イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「開高健の憂鬱」読了

2007年09月18日 | Weblog
仲間秀典「開高健の憂鬱」読了
タイトルだけを見てネットで注文したのだが、医師の書いた本であった。
病跡学というものがあって、いわゆる天才と呼ばれるひとと精神疾患の関係を考えるものらしいのだが、この本は開高健が鬱病であったと仮定して作品にどのように反映されているかを説明している。

開高健は鬱病と鬱病の中の躁状態を繰り返しながら小説を書く時期とエッセイを書く時期が自然と分かれ、また、海外へ繰り返し出かけた理由にもなっていると説明されているが、素人からみるとこれはかなりこじつけになっているのではないかとかんぐりたくなってくる。

確かに天才と呼ばれる人は変わったひとが多いらしいがその人たちが全部精神病だなどと言われてしまうと今の文明世界は精神病患者のおかげで成り立っていることになってしまう。でも、これも面白いかも知れないが・・・。

鬱病を治療する有効な方法が外に出て手を使ことであり、開高健も鬱を克服するために釣りに出たと書かれている。これもどうかな~。
彼は「男は心の中に傷があるから釣りに行くのである」と語っているが磯に上がっている人のすべてが鬱病とは思いたくないし、僕も鬱病だから釣りに行っていると思いたくないから、できれば開高健も別の傷を癒すために釣りに出かけたのであってほしい。前に読んだ「開高健 旅と表現者」では別の理由があげられていたが本当の所なんかはわからないのだろう。

しかし、これだけの表現力とバイタリティーを身につけられるのなら鬱病であってもいいなと思う僕はやっぱり鬱病にはなりきれないのだろう。

全体の内容は、いろいろな人の開高健論が引用されていてなかなか読み応えのあるものではあった。硬い本だが居眠りをすることなく読み終えることができた。

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