電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

やっぱり録音は良いほうがありがたい

2007年04月13日 21時46分10秒 | クラシック音楽
歴史的な名演奏として記録された一回限りの演奏会のすごさもわからないではないのですが、やっぱり録音は良いほうがありがたいです。ねぼけたような音よりも明瞭な音、ぎすぎすした音よりも豊かな音、そしてのっぺりした平板な音よりも各楽器の配置が聞き取れる音。そんな録音が好ましいと感じます。演奏も大事、録音も大事。音楽LPやCDを収集する者としての、実は本音の部分かも。

ただし、録音談義は難しい。録音のよしあしについても、どうも普遍性のある定義が難しいようです。自分はこう感じた、ということしかいえません。

まだ若い頃に、許可を得てオーケストラの生録音に挑戦したことがありますが、手持ちの機材を寄せ集め、何本かのコンデンサ・マイクロホンを立ててミキサーでミキシングし、録音したテープをプレイバックすると、なんとも情けない録音です。機材の差、マイクセッティングの差、ミキシング技術の差、会場の音響のとらえ方の差などなど、素人とプロの差をいやというほど感じました。

しかし、逆に言えば、そのレベルの録音のよしあしは、素人にもはっきりわかる、ということです。ほぼ同時代のAの録音とBの録音の違いは素人には難しいですが、1940年代の録音と1990年代の録音の違いは明瞭です。注意して聞けば、1960年代の録音が、やや古びて聞こえることも、認識できることです。

また、1960年代の録音は、演奏が素晴らしい場合には、しばらくすると気にならなくなってしまう。1940年代の歴史的録音は、資料的に聴く場合は別ですが、残念ながら聴いて楽しむには音の貧弱さを最後まで意識してしまう。そんな違いも感じます。
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