場所:田辺湾 カグラ
条件:大潮 5:46満潮
釣果:ボウズ
今年はどうしても3月中に2回は田辺に行きたい。
磯釣りをやらないと僕がボクでなくなるような気がする。
般若心経の最後のほうにある、“掲帝 掲帝 波羅掲帝 波羅僧掲帝 菩提僧莎訶(ぎゃーてー ぎゃーてー はーらーぎゃーてー はらそーぎゃーてー ぼーぢーそわかー)”というのは意味のない呪文のようなものらしい。
心を空っぽにして呪文を唱えると心が落ち着いて悟りに近い心境が得られるらしい。
エサ箱からオキアミを取り出し、シッポを喰いちぎってハリに刺す。
ヌカを右手にすくってオキアミを乗せる。
左手でまたオキアミを取ってその上に乗せる。
その上からヌカをまぶしてゴルフボールより少し大きめのダンゴを作って勺の上に乗せて放り投げる。
ヌカダンゴの重みでウキが沈み、再び浮き上がってくるのを待つ。
1日中これを繰り返す。ある時点からこれが無意識に繰り返されるようになる。アタリのない日は無意識がいっそう際立つ。
僕もこのときは心が空っぽになっているのかもしれない。
僕はボクなりの悟りの境地になっている。これが僕がボクでいるひとつの形だ。だから磯に立たなければならない。
しかし、船の釣りのシェアが多くなってくると、体力、コストの両面から磯への足が遠くなってくる。
だから今年の春は2回は行きたい。
3月の今後の予定を見てみると、今日行かなければ確実に1回で終わってしまう。
夕べの会社帰り、北風はものすごい。午前2時半に起きて外に出て見ると風は治まっていない。
それでも天気の回復に淡い期待をこめて家を出た。
沖磯はどう考えても紀州釣りができる状況ではないので今日は湾内のカグラだ。この磯に乗るのもなんと2年半ぶりだ。
年々歳々人は変わるが、磯の形は当たり前だがまるで変わっていない。うれしいかぎりだ。
しかし、朝はものすごい北風が吹いている。
釣り座からは若干の追い風になるのでなんとか釣りにはなっている。
水温が高くなっているらしく、こんな状況でも朝一番からアタリはある。キタマクラ、チャリコ。なにやらひょっとしたらいい感じなのかもしれないと思ったが、最初の30分ほどのことだった。
それからはまったくアタリはなく、エサもそのまま残っている。
それでも午前7時半ごろアタリらしいアタリがあってサンノジが上がってきた。
しかし、それからは長い沈黙が続く。ずっと続く。
次に動きがあったのは午後1時半を回ったころ。
ウキが少し動くようになってきた。風も大分穏やかになってきた頃だ。
フグが釣れ、チャリコが食い。その中で小さいグレが釣れた。
これが最後のまともな魚。
風は終始後ろから吹き、けっして釣りにくい状況ではなかったがチヌの顔を見ることができなかった。
唯一の収穫はこの手袋。
おだんごくらぶの管理人の土さんに教えてもらった手袋だ。
寒い中でも手袋をはめたままでダンゴを握れる。
これはいい。少々寒くても紀州釣りができるのだ。