作者、梁石日は映画「月はどっちへ出ている」でお名前を知りました。
永江朗、解説
「この本で描かれているのは、まったくもってひどい世界だ。まだ初潮も始まらないような幼女が売られていく。売られた先で強要されるのは、幼児愛好家たちの相手の売春である。売春といっても、子供たち自身に金が入るわけじではない。大人たちの商売の道具にされるだけ。彼女たちはただの奴隷であり、人形にすぎない。したがって、売春というよりも、性的虐待であり徹底的な搾取である。」
この本を読むと、目を背けたくなるような描写がある、だが現実はさらに奇なるものが普通。
だが憎むべきは幼女を売った親、買う大人以上に、そうせざるをえない絶対的な貧困でしょう。貧困世界を温存することで、のうのうと豊かになっている世界がまたあるのも事実。
貧困の最たるものが臓器売買!
一人の健康な子供の臓器提供者を殺して、先進国の死にかかった金持ちを生き長らえさす。
東南アジアにおいて「臓器移植手術の値段は、、、心臓4千万円、腎臓2千万円、肺、胃、大腸、目、皮膚、骨、脳など、、、提供者1体あたり7千万円になるという」
「それら臓器、というより人体を斡旋する地元マフィア、金持ちに話を持ちかける暴力団への報酬は30%づつ、病院医師に30%」。臓器提供者はストリート・チルドレンや売られてきた子供なんで、闇から闇へただで殺されていくだけ。「豚や牛は捨てるところがないと言いますが、人間も捨てるところがないですね」
たまらなく厳しい現実が貧困世界にはあります。生まれてきたところが日本だったということに感謝していいものなのか、、、。まかり間違って、アフリカの隣り合った部族同士が殺しあっているところに生まれたら、、、、神の不公平さにも気がつかないぐらい生きることにせいいっぱいになっていたのだろう。
幼児性愛はただの性癖ですが、臓器提供はもっと多額のお金が動く、貧富の差がより醜くなる。一方は多額のお金を払い生き長らえ、一方はお金すらもらえないし、それどころか人間の尊厳など無いと言わんばかりに、生きながら体をばらばらにされ、臓器パーツとして部分が生きていくだけ。命はとられて、心臓から皮膚まで金持ちに利用されるという。
ただ、これらは暗黒のビジネスであって、人の臓器を暗黒のお店で量り売りしているようなもの。憎しみの戦争や内戦とは目的も激しさも異なる。この世でいちばん残酷なのはやはり戦争だと思いますが、、、おぞましいのはあちらです。