神保町・すずらん通り PASSAGE 1号店は京の町屋のように奥に長い。
内装デザインは鹿島茂好み。
白いアーチ型の天井は、パリのPASSAGE アーケードを模している。
見上げると、そこにはシャンデリアが。
両側には木目調の書棚に古今東西の本たちが楽しげに並んでいる。
ひとしきり回遊し終わって、3階のカフェへと。
そこは19世紀の迷宮。
ダージリン、アールグレイ、ジャスミンティー、なぜか黒豆茶も・・・・。
添えられる茶菓は、懐紙にのせられた最中だったり、フォークでいただく銅鑼焼だったり。
お茶に添えられる日本の茶菓は、浮世絵に魅せられた画家たちの感性を味覚をもって象徴するかのよう。
茶をすすりながら、甘美な一時を過ごす。
夕焼けの残照が残る街に出た。
「この1年間、自宅と病院を往復する無期限の療養生活・・・・」
これはご褒美の外出に違いない。
振り返ってシックなつくりの店に別れの挨拶。
帰路についた。

それから数日後
再開したブログ書き。
抗がん剤で痺れている指でキーボードを打ち続けて
そうなんだ!
いや、そうだ!
あの日、私は、この世からあの世へと通り抜けるPASSAGEの入り口に立って
いたのだ、と。
通り抜けを許される通行手形には、”がんのキャリア”を証明します、と記されている。
それでもわたしは、自分の足で立って歩きます、と声高に主張する。
でも最後は車椅子に乗っているかもしれない。
その時は、吉沢亮くんか、横浜流星くん似の看護師さんに見送ってもらいたい。
音楽はドビュッシーの海。
音に包まれた意識は、果てしなく遠くへと引き込まれていくだろう。
願わくば、脳全体があたたかな心地よい液体に浸って、からだは性の絶頂に至る過程にいるような・・・・・les petites morts de la fin de l'amour・・・・
今、此岸から彼岸へと導かれる わたしのPASSAGE を見つけた。
夢想という名のPASSAGEの入口にて
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