電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

訪花昆虫の減少を推理する

2009年05月04日 05時58分23秒 | 週末農業・定年農業
四月下旬の連日の低温で、果樹園の開花も遅れ気味でしたが、それ以上に、訪花昆虫が飛びませんでした。お天気が良ければ、ぶんぶんとうるさいほど飛んでいるはずなのに、全く姿も見かけませんし、羽音も聞こえない日が続きました。この理由の第一は、気温でしょう。20℃くらいから飛び回る訪花昆虫は、変温動物ですので、10℃とか12℃とかの気温では寒くて飛び回れないのだろうと思います。幸いに、このところの晴天続きで気温も上がり、訪花昆虫の活動も活発化しているようです。



ただし、訪花昆虫の絶対数が減少していることも確かです。殺虫剤の散布が影響していることも否定できないでしょうが、どうもそれだけではなさそうです。
報道では、ミツバチの不足が話題になっていましたが、オーストラリアなどからの輸入に頼るミツバチの女王に寄生する細菌の被害が多く、女王蜂の死で群れが崩壊する例が多いのだとか。女王蜂を中心に社会を作っているミツバチは、女王蜂が死んでしまうと帰巣本能が狂い、働きバチがばらばらになって死んでしまうのだそうです。なるほど、です。

もう一つ、在来のマメコバチ類の減少には、別の理由もありそうです。それは、かやぶき屋根の減少とかやの不足です。かやぶき屋根のかやに産卵し生育していたマメコバチは、かつての農村にはいたるところに住処がありました。しかし、住宅の屋根がトタンぶきにかわり、産卵場所が激減していきます。川原の天然の葦原もどんどん姿を消し、ほぼ唯一残っていたのが、果樹園の訪花昆虫用に軒先に下げたかや束だったのでしょう。でも、専業農家が減少の一途をたどり、農業の担い手も高齢化するなど、農家がこうした周辺の事情に気を配る余裕がなくなったと感じます。

我が家では、老父がかや束を用意し、日当たりの良い作業小屋の軒先にぶら下げて、マメコバチの産卵場所とするとともに、季節になるとミツバチの巣箱を果樹園に設置しておりました(*)。おかげで、ずっと受粉不良で困ることはありませんでしたが、昨年も今年も、ミツバチの巣箱を設置しておりませんし、用意したかや束も古くなり、更新の時期に来ています。残念ながら今年は間に合いませんでしたが、来年の課題に掲げておきましょう。

写真は、剪定が間に合わず、花を咲かせすぎた梨の木。



そして、こちらが梨の花です。



(*):ミツバチの巣箱の写真~2006年5月の電網郊外散歩道「ドヴォルザークの交響曲第8番を聴く」
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