電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モーツァルト「ピアノ協奏曲第16番」を聴く

2012年10月10日 06時04分21秒 | -協奏曲
通勤の音楽に、引き続きモーツァルトのピアノ協奏曲を聴いております。今回は、第16番ニ長調K.451 を取り上げます。

この協奏曲については、1784年5月15日付けの父親宛の手紙で、「リンツ」交響曲と共に4曲の協奏曲を郵送したことを知らせており、第14番ホ長調K.449と、このCDに収録の3曲(第15・16・17番)がそれだとのことです。第14番(*1)、第17番(*2)についてはすでに記事にしておりますので、今回は第16番を。

楽器編成は、Fl(1),Ob(2),Fg(2),Hrn(2),Tp(2),Timpに弦5部と、この四つの協奏曲の中では大きい方です。モーツァルトのピアノ協奏曲の場合、楽器編成の大きさと曲の音楽的な楽しさとは必ずしも関係が薄く、物量作戦よりも少数精鋭のほうが効果的なようです。

第1楽章:アレグロ・アッサイ、ニ長調、4分の4拍子。協奏的ソナタ形式というのだそうです。オーケストラによる活発なリズムが総奏で強く始まり、ワクワクするような元気の良い音楽が始まります。ピアノが入ってくると、いかにも華やかな雰囲気が漂います。フルートと呼び交わすあたりはいかにも親しげで、さらりと転調するあたりはいかにもチャーミング。
第2楽章:アンダンテ、ト長調、4分の4拍子。ロンド形式。こちらもまた、優しくチャーミングな音楽。
第3楽章:アレグロ・ディ・モルト、ニ長調、4分の4拍子。ロンド・ソナタ形式。いかにも輪舞という風な出だしで、ピアノのリズムも快活、元気。ロンド主題はフルートと第一ヴァイオリンを中心に提示されます。活気ある音楽。結尾も元気いっぱいです。

私にとって、モーツァルトのピアノ協奏曲は、ほぼどの曲も無条件に楽しめるものですが、一方で20番台の曲とは違って、10番台の協奏曲は、番号と曲とがすぐに一致して思い浮かぶほど強烈な個性を発揮するものではなく、むしろピアノを演奏する人が、一曲一曲の違いを感じ取り、それぞれを個別に評価できるものかもしれません。素人音楽愛好家である当方は、CD全集をひっくり返しながら繰り返し聴き、社交的で快活なモーツァルトの音楽の魅力を感じ取っているところです。それはまた楽しい時間です。

演奏は、DENON の紙箱全集から、アンネローゼ・シュミットのピアノ、クルト・マズア指揮ドレスデン・フィルハーモニック管弦楽団。1975年2月1~2日の2日間で録音されているようです。録音場所は、当時はまだ東独のドレスデン、聖ルカ教会で、アリオラ・オイロディスク社原盤です。

参考までに、演奏データを示します。
■アンネローゼ・シュミット(Pf)、マズア指揮ドレスデン・フィル
I=10'05" II=6'10" III=6'25" total=22'40"

(*1):モーツァルト「ピアノ協奏曲第14番」を聴く~「電網郊外散歩道」2011年5月
(*2):モーツァルト「ピアノ協奏曲第17番」を聴く~「電網郊外散歩道」2012年9月

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