電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響第180回定期演奏会でフランス音楽を聴く

2007年04月15日 20時28分03秒 | -オーケストラ
たまに有名オーケストラが来演することがあっても、毎度毎度似たようなプログラムでは、いまひとつ魅力がうすいものです。オーケストラが地元に根付いていることによる嬉しい影響の一つに、曲目の多様性があげられます。たとえば今回の山響第180回定期演奏会「珠玉のフランス音楽の玉手箱」と題した特集。プログラムは、

ラヴェル 組曲「クープランの墓」
ピエルネ ハープ小協奏曲 作品39
~休憩~
ラヴェル 「マ・メール・ロワ」組曲
ドビュッシー 子供のためのバレエ音楽「おもちゃ箱」

というものです。一晩でこれだけの音楽を聴くことができる機会は、そう多くはないでしょう。

指揮は黒岩英臣さん、コンサートマスターは犬伏亜里さん、ハープ小協奏曲のソロは竹松舞さん。会場は、山形県民会館です。いつものプレトークはなしで、「クープランの墓」から始まりました。
第1曲、「プレリュード」。パーカッションがなく、弦と管のみ。木管の後に、弦がゆらゆら揺れるような旋律を奏で、ハープも入ります。感覚的な響きです。
第2曲、「フォルラーヌ」。初期のプロコフィエフなどにも共通する、不思議な音階、和声感。ヒョコヒョコと道化た歩き方を思わせるリズムが面白いです。
第3曲、「メヌエット」。オーボエとファゴットの音色がなんともすてきです。曲の終わり方に余韻があり、しゃれています。
第4曲、「リゴードン」。活気のある始まりです。金管も出番が出来て、途中には中東ふう、あるいはモロッコ風の音楽も。弦のピチカートとオーボエのところは素晴らしかった。拍手も当然でしょう。

ピエルネのハープ小協奏曲では、指揮者の左に並んだハープに、あらためてデカイと感じました。ハープを弾きこなすには、かなりの体力がいりそうです。純白のドレスの竹松舞さん、この三月に順天堂大学医学部を卒業したばかりなのだそうで、実はお医者さんの卵なのだとか。ステージ上をすたすたと歩く様子が、なんとも「歩くの速~い!」。やっぱり忙しいお医者さんの生活に適応しているのでしょうか。

ハープという楽器は印象的な音色ですが、音量はあまり大きくありません。デッドなホールの特性もあるのでしょうが、オーケストラが静かに奏する場面でハープが活躍するように書かれているようです。優雅に見えますが、けっこう大変そうな楽器ですね。この曲には、音色の感覚的な楽しみは多く、音響的に優れたテルサホールならもっと後ろまで小さい音も聞こえたのではないかと思います。

休憩時には、クロワッサンとコーヒーで軽食。ほっとしていたら、旧知の方と遭遇。今も社会人合唱の指導をしておられるとか。地元の演奏会では、こんな楽しみもあります。まずはお元気そうでなによりでした。

後半はラヴェルの「マ・メール・ロワ」組曲から。トランペットやトロンボーンのいない音楽を、黒岩さんは指揮棒なしでていねいに音をつむいでいきます。ホルンはときどきミュートがかかるようで、やわらかい響きに終始します。犬伏亜里さんのヴァイオリン・ソロと管の対話が美しい。

ドビュッシーの「おもちゃ箱」では、黒岩さん、指揮棒を持って登場。トランペットやピアノ等が加わります。弱音の弦にピアノの印象的な音、そしてフルート。うわ~ドビュッシーだ。響きがとても澄んでいます。弦楽合奏の中にトライアングルが響くように、あまり多くの音が重ならず、響きが濁りません。一種、神秘的な印象も受けます。

盛大な拍手に答え、ハープやトロンボーン等も加わり、フルメンバーでアンコール。

グノー 歌劇「ファウスト」より第5曲「バレエ」

今回も、いい演奏会でした。



それと、ロビーで山形交響楽団のCD等のほかに、山響グッズを販売していました。今回は、山響ロゴの入ったクリアファイルを二種類、購入してきました。資料を持参するときなど、さりげなくみせびらかしたいと思います(^o^)/
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