初めて訪れる皇居三ノ丸尚蔵館で、今開催されている「瑞祥のかたち」を鑑賞する。
瑞祥の意味は「めでたいことが起こる前ぶれ」と言うことのようだ。
絵画をはじめとする芸術作品にとんと造詣はないが、「若冲と大観」のキャッチコピーに惹かれて鑑賞することに決めた。
まずは年の初めは宝船に乗って、楽しい旅に出よう。
古の言い伝えでは「宝船の絵を枕の下に敷いて寝るとよい夢を見る」がある。
鼈甲造りのこの宝船には、農産物や水産品など、長崎県の重要物産が積み込まれている。
長い年月をかけて深海で生育する珊瑚は、まさに海の宝石と言って過言ではない。
輝く色彩と造形美は、まさに吉兆の訪れを予感させる。
足・髭・触覚などが動く鼈甲細工の逸品だ。
色・形どれをとっても本物と見違える出来栄えだ。
皇居吹上御苑で採取されたキノコ、マンネンタケは霊芝と呼ばれ万病に効く薬の元、まさに長寿を象徴する瑞草。
本作は、乾燥させたマンネンタケを黒檀の基台に植え込み、朽木を象っている。
七福神の1神に数えられる寿老人は、福相そのものだ。
鹿とセットで表されることが多く、判り難いが左手でそっと鹿を抱いている姿だ。
鳳凰は、優れた天子が世に現れる兆しとして尊ばれる伝説の瑞鳥だ。
岩にしっかりと足をつけ、翼を広げ、尾羽を逆立てた姿を鋳造、彫刻、象嵌の技術を駆使して表現している。
注意深く観察すると、尾羽の先端に孔雀石を嵌め込んでいるのが分かる。
不老長寿の代表的な動物が鶴である。
仲睦まじく寄り添う、タンチョウ鶴のつがいを金属で表現している。
羽や細く長い足を、繊細な彫刻技術によって、見事に彫り出している。
鶴は千年、亀は万年のことわざ通り、長寿を祝う縁起の良い生き物とされている亀。
五匹の亀×万年=御(五)万歳と洒落ている。
銀製の花盛器、少しわかり難いが、鉢の両端に鳳凰がとまり、胴部分の右につがいの鶴、左側には雪を頂いた老松が描かれている。
台座は四神相応で、右に青龍、中央に朱雀、左に白虎、奥側に隠れて玄武が鎮座している。
首の長いキリンは実在の動物だが、喜ばしい吉兆の象徴である麒麟は架空の生き物。
一角獣(ユニコーン)を起源とする説に基ずく麒麟の雄々しき姿。
額の一角と、大きく羽ばたく翼が特徴的。
鹿や馬の姿を起源とする説も多く見られる。
中国では思慮深く、害を遠ざけ、聖王の時代に姿を現す仁獣であると言われている。
ライオンをデザイン化した獅子は、百獣の王として、百家の王牡丹と共に描かれることもある。
日本では神仏の守りとして、多くは社の門前に狛犬として鎮座する。
人の一生を表すとして、「あ・うん」の一対で配されることが多い。
青磁の壺に描かれた四匹の獅子像。
アフリカや中東に生息するライオンを中国では獅子と発音するが、日本で獅子と言えば鹿や猪のこと、これらと区別するため、架空の聖獣を「唐獅子」と呼ぶようになったとか・・・
宮内庁所有の置物を間近に見られる展示会、芸術に縁遠いオイラにも美しさの一端は伝わってきた。