政府は自衛隊機をアフガニスタンに3機派遣して、邦人や日本関係者500名の救出を行う目的行動を行った。そして一人の救出に終わった。これが日本の政府と、自衛隊の力量なのだろう。そのことをよく覚えておかなければならない。日本は自助の国なのだ。
韓国では390人の救出が成功した。韓国では8月初めから外交省、国防省、法務省間でアフガニスタンにいる現地スタッフとその家族らを救出する計画を立てていたことが伝えられた。 韓国政府の情報能力の高さと、その方針には頭が下がる。
日本では真っ先に大使館員12人は英国軍機で17日に出国した 。これが政府の言うところの自助の事例。大使館員は危機を察知して、本国の邦人500名の救出どころではなく、指示を待つことも無いまま、脱出した。このような意味で日本は自助の国なのだ。
日本大使館勤務の職員22名は置き去りにされてしまった。欧米諸国は大使館で働いていた、職員も一緒に国外へ脱出をした。日本大使館では15日タリバンがカブールを支配した日に、職員に自分たちだけ脱出することを告げたそうだ。その理由は、22名はその家族まで一緒に逃げることになるから、人数が多くなりすぎると言うことらしい。つまり22日時点では、自分たちの脱出だけを考えていたわけだ。
現地に残された500名の関係者は見捨てられた形では無いのか。報道が余りに少ない。特に批判的な内容のものはほとんど見当たらない。この自衛隊の行動を報道は解釈が出来ないらしい。政府の大失敗だと思う。法律の問題を言う人もいるが、自助の国の在り方の問題だ。
スガ政権得意の棄民と考えるべきだ。自衛隊は言い訳のような付け足し行動。そもそも、15日にタリバンがカブールを制圧した際、日本政府は何を考えていたのだろう。邦人全体のアフガン脱出には大使館員も、政府も思いが至らなかった。こんな風に日本は自助の国なのだ。
日本政府が自衛隊機のアフガン派遣を決めたのは23日になってである。すでに17日に日本大使館の12名は脱出した後である。大使館員が逃げてから、6日経って、外務省に現地報告に行ってから思い出したかのような態度である。緊急事態で大使館職員が逃げ出しているのに、間の抜けたような自衛隊機の現地入り。各国の救出が進む中、格好だけ付けたのか。
現地に最後まで残り、日本人と関係者の脱出を手助けするのが、大使館員の本来の役割では無いのだろうか。そうしたことを期待するのは間違いなのだろうか。日本は自助の国だから、現地職員など放置しておけばかまわないと言うことだろうか。
15日には日本政府は大使館員12名だけの脱出を決め指示をしているのだ。その後、世界各国の動静に驚いてあわてたのだろうか。多くの国が職員をふくめて脱出をしている。大使館員現地職員を置き去りにした意味にこの時点で気付いたと言うことになる。
確かにアメリカの配下だと思われている大使館員は危険度が高い。現地のアフガニスタン職員は、タリバンから脅迫が続けられていたという。JICAの職員などは残っているらしいが、カブールから離れていれば、それほどの危険を感じていないかもしれない。立場によりタリバンへの不安は異なるのではないだろうか。ペシャワールの会では活動が地方と言うこともあり不安は小さいようだ。
福岡にいるペシャワールの会の方が、会では現地での活動は通常通りである。医療活動や、水路建設の作業は引き続き続行していると言われていた。日本政府の発表とは大分ニュアンスが違う。JICAの職員とはどんな連絡が付けられているのだろう。
現在、現地の方がどんな状況なのかはまるで分からないが、何で日本の自衛隊はそのまま戻ってしまったのだろうか。日本人一人とアメリカ人12名を運んだとある。現地には多数の難民が生じているはずだ。飛行場には何千人かの避難希望の人が押しかけている。
カブール飛行場で脱出を待っている人を、人道上いくらかでも乗せるという事はできなかったのか。この人達を隣国まで運ぶというようなことは出来なかったのだろうか。日本からわざわざ出かけて、自衛隊の活動は空しいもので終わったのでは無いだろうか。
アフガニスタン大使岡田隆氏が「アフガニスタンの平和のための最良のチャンスは今です」と言う意味不明の文章を7月12日に書いている。アフガニスタンから脱出する直前に書いた日経アジアに書いた文章が出ている。日本の大使がどのような考えを持って、アフガニスタンで仕事をされていたのかがよく分かる。そして、どんな気持ちで脱出をしたのかも想像される。
ANNの取材にアフガニスタンに取り残された日本大使館現地職員のインタビューがあった。
在アフガニスタン日本大使館警備員:「カナダやイギリスなどの大使館は現地職員や警備員を一緒に国外退避させました。私たちの命も同様に危険にさらされているので、国外退避をお願いしました。日本が無理なら第3国でもいいのです。しかし、日本大使館の担当者は『私の責任では決められないから東京と話す』と言いました。そして渡されたのは紹介状だけでした。本当に悲しくて悲しくて仕方がありません。外国の人たちは皆、アフガニスタンを去ってしまいました」 日本大使館の22人の警備員は、日本、もしくは第3国への退避を求め、大使館宛てに嘆願書を出しましたが、まだ返事はありません。
在アフガニスタン日本大使館警備員:「カナダやイギリスなどの大使館は現地職員や警備員を一緒に国外退避させました。私たちの命も同様に危険にさらされているので、国外退避をお願いしました。日本が無理なら第3国でもいいのです。しかし、日本大使館の担当者は『私の責任では決められないから東京と話す』と言いました。そして渡されたのは紹介状だけでした。本当に悲しくて悲しくて仕方がありません。外国の人たちは皆、アフガニスタンを去ってしまいました」 日本大使館の22人の警備員は、日本、もしくは第3国への退避を求め、大使館宛てに嘆願書を出しましたが、まだ返事はありません。
日本という国は国民に対して自助を求める国である。当然、大使館で働いていた人にも自助を求めて、手助けする事は無い。こんなダメな国になってしまったのだ。日本の外交官は、22人の職員と一緒に脱出するのは無理とどの時点で考えたのだろうか。
他の国の大使館では、現地の職員と一緒に脱出を試みている。一緒に逃げることで自らに危険が及ぶ可能性が出てくる。職員22名には家族がいる。脱出人数はかなりになる。それでは準備が出来ない。それでは自分たちも逃げ遅れる可能性が出てくる。こんな判断があったのだろう。
岡田大使は12日に文章を書いているときに、行うべき事は自衛隊機の緊急派遣の要請だったのではないか。韓国では8月初めから脱出計画を立てたというでは無いか。飛行場までの脱出準備である。そうすれば、15日の政府の大使館員脱出指示の際には、職員や500人と想定される日本関係者の脱出も考えられたのでは無いか。
いずれにしても、アフガニスタンでの緊急時の日本大使館の危機に対する対応。自衛隊の失敗した行動。これが日本の姿として世界に伝わるわけだ。空しいものを感じる。どこまでも日本は冷たい国である。こんなものかと思う。実に頼りにならない国に見える。
スガ政権の頭の中は、総裁選挙で一杯になっているのだろう。他のことを考える余裕も無い状態かもしれない。人のことどころでないのかもしれない。自助を標榜する総理大臣である。何とか、下村氏を下ろすことは出来た。