幻の花
庭に
今年の菊が咲いた。
子供のとき、
季節は目の前に
ひとつしか展開しなかった。
今は見える
去年の菊。
おととしの菊。
十年前の菊。
遠くから
まぼろしの花たちがあらわれ
今年の花を
連れ去ろうとしているのが見える。
ああこの菊も!
そうして別れる
私もまた何かの手にひかれて。
(幻の花・石垣りん)
2004年12月26日逝去。享年84.
この人のことも書かなければならない。
りんさんの「地方」に存在の精神を見つけ、パンフに掲げ続けている、あかんべ山。10回に来ていただき、詩を読んでもらった。以降極めて細々と付き合っていただいた。2月7日に「お別れの会」に行ってきた。いづれ書いておこうと思っている僕のなかには、未だにあの声のままの、石垣さんがいて、時々叱咤したり安寧してくれたりしている。
庭に
今年の菊が咲いた。
子供のとき、
季節は目の前に
ひとつしか展開しなかった。
今は見える
去年の菊。
おととしの菊。
十年前の菊。
遠くから
まぼろしの花たちがあらわれ
今年の花を
連れ去ろうとしているのが見える。
ああこの菊も!
そうして別れる
私もまた何かの手にひかれて。
(幻の花・石垣りん)
2004年12月26日逝去。享年84.
この人のことも書かなければならない。
りんさんの「地方」に存在の精神を見つけ、パンフに掲げ続けている、あかんべ山。10回に来ていただき、詩を読んでもらった。以降極めて細々と付き合っていただいた。2月7日に「お別れの会」に行ってきた。いづれ書いておこうと思っている僕のなかには、未だにあの声のままの、石垣さんがいて、時々叱咤したり安寧してくれたりしている。