イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「開高健の本棚」読了

2021年12月04日 | 2021読書
開高健 「開高健の本棚」読了

開高健記念館に蔵書されている書籍の画像を交えながら師が過去に書いた書評や書籍に関するエッセイ、小説を抜粋してまとめている。

開高健記念館というと、僕は2003年4月の開館1週間後に訪問している。まだ、ブログを書き始めてはいなかったのでどんな行動をしていたかというのを覚えていないが、横浜に住んでいた友人の家に泊まって茅ヶ崎へ向かったことを覚えている。
開高健記念館は師が暮らしていた茅ケ崎市の私邸をそのまま記念館として開放している。記念館がオープンすると聞きなんとか行かねばと東京出張を隠れ蓑にして夢にまで見た地に向かったのだ。
駅前の小さな本屋には師の本がいっぱい売られていて、おそらくすでに絶版になっていたものもあったのだろう、それまで読んだことのない本をかたっぱしから買い求め、記念館へ向かった。そこで見た館内の様子はこの本に掲載されている写真そのままだ。師が生活していた息吹がまだ感じられるようであった。なつかしい。



師は、よい本というのは、そこに鮮烈な一言半句が書かれているものである。言い換えれば、鮮烈な一言半句があればそれで充分であるとよく書いていた。芥川賞の選考委員をしていた時も、作品の中にそんな一言半句があるかどうか、そこだけを見て推薦するかどうかを決めていたという。
そして、書評といえども、師の文章には一言半句が目白押しである。一言半句だらけだとそれはもう一言半句とは言わないのではないかと言われてしまうかもしれないがそうなのだから仕方がない。
最近はめったに師の文章も読むことがなくなり悲しい限りだが、久しぶりに読んでみると強烈な滝のしぶきを浴びたような気持になる。
「わたしのなつかしい一冊」でも書いてみたが、僕のブログも師の足元にでも近づけるような文章を書いてみたいものだと思うのである。

写真集に近い構成なので誰かがその書評について何か解説を書いているようなものではないので、内容としては「開高健は何をどう読み血肉としたか」のほうが濃いものであったと思うのだが、ひょっとしたらこの2冊の本を同時に読み進めることができればもっと師の文学世界に没入できたのではなかったのだろうか・・。

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