電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

小説新潮が吉村昭特集

2007年04月05日 06時18分40秒 | -吉村昭
小説新潮誌が、「矜持ある人生」と題して、吉村昭の特集を組んでいます。未発表原稿が二本発見されたので、それを掲載すると同時に、夫人の津村節子さんと瀬戸内寂聴さんなどが、対談を行っています。

新発見のエッセイは、連載「わたしの普段着」のために書かれたらしい、「男と女」「郷土史家への感謝」の二篇。

表紙が、書斎で本を広げる氏の写真です。たしか、夫人の津村節子さんの机も、この隣にあったはず。背中側には、火鉢のような和風の接客コーナーがあったように記憶しています。作家夫婦が、一緒の仕事場で仕事ができるか。これは、興味深いテーマです。わが家では、できません。始終音楽が鳴っているのと、キーボードを打つ音がうるさくて気が散るのだそうで、子供たちも逃げ出しました。では、吉村昭・津村節子夫婦の場合はどうだったのだろうか。

ここからは推測です。夫人のほうが先に世間に評価されたために、吉村昭氏は一時夫人に嫉妬します。しかしそれを恥じ、六畳間の一緒の部屋で、夫人に負けずに世間に認められる作品を書こうと、自分に言い聞かせるのです。有名作家となっても、別々の仕事室を持たなかったのは、もしかすると、そんな類の夫婦の約束があったのかもしれません。
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