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2024年ひこばえ栽培状況

2024-06-22 04:03:20 | 楽観農園
 ひこばえの栽培が進んでいる。石垣島ののぼたん農園では一期作目の稲刈りが終わり、ひこばえ農法の実証圃場が4箇所で進んでいる。



 1番田んぼでは、「台光」という台湾から来たと言われている品種を作っている。昨年の8月に1期目の播種をして、9月に40㎝角植えで田植えをした。今年の1月13日に稲刈りをした。そこから出たひこばえの稲刈りを6月8日に行った。

   一回目のひこばえは反収換算で210キロになった。そして2回目のひこばえの栽培に入った。稲刈り2週間前に牛糞堆肥の追肥を行った。そして、稲刈り1週間後にもう一度追肥を行い。刈り戻しを行った。稲刈りでは25㎝の高刈りにして、その後刈り戻した。

 一般にそのようにしているというので、試しているが、最初から低く刈る方が良いのかも知れないと思い出している。高刈りをすることで、稲に糖分が残され、根を育むという考えらしいが、実際にそういう感じがしたことは無い。

 理由はひこばえは稲の根元の一次分節から出てくるひこばえだけが有効なもので、前の稲の茎の中から出てくるひこばえは使えないからだ。高刈りをするという理由は、高刈りをすると残された葉が栄養分を根に蓄えるから、ひこばえがよく育つだろうという推測で行われているのだが、それはどうもないと思われる。



 最初から低く刈ってしまう場合と、高刈りした場合の差は今のところ無いと考えるようになった。ただいずれにしても、一次分節からだけでなくひこばえは出てくるので、それはどうすれば良いかという課題はある。ひこばえ用品種であれば、一次分節から出る性質が強くなっていると中国の品種には説明がある。

 そういうひこばえ品種は日本にはないので、一次分節からひこばえが出やすい品種を試作して見ると、1番田んぼで作っている「台光」は比較的一次分節からひこばえを出す傾向があることが分かった。ただし、「台光」は台湾で出来た古い品種のため、出穂がばらつき何時稲刈りをしたら良いのか迷うような品種である。味は半分餅米で、悪くはない。

 刈り戻し追肥して、コロガシに入る。転がしたならば、根を切るのではないかと心配していたのだが、一次分節から出たひこばえは新たに根を伸ばすので、親株の根は切ってしまって問題がないと言うことが分った。追肥は葉色を見て幼穂形成期にもう一度入れたいと考えている。



 2番田んぼは餅米品種の「ゆがふもち」である。鹿児島県農業試験場で作出された品種である。沖縄に比較的向いている品種である。12月3日に播種して、1月13日に40㎝角で田植えをした。ひこばえをやるなら、一回の収量は低くとも、作業性が良い方が良いと言うことがあり、40㎝角植えを試している。

 稲刈りは5月25日に行った。ひこばえは当初やる予定はなかったが、株がとても良いので試しに20㎝の高刈りをして様子を見ることにした。どんどん良いひこばえが出てくる、高刈りでも比較的一次分節からのひこばえが多い。ひこばえも良いのでひこばえ栽培を試すことになる。

 その後3週経過して、60㎝くらいの立派なひこばえになっているが、やはり小さな穂が沢山出てきている。これは無視をしてそのまま様子を見て、この次に成長する一次分節からのひこばえを中心に考えることにする。ゆがふもちには、追肥は全く入れてないのだが、以外に良い葉色をしている。



 幼穂形成期に追肥をする必要はあるのではないかとみているが、葉色版で葉色を確認して、判断する事にするのが良いのではないか。3週間で65㎝まで大きくなってしまうと言うことは、葉の数も少ないまま穂を出すと言うことになるだろう。良い穂にはならないかも知れない。



 3番田んぼでは「ミルキーサマー」のひこばえを試している。昨年もやったのだが、一次分節から出るひこばえが少なく、あまりひこばえ農法には向かない品集に思えた。ある程度大きくなってきたときに、いっせいにはがちゃいろくなるのだ。味が良いからもう一度試そうと言うことで、試している。

 種まきが11月3日で田植えが40㎝×30㎝植えで1月6日。稲刈りが、5月19日。稲刈り前1週間によみがえり堆肥を投入。20㎝ぐらいの高刈りにした。来年は高刈りはやらない。6月9日に刈り戻す。刈り戻してよみがえりを投入。ひこばえが実にか細いこので、このままではあまり期待できない。



 6番田んぼは「ミルキーサマー」12月3日播種。1月13日40㎝角の田植え。3番田んぼより大分しっかりした稲の株になる。収量は30㎝角に較べれば半減するが、作業が楽になり、ひこばえまでやるつもりであれば、悪くない栽培法になる。

 稲刈りは6月8日になる。梅雨に入り稲刈りが出来ないで延びた。刈り遅れ気味であったが、一番良いお米が出来た田んぼになった。出来たお米も粒張りもよく美味しいものだった。ここは刈り戻しはせずに、6月17日によみがえりの追肥を行った。

 6番田んぼのひこばえは3番のひこばえよりもいくらかしっかりしていて、期待ができる。しかし、刈り戻した3番田んぼでは出てきたひこばえが新しい根を出して、良いひこばえになる可能性もある。これからの管理に期待したい。



 この後コロガシと草取りである。6月18日に、3番と6番は行った。6番を刈り戻すか迷っている。結局すべて刈り戻した。こうして低く刈り戻すぐらいであれば、最初から低く稲刈りをした方が良いという気になってきた。

 ミズオオバコが大分出てきているが、それ程強い雑草でもないようなので、ミズオオバコを採取して野菜として食べるのが良いのではないだろうか。レタスのような味で、十分野菜として食べれるものだ。

 以上の4箇所でも3種類のひこばえを試しているが、もう一つ「台中65号」が100本ほど種籾採取と試食のために植えられている。いわゆる蓬莱米という品種だ。30年前までは沖縄の奨励品種だったのだ。これがあまり美味しくないというので、今は沖縄では作られていない。

 種籾をいただいたので、試験栽培してみている。2月20日に播種。直播き栽培。6月15日に穂揃い。晩稲のようだ。ひこばえ農法には向いているかも知れない。味覚がまずまずであれば、ひこばえも試してみたいと考えている。一回目のお米は試食して、味覚次第で、ひこばえのお米を種籾にする予定だ。

 また、北陸193号が沖縄でも晩稲のために満作になるらしいと言う情報をいただいた。そこで、現在193号の種籾を捜しているのだが、ちょっと遅かったようだが、やっと見つかった。これも試験栽培をしてみたい。193号は栽培はできると言うことは確認されているらしいので、問題は食用に出来るかどうかである。

 その意味では、5番田んぼで試作している「ハッピーヒル」「干川黒紫米」は稲の生育は良い。これも、ひこばえを試してみる予定である。味覚と、ひこばえの様子によっては、他の田んぼでも作るつもりである。

 自給のためのひこばえ農法であるから、自分が美味しいと思える品種でなければだめだ。美味しいお米で石垣島でも作れる品種。何とかそういう品種を見付けるところからだ。北陸193号が何とか食べることが出来るものだと良いのだが。
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