羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

映画 懐かしさの「快感」

2013年08月28日 09時21分08秒 | Weblog
 昨日の午前中は、シェエクスピアプロジェクトのワークショップで、「呼吸」について講義と実技を行ってきた。さすがに関心が高く、30数名の学生が、皆、集中力を欠くことなく話を聞き、実践を楽しんでくれた。
 湿度が低いとこれほど過ごしやすいのか、と気分もよく帰宅し、昼食後にDVD「地球交響曲」第四番を見た。
 
「龍村ワールドは、何日ぶりだろう」
 障子には、外側に吊るしてある簾の縞模様が、時折の風に揺れる様が透かして見える。
 簾の細い隙間を抜ける日差しは、一夏の終わりを告げている。そんな午後の一時、ひとり座敷に座って、いつものように再生する。
 冊子には
《宇宙の漆黒の闇の中に、まるで一粒の宝石のように浮かんでいる母なる星ガイア》synopsisより

 この四番には「ガイア理論」を提唱したラブロック博士がいよいよ登場し、全編をとおして「地球はひとつの大きな命である」という思想が伝えられる。
 2001年に公開ということもあって、21世紀に育つ子どもたちへのメッセージを携えて創られた映画だ。
 自然の風景のなかに、人間の祈りと希望と愛を描いていく。
 
 ラブロック博士の暮らすイギリスの村の自然。
 サーファーとして大波に乗ったジェリー・ロペスのハワイの海。
 野生のチンパンジー研究家のグドール博士のアフリカの森。
 木版画家の名嘉陸稔のふるさと沖縄・伊是名島の海と人々の暮らしの中の祭り。

 海、森、空、波、雪、描き出される地球を見ているうちに、たっぷりとした呼吸をしている自分に気づいた。
 海の波に漂う幼かった日々の記憶が甦る。
 部屋の中では、語られる言葉、音楽、音が満ちている。そこに窓の外から夏を惜しむ蝉の声が邪魔にならない音量で忍び込み、溶け合うように重なっている。

 目、耳、鼻、皮膚、舌、そして記憶にからだが満たされていく。
 再び、文字を読む。
《地球はひとつの大きないのちとして、40億年の歳月を生き続けているのです》synopsisより

 ふと、翳める思いが……大正時代、浅間山の麓、利根川に近い養蚕農家に育った野口三千三の感性とリンクするものを感じるのは、私の錯覚だろうか……
 どこか懐かしさを覚える自分の感覚も、錯覚だろうか。
 
 三番までは取っていたメモをやめてみた。
 醍醐味は、浸すこと、満たすこと、ただ映像と音楽と音に委ねてみる。
 
 おぼろげな時空を超えて懐かしさに身を震わせる快感! その一言。
 
 
コメント
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