<斎場の脇から、男体山がその雄姿を現していた。>
母の4つ下の叔父が亡くなった。昨晩お通夜、本日告別式。昨晩は斎場で一夜を過ごした。叔父は享年75歳。兄弟の中では一番大きく、元気で、誰からももっと長生きするものと思われていた。それが、突然心筋梗塞で亡くなった。
この一日半、叔父との思い出を考えていた。
叔父はサツキの植木とか盆栽が好きで庭に棚を作って並べていた。前に、川端康成の「山の音」の以下シーンを読んだ時、思い出したのがこの叔父の棚だ。
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「盆栽の棚に雪の積もった朝、素直な髪のお河童の姉さんが、赤い元禄袖を着て、植木鉢の雪を払っている姿など、今でも目に浮かぶようだ。くっきりときれいにね。信州は冷たいから、息が白い。」
その白い息も少女のやさしさで匂うようだ。
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川端康成の巧みな描写に感心するとともに、それを裏付ける情景が小生にとっては叔父の庭だった。
また、叔父は自分の身なりには無頓着で、兄の結婚披露宴の時だったか、後ろ髪が思いっきり寝グセのままだった。最近、キンクロハジロなる水鳥を見た時に、真っ先に思い浮かべたのがこの叔父である。非常に世話好きな人で、その人柄は昨晩の通夜と本日の告別式に駆けつけた人の多さが証明していた。
ご冥福を祈ります。
さようなら。
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