羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

NHK「病の起源」を見た!

2013年10月22日 11時40分36秒 | Weblog
 10月20日(日)夜9時放送、「病の起源」ーうつ病ーは、なかなか興味深かった。
 この病の起源は古生代5億2千万年まえの魚類まで遡れる、という。
 当時、生存権をおおいに発揮していたのは、三葉虫に代表される無脊椎節足動物であった。後にカニやエビ、陸棲の昆虫やムカデでなっていく生きものである。
 無脊椎節足動物には神経はあったが脳がない。しかし、これらの生ものに追われて食われる運命にあった魚類は、一瞬でもはやく逃げおおせるために神経の束である脳を持つようになった。これがうつ病の発症につながる「扁桃体」の始まりである。この小さな脳は追われる恐怖を感じるのだという。

 およそ2億2千万年前、哺乳類は社会を形成して生きるようになる。この時にはつまはじきされる孤独によってうつ病を起こすことになる。
 さらに700万年前、人類が脳の進化を加速させる。
 たとえばメソポタミア文明に代表される古代農耕社会を作り上げる。ここでは過剰食料を得ることで、格差社会が生まれる。

 さて、この番組では驚くべき実験を見せてくれる。
 一つは魚を使った実験である。
 同じ種、同じ数の魚を二つの水槽に入れておく。一方の水槽には天敵となる魚を入れる。するとこちらの魚達は最初は活発に逃げ惑うのだが、しばらくすると水槽の下にじっと動かなくなってしまう。つまりうつ病状態になっていると説明していた。

 もう一つは猿である。感染症を患った猿を一匹だけ隔離して、数年にわたって別に育てたところ、孤独に苛まれてうつ状態を発症する姿が画面に映し出された。

 つまり恐怖を感じると、脳の「扁桃体」が暴れ出して、その周辺部の神経細胞を破壊し萎縮させてしまう病変を起こすことが、うつ病の発症原因だという。

 ヒトの脳は、扁桃体に接して記憶をつかさどる海馬が発達し、さらに言語脳が恐怖体験を他人に伝え、それを聞いた相手は自分の経験のように恐怖を共有するようになるメカニズムをつくりだしてしまった、というわけだ。
 ただ、アフリカにはうつ病にならない部族がいるという報告もあった。彼らは狩猟民で、捕った獲物を平等に分ける暮らしをしている。この「平等感」が、うつ病に対してブレーキをかける働きがあるそうだ。
 
 もともとは魚類の防衛本能とその恐怖感を感じる脳が生まれたことから始まった。
 うつ病は、扁桃体の暴走を引き起こし、周辺の部位の萎縮を起こすことが直接的な原因であると結論づけていた。

 階級社会、格差社会、将来に対する不安が増大する社会、ノルマに追われ、何処にもあらゆるハラスメントが起こる。複雑怪奇な現代社会では、うつ病になら方が不思議と思われる内容だった。
 進化した私たち人間の脳が負った宿命の病のようだ。
 
 ヒトは誰でもうつ病に罹患する可能性を持って生まれ育ち生きていく。
 自分自身をふりかえって、思うのだけれど、幸いにして野口体操に26歳で出会ったことで、うつ病にもならず64歳にして一応元気で暮らせる今があると思うこのごろである。からだの動きによって、バランスをとる暮らしが身についたのではないだろうか。
 とりわけ「座位によるほぐし」そしてそれらを一連の動きとして流れの中で次々動き続けることができるところまで達し得たことは非常に大きいと感じている昨今である。
 動きのつながりを大事にしながら、液体的に流れていく在り方を床の上で続けるうちに、上下・左右.前後・斜め、東西南北、全ての方向を失った状態で流れ続け、あるところで終えると思わぬところにいることに気づく。
 意識を使って意思の力でこうあらねばならぬ!といった動きではなく、流れに任せて動き続ける「にょろ転」と名付けられた野口体操の一連の動きは、私にとって果報だったのかもしれない、とこの番組を見終わって思えて来た。
 それだけではないが、大きな要因の一つであるかもしれない。
 NHKスペシャル「病の起源ーうつ病」です。
コメント
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