電製品その他が街中に積み上げられていた。
楽しい思い出を作ってきたであろうピアノやゴルフ道具なども無造作に捨てられ雨に打たれていた。
マンションの住人達は改まった挨拶を交わすこともなく、新たな避難先を求めてチリジリに分かれていった。
奥方が奔走して地震からひと月後には現在の住まいに落ち着いたものの、少々狭くはなったがこの齢になるともう転居は願い下げにしたい。
もうやめにしようと思ったベランダの植物類がまた数を増している。奥方が大事に抱えて引っ越してきた「シャコバサボテン」は直径80㌢ほどになり、今見事に花をつけている。
ビオトープも春にメダカを入れるばかりになった。
地震発生から今日で八ヶ月「狭いながらも楽しい我が家」である。