羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

「ヘンリー四世」

2013年11月13日 08時41分18秒 | Weblog
 例年、秋にシェイクスピア劇が、明治大学の学生達によって上演されて、今年で10回目。
 記念すべき作品は「ヘンリー四世」だった。
 8月から一ヶ月半、基礎訓練の段階で野口体操を通して、キャストの皆さんと交流し、11月10日に本番の舞台をみせてもらった。
 今回は、ハル王子の成長を中心に描き出した作品。キャストとスタッフ、総勢百数十名の大所帯にプロも関わった上演は5ステージ。すべて満席になり、初演から10年で大きな舞台へと成長したことが誰の目にもはっきりと映ったことだろう。
 プログラムも10回を記念して分厚い内容となっている。

 さて、長い歴史劇を二部構成にして3時間半におさめた。
“英国で忠臣蔵を上演するようなもの”、というたとえがぴったり。日本人にはあまり馴染みのない作品をわかりやすく見せてもらえたと思う。
 およそ三ヶ月の期間に、ハル王子だけでなく全員が、驚くほどの成長を見せてくれたことが非常に嬉しかった。
 2年、3年、そして4年と、このプロジェクトに継続して関わった4年生が多かったことも、充実した舞台を作り上げる原動力となったのだろう。経験を積み重ねる大切さを、見事に見せてくれた。

 まとめると、隅々まで行き届いた「かしこさ」とでもいえるだろうか。
 別の言い方をすれば、一本の筋を通しながら、できるだけシンプルに仕立てあげた演出プランが、成功への道だったに違いない。

 いずれにしても今年が一つのターニングポイント。
 次なる10年の出発でもある。
 翻訳までも学生達で行うこのプロジェクトは、ほぼ一年近い時間のなかで晩秋の公演を迎えるが、終わった早々に「来年が楽しみ」という言葉をそれぞれが口にしながら会場を去って、お茶の水の街に出て行く観客の後ろ姿には幸福感と満足感が溢れているように見受けられた。
 今年は、すっかり身内感覚で観劇していたようだった。
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