一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

衣替え

2011-06-03 13:03:51 | 季節
   


      衣替えの季節。
      毎年この時期になると、冬物と夏物の衣類
      を前にため息をついてしまう。
      たまさかその気になっていち早く長袖をしま
      うものなら、この間のように梅雨寒がやって
      きて、またまた衣類ケースをひっくり返して
      収拾がつかなくなるからだ。

      季節の変わり目は白黒といったようにはっき
      りとはいかない。
      日本の文化も芸術も文学もそういった土壌に
      成り立っていて、それがまた捨てがたいのだ
      が、実生活ではそれがなかなか大変なので
      ある。

      そういえば1980年代末だったか、ちあき
      なおみの出るCM、昼下がりの日本間で、
      防虫剤を片手にうたうのがあった。

      ♪半年ごとにタンスにゴン。
       春に入れたら秋に買う。
       秋に入れたら春に買う。
       半年ごとにタンスにゴン。
       匂わないのが当たりまえ。

      何度も「半年ごとに~」と浮かれてやって
      いるうちに、いつしか感情のコントロール
      がきかなくなってしゃくりあげ、
      ついには泣き崩れるといったシーン。

      今思うと、あの頃はバブル全盛期、世の中が
      カルチャーセンターだのグルメだのといって
      浮かれていた。
      そんな世相を背景に、自分だけ取り残された
      専業主婦の焦りや孤独を描いていたのではな
      いか。
      そういえば、大人の女性のフリンを扱ったド
      ラマも流行って、主婦層から絶大な支持を得
      た。

      私はというと、ちょうど仕事にのめり込んで
      いた時期で、CMの意図するところを読み
      取る余裕もなく、憂鬱な顔ばかりしていた
      ような気がする。
      そして今、物憂い気分に駆られていることで
      はあまり変わりない。

      半年とはなんと早いのだろう。
      ”半年ごとにタンスにゴン”がこの先、何回
      続けるのか、また続けられるのか、そのスピ
      ードについていけないのである。

      それに、引っ越しでずいぶん整理したはずな
      のに、また物が溜まりそう。
      こんなわが身の愚かさ!!
      危ない、危ない、これはよほど意識して生き
      ていかないと、物ばかりでなく、心の沈殿物
      が山をなすのはあっという間なのだから。


      

      


      

      

       
      

      

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