蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

0.5の男

2024年06月04日 | 映画の感想
0.5の男

立花家と塩谷家(立花家の娘(臼田あさ美)が嫁いだ家)は立花家の実家を2世帯住宅に建て替えて同居する。立花家の長男の雅治(松田龍平)は長年実家で引きこもっており新築後も一部屋を占拠していた。住宅メーカーの営業はそんな状態を2.5世帯住宅と呼んでいた。塩谷家の恵麻(白鳥玉季・雅治の姪)は部屋からめったに出てこない雅治を毛嫌いするが、実は雅治は恵麻がやり込んでいるオンラインゲームで有名な名人級のプレーヤーだった・・・という話。

もともとWOWOWで放映された作品。沖田修一監督ということでDVDで見てみた。

設定も、ストーリーも、結末も、有体にいってありきたり、なんだけど、とてもいいんだよね。5話に分かれているので、1日1話ずつ見ていった。次の話をみるのがとても楽しみだった。

スローテンポな展開、現実的な社会人・職業人であるのにどこか浮世離れした登場人物のキャラ描写など、沖田監督の多くの作品に共通する特色は、本作も同様。特に演技しなくてもこういう人なんじゃないか、と思わせる松田龍平がさらにそれをさらに強調していた。
今は穏やかで静かに暮らしている雅治にも、つらい過去が存在したことをほのめかすのも、よくあるパターンなんだろうけど、そのほのめかし方が上手で、納得させられてしまうのだった。

雅治の父(木場勝己)、母(風吹ジュン)も、とてもいい。2人とも引きこもりの中年の息子を全く自然に(今は)受け入れているんだけど、そうなる前には激しい葛藤があったことを、ひっそりとしかし明白に感じ取らせてくれた。

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