殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

崖っぷちウグイス日記・2

2022年11月21日 14時51分01秒 | 選挙うぐいす日記
告示日になった。

いよいよ7日間の選挙戦が始まる。

年のせいだろう、昔のようなワクワク感は全く無し。

年末の大掃除に取りかかる気分よ。


今回は、いつもと勝手が違う。

前回までは、午前8時にウグイスとドライバーが選挙カーで警察署の駐車場へ行き

そこで待機していた。

市役所内に設置された選管(選挙管理委員会)から警察署に駆けつけた世話人が

署で街宣許可の申請を行い、それが済んだら選挙カーが出発して第一声という手はずだ。

しかし今回から手続きが簡素化され、警察署での申請がいらなくなったため

市役所からのスタートになった。

警察署への申請手続きが省略された時期は、都道府県によって異なるそうだが

うちらの地域は今になったらしい。


さて、市役所の選管では各候補の世話人が集まって抽選を行い、それぞれの番号を決める。

どういうことかというと、町のあちこちに立てられた大きな掲示板に

立候補者の顔写真を写したポスターがズラリと貼られているのをご覧になったことがあると思う。

立候補者の誰が、何番の位置にポスターを貼るか。

それをクジ引きで決めるのだ。


引き当てる番号は、トップ当選を連想させる1番が、皆の密かな希望。

それから1番に次いで人目に触れやすい2番、3番などの若い番号や

ラッキーセブンの7番、末広がりの8番など、いかにもめでたそうな番号が好まれる。

が、好ましい番号は掲示板の上の方にあるので、ポスター貼りは難儀になる。

掲示板の設置場所や貼る人の身長によっては、脚立が必要になるからである。

クジを引くまで番号がわからないため、陣営ではポスターを貼りに出る車の数だけ

脚立を用意しておくのが常識だ。


一方、若くない番号であれば下の方になるので、貼るのは容易くなるものの

顔写真の目玉や鼻の穴に画鋲を刺されたり、いたずら描きをされる憂き目に遭いやすい。

いずれにしても難儀なことである。


抽選によって番号が決まると、選管から世話人に選挙の七つ道具が入った紙袋が渡される。

立候補者が胸に付ける白いリボン製の造花、街宣許可証

うちらウグイスやドライバーが腕に付ける腕章なんかだ。

これらをもらわないことには、選挙活動を開始することはできないのである。


七つ道具はクジ引きで当てた番号順に渡され、受け取った人から順に市役所の建物から出てくる。

世話人がなかなか出て来ない時は、遅い番号を引いたことがわかる。

うちの候補も遅い番号だったので、世話人は出て来ない。

ドライバーと我々ウグイスは世間話で盛り上がりつつ、40分ほど待った。


やがて出て来た世話人は、紙袋の中から腕章と街宣許可証を我々遊説隊に託し

他の中身を持って一目散に選挙事務所へ帰る。

七つ道具には、ポスターを貼る掲示板が設置された場所の地図も入っていて

ポスター貼りのメンバーが、この地図を待っているのだ。

彼らは地図とポスター、そして画鋲を抱えて事務所を飛び出し、車で市内に散って行く。

繁華街から辺ぴな山奥まで、市内各所に設置された掲示板にくまなく

そして一刻も早くポスターを貼るためである。


漏れが無いよう効率良くポスターを貼って行くため、事前には入念な打ち合わせがある。

それでも地図を頼りに合計で数十箇所の掲示板を探し

できるだけ早く、そして几帳面に貼り進めるのは、慣れていないと難しい。

選挙戦にはウグイスやドライバーが必要だが、それらはお金さえ出せばどこからでも集まる。

けれどもこのポスター貼りの人材だけは、そうはいかない。

地元の津々浦々を知り尽くしていなければ、短時間でやりおおせるものではないからだ。


ポスターを順調に貼れる人材を何名確保できるか。

このことが、そのまま立候補者の力量を表すと言っても過言ではない。

告示日の午後になってもポスターが貼られてない候補が落選することが多いのは

ポスターが人目に触れる時間が短くなって、顔を売る機会が減るという物理的な現象に加え

複数の熟練者を集められない候補者というイメージが短時間で定着し

引いてはそれが不信感に繋がるからである。


さて、世話人から腕章と街宣許可証を託された我々遊説隊は

選挙カーの上に乗っかったアンドンと呼ばれる物体…

候補者の名前が書いてあり、夜になると点灯する部分…

にかけてある幕を取り外す。

七つ道具を受け取るまでは候補者の名前を開示できない決まりがあるので

名前の書かれた前後左右に幕をかけてあるのだ。


アンドンは高い位置にあるので、身長が必要になる。

小柄な相棒、ナミには届かないが、私は余裕。

ドライバーの身長も170センチ以上あるので、二人でせっせと外した。

こういう時、タッパがあると便利。



さらに身長を伸ばすべく?同級生マミちゃんの洋品店で買ったスニーカーを履いてるもんね。

カカトがちょっと高くなっているから、これで170センチは超えるぞ。


ちなみにこのスニーカー、近年の私が愛用しているアジーレというメーカーの物。

10月、この選挙戦のために新しい靴を買うべく

マミちゃん、モンちゃんと3人で女子会をしている時に、注文用のカタログを広げて見ていた。

そしたら近くの席に居た若い男の子が覗き込み、「これがいいと思う」と言うので即決した。

もちろん、全然知らない子。

しかも酔っているが、これも酒席の一興よ。


幕を外したら、さあ出発よ。

マイク、スイッチオン。

「△△町の皆様、おはようございます。

こちらは◯◯、◯◯でございます。

ただいま立候補の届け出を済ませまして、いち早く皆様の元へとご挨拶に上がりました。

これから7日間、どうぞよろしくお願い申し上げます」

4年ぶりに聞く自分の第一声、なかなか調子がええでねぇの。

《続く》
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする