蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

ボクは坊さん。

2016年09月12日 | 映画の感想
ボクは坊さん。

主人公の実家は、国巡礼の札所のお寺。主人公は高野山で修業した後、書店に勤めていたが、現住職が亡くなって寺の跡継ぎになる。
寺には長老と呼ばれる檀家代表?がいるが、彼は主人公の資質に疑問を持っていて・・・という話。

高野山には学生(修行者)目当ての居酒屋がある。
位牌に戒名を印字するプリンターがある。
お坊さんだけがメンバーの草野球チームがある。

などといったトリビア?がちりばめられているのが楽しい。
本物のお坊さんが書いたエッセイが原作らしいので、(草野球で相手チームが大飛球を打ち上げるとベンチで全員が合掌する(もうだめだ成仏してくれという意味なのか、大飛球だけど念力によって呼び戻そうという意味なのかは不明)というのは作り話だと思うけど)おおむね本当の話なのだろう。
位牌の字がヘタクソでは有難みが薄れる、というのは理解できるが、まさかプリンターがあるとは・・・まあ、代筆でも実質は似たようなものかもしれないが。

主人公役の伊藤さんはイメージが(やや不本意な跡継ぎだけど、裕福なお寺のお坊さんという役に)ハマりすぎているのが、かえってイマイチのような感じがしていた。
しかし、主人公の幼なじみの女の子が出産時の脳内出血でいわゆる植物人間状態になってしまうあたりから、にわかに雰囲気が変わった。
やはり幼なじみの別の友人に対して、気の持ち方をお坊さんとしての正論で説くのだが、「ホントにそれがお前の本心なのか?」みたいに反論され、自らのタテマエと本音の隔絶具合を突き付けられて精神的に不安定になってしまう場面は、けっこう説得力があって感心した。

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