殿は今夜もご乱心

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手抜き料理・マミちゃん復帰

2022年05月05日 08時20分07秒 | 手抜き料理
5月2日は、同級生の友人ユリちゃんのお寺で恒例の料理をした。

この日、お寺料理のメンバーであるモンちゃんは仕事で欠席したが

マミちゃんの方は久々の復帰。

去年の12月初旬以来なので、5ヶ月ぶりの参加である。


この日の人数は7人。

もう一人、公務員OGの梶田さんが来るかもしれないという話だったが

結局来なかった。

だからユリちゃん夫婦に兄嫁さん、そしていつもの芸術家の兄貴と

いつも整備作業を手伝うK老人、そして我々2人である。


「人数分しか作らん!」

マミちゃんは早くから宣言していた。

「しんどい思いをしてたくさん作ったって、ユリちゃんたちの晩ご飯になるだけじゃん!」

ごもっともです。

檀家さんの来る行事で手が足りないならともかく

身内の飲み食いに我々を引っ張り出さなくても、コンビニ弁当でいいじゃないか…

その上、晩ご飯用の折り詰めも欲しいなんて厚かまし過ぎる…

それがマミちゃんの主張。

ごもっともです。


とはいえ兄貴とK老人は、ユリちゃんにとって最も大切な存在。

兄貴は彼女の心の支えであり、しかも去年からユリ寺の総代を引き受けている。

そして元大工のK老人は檀家の中でただ一人、整備作業の要。

このツートップを手作りランチでもてなしたい気持ちはわかる。

来るやら来ないやらわからない気まぐれな檀家とは、扱いが違って当然である。

人数でなく、重要性の問題なのだ。


それほど大事な大事な二人だから、手ぶらで帰らせるわけにはいかない。

兄貴は独り者だし、K老人には認知症の妻と、銀行勤めで帰宅の遅い娘がいるので

晩ご飯を持たせたい気持ちは私にもよくわかる。

それを自分でやらずに他人に作らせるから、ゴタゴタするのだ。

このあたりの微妙なところを調整するのが、私の存在価値ではなかろうかと思うのである。


ともあれマミちゃんが人数分しか作らないと言ったので

私は自ら進んで持ち帰りの分を担当することにした。

だって持ち帰りの折り詰めは、飾らなくていいから楽だもんね。



では料理をご紹介させていただこう。

マミちゃん作『メンタイフライ・タルタルソース』


メンタイフィーレという名称で売られている冷凍の白身魚だ。

が、このメンタイはスーパーで売られている物とはひと味違う。

うちらの地元の魚屋さんが予約販売していて、すごく美味しく、そして高い。

私はこれが食べられると聞いて、楽しみにしていた。


タルタルソースもマミちゃん特製。

マヨネーズに、ゆで卵、玉ねぎ、キュウリ、パセリなどが入っている。

彼女はそれらをとても細かく刻んでいるので口当たりが良く

感動的に美味しかった。

しかしそれよりも感動的だったのは

人数が8人と聞いて、本当に8切れしか作っていなかったことである。



マミちゃん作『ロールキャベツ・トマトソース煮込み』


ハーブやスパイスを多用するマミちゃんの美しい料理には

ちょっと長い名前を付けたくなる。

この日も斜めに飾ったタイムの葉が、おしゃれ。

これも8個だけ作ってある。


味は…半生のトマトの酸味が立って、ひたすら酸っぱかった。

けれどもこの辺にはなかなか売られてないタイムの葉によって

かなりあか抜けた印象になっているため

激しい酸味すら、ひょっとしておしゃれなのか?

この酸味を賛美できない者は、田舎者丸出しのダサい味覚なのか?

と思ってしまう。

つまるところ、裸の王様の心境に陥るのだ。

おそるべし、ハーブの威力。



マミちゃん作『シイタケの肉詰め・ハーブ風味』


9個作ってあるが、私に2個食べさせるつもりだと言った。

マミちゃんの強い決意を感じる。

鶏ミンチの中に、タイムやローズマリー、イタリアンパセリなどのハーブを仕込んであるそうだ。

肉もシイタケも彼女の決意に共鳴したのか、ものすごく硬かったが

とても美味しかった。



マミちゃん作『タケノコと豚バラのピリ辛炒め』


茹でたタケノコをもらったので、作って来たそうだ。

これもあえて少なめの分量。

薄切りにしたタケノコと豚バラを胡麻油で炒め

味付けはオイスターソースと酒、醤油、唐辛子。

タケノコが柔らかくて、すごく美味しかった。

家に帰り、タケノコも豚バラも無いので白菜とベーコンと油揚げで真似してみたら

やはり美味しかった。

マミちゃんには教えられることが多い。

8個の決意とかさ。



今度はみりこん作『アコウ(ハタの仲間)の煮付け』


アコウはこの地方で、鯛より珍重される高級魚。

去年から今年にかけて、アコウがよく釣れた。

そうよ、これは長男が釣って来た。

冷凍していたのを解凍し、生のまま持って行った。


お寺で煮て持ち帰り用にするつもりだったが、ユリちゃんの指示で食卓に出すと

皆、夢中で食べていた。

もちろん「美味しい!」の連発だったが、それは私の技術ではない。

煮魚は一度にたくさん煮ると旨味が倍増し、誰がどうやっても美味しくなるのだ。



『ブリの南蛮漬け』


これも、冷凍庫にあったのを解凍して作った。

いつ釣ったのか、すでに記憶が定かではない。

次男の鮎釣りが始まるので、今のうちに冷凍庫を整理しておかなければならない…

それだけである。


南蛮漬けは前日、あるいは二日前でも作り置きできるので会食には便利だ。

魚を漬ける甘酢に、八角とシナモンをほんの少々仕込む。

すると美味しいわけではないが、不思議な香りに包まれて面白い。


話は飛ぶが、この正月、ユリ寺で開催されたお雑煮会での出来事である。

私は朝っぱらからブリとチヌ(黒鯛)の刺身を作って持参した。

会食が始まるとユリちゃんの姪、つまり兄嫁さんの娘…26才独身…が申しなさった。

「年末に従兄弟が魚をたくさん釣って、料理もしてくれて、すごく美味しかった!

お刺身に、昆布締めに、鯛めしに、南蛮漬けに…」

指を折りながら料理の名を挙げる彼女に、ユリちゃん夫婦と兄嫁さんも激しく賛同し

盛り上がっていた。


こういう時に、こういう思い出を口走るものではない。

「だったらその従兄弟に作らせろよ」

ということになるからだ。

繊細な人であれば

「お刺身だけ持って来たんじゃいけなかったの?」

なんて考えて、気にするだろう。


私は彼女が値打ちの低い娘だと知っているし、ユリちゃん一族も同じなので何とも思わなかったが

この状況をライブで見た夫は驚いたらしい。

「人がこしらえたモンをムシャムシャ食いながら、別の人間の料理をほめるのって有りか!」

帰りにプリプリ怒っていたので、アレらはいつもああなのだ…

感じが悪いから、だんだん人が離れて行くのだ…

と教えてやったら、あきれていた。


そういうわけで八角とシナモン入りの南蛮漬けは、私なりのささやかな復讐。

スパイスやハーブの苦手なお嬢様は、食べられん。

フフ…。



みりこん作『鮎の甘露煮』


これも冷凍庫の整理の一環。

次男が去年釣った鮎は、これで終了。



みりこん作『肉じゃが』


行きがかり上、食卓にも少し出したが、持ち帰り要員として山ほど作った。



みりこん作『ワンタンスープ』


“マルちゃんワンタンスープの素”を使用。

乾燥したワンタンも入っていて、けっこう旨い。

家ではモヤシ、キャベツ、チンゲン菜などの野菜を足すが、この日は面倒くさいのでニラ。

汁碗にはあらかじめ、ネギと細かく切った瓶詰めのザーサイを入れておき

そこにワンタン入りのスープを注ぐ。

ザーサイが、いい仕事をする。


汁物を持ち帰るために自分用の瓶を用意していたユリちゃんだが

残念ねぇ…注ぎ残したワンタンが汁を全部吸っちゃって

会食が終わる頃にはブヨブヨのワンタンだけが残留。



みりこん作『おむすび』



他には小ぶりの鯛が冷凍庫から12尾出てきたので焼いて冷まし

一軒に3尾ずつジプロックに分けて持って行ったが、撮影し忘れた。



ラストは兄嫁さん作のデザート『ヨーグルトポムポム・アイスクリーム添え』


ヨーグルトポムポムなんて、ふざけた名前…と思っていたら

ヨーグルトとりんごで作る、れっきとしたレシピがあるんですってね。

りんご入りの硬い蒸しパンみたいなものでござんした。



やっぱりマミちゃんが参加してくれると、心身共に楽。

マミちゃんがいると、ホンマに手抜き料理になる。

こうして楽しいお寺料理は終わった…と言いたいが

男性陣が帰り、後片付けが終わると、ユリちゃんの愚痴を延々と聞かされた。

愚痴も少々なら聞くが、4時起きで料理をした後、ぶっ続けで3時間はきつい。

次は中断して帰ると心に誓った。
コメント (4)
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