電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

佐伯泰英『鯖雲ノ城~居眠り磐音江戸双紙(21)』を読む

2009年05月09日 05時31分32秒 | -佐伯泰英
佐伯泰英著「居眠り磐音江戸双紙」シリーズ第21巻『鯖雲ノ城』は、先祖の墓参のため、おこんを伴い海路里帰りをした坂崎磐音らの、故郷・豊後関前藩での滞在生活の巻です。巻頭の豊後関前絵図が、いかにもそれっぽい雰囲気です(^o^)/

第1章「白萩の寺」。磐音、おこん、辰平を乗せた正徳丸は、無事に豊後関前藩に到着します。国家老の坂崎正睦ら家族が出迎えておりました。母の照埜とおこんは初めての対面です。後に、関係者一同が集まった席で、父・正睦は、磐音が佐々木玲圓の養子となり、佐々木道場を継ぐこと、おこんは速水左近の養女となり、佐々木磐音に嫁ぐことを伝え、坂崎家には妹・伊代の嫁ぎ先から、義弟の遼次郎を養子として迎えたいと話します。なるほど、です。
第2章「中戸道場の黄昏」。関前藩で磐音が剣の修行をした中戸道場は、沈滞ムードが漂っていました。これは、中戸先生の病気もさることながら、関前藩に食い込んできた商人・中津屋と、近年評判の諸星道場のつながりもあるらしい。
第3章「三匹の秋茜」。おこんと磐音は、今津屋のお佐紀の懐妊を祝い、西洋のゆりかごを土産に求めます。さらに、磐音・おこん・辰平の三人は猿田岬まで出向き、明和九年の事件で死んだ河出慎之輔・舞・小林琴平の三名が埋葬された墓に詣でます。ここはいい場面ではあるのですが、浜に下りてきても三匹の秋茜がまとわりつくように飛ぶというのは出来すぎでしょう。死者は記憶の中に生きるものであって、トンボになって人界をうろうろするものではないように思いまする(^o^)/
第4章「長羽織の紐」。お佐紀がひそかに用意してくれた婚礼衣装がきっかけで、磐音とおこんの仮祝言の準備が進む中、郡奉行の東源之丞が刺客に襲われます。その手には、犯人の証拠となる長羽織の紐が握られていました。どうも諸星道場の客分のものらしく、藩の物産プロジェクトの乗っ取りを企む中津屋が背後にいる模様です。国家老・坂崎正睦が、中津屋と会見すべく、浜屋敷に乗り込みます。
第5章「坂崎家の嫁」。事件が落着し、磐音とおこんの仮祝言が行われます。松平辰平は、西国武者修行の旅に出発し、磐音とおこんは箱崎屋から福岡へ誘われます。浜屋敷の大捕物でただ一人逃亡していた山瀬金太夫との勝負が、本巻のエンディングです。

第21巻にしてようやく仮祝言をあげた磐音とおこんのカップル、このペースでは本祝言まであと何巻を費やすのかと心配してしまいますが、磐音の家族親族の中で緊張して過ごす町娘おこんさんの気苦労は、けっこう大変だと思いますね~。ダンナの実家での嫁さんの過ごし方は、若さと美貌だけでは乗り切れない、落ち着きや聡明さが必要、というところでしょうか。嫁さんの実家での、婿殿の過ごし方も同じだと思いますけど(^o^)/
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