青春18きっぷの有効期限も残り少なくなり、最後に残った1枚を使うべく、東海道線の列車に乗る。先週身延線の旅に出たが、その時と同じく、東京5時20分発の静岡行きに乗る。「ムーンライトながら」折り返しのこの列車、東京始発時点で座席は埋まり、その後も通路、デッキに人があふれかえる。座る分には快適なのだが、始発列車がこれだけ混雑するのもどうかと思う。
さて今日は三島で下車し、隣のホームの伊豆箱根鉄道駿豆線に乗る。この線で修善寺を目指す。実に久しぶりの乗車だ。セミクロスシートの列車で、伊豆半島の中央部に分け入っていく。何でも今年は、修善寺が開かれてから1200年にあたるとかで、さまざまなイベントが行われるようだ。列車の先頭部にはヘッドマークも掲げられている。
修善寺の駅前にはバスターミナルがあり、伊豆のあちらこちらに向けてバスが発車している。その路線を仕切る東海バスの営業所で見つけたのがこの「天城路フリーパス」。修善寺~天城峠~河津駅までの路線が2日間乗り放題で1900円。通しで乗っても1650円の区間、どこかで途中下車すれば元をクリアする。今日は何年かぶりに天城峠を越えて河津まで行くが、まさにうってつけのきっぷである。
その前に、修善寺に来たからには修善寺温泉へ。ここへのバスも、早速この「天城路フリーパス」を使用する。そして、修禅寺への参詣である。元々は弘法大師が開いた寺なのであるが、鎌倉時代に禅宗に代わったという。ただ、それよりもこの寺を有名にしているのが、鎌倉2代将軍源頼家の非業の死の舞台となったこと。宝物館に大きな木彫りの面があり、顔面が割れたようなつぶれたような表情をしているが、これは、頼家が湯船に大量の漆を入れた風呂に入れられ、顔も身体も醜くただれたその姿を面にしたという。この面に込められた悲劇を物語にしたのが、岡本綺堂の「修禅寺物語」。
今の修善寺は、頼家や、同じく非業の死を遂げた源範頼の墓もあるのだが、桂川の川べりにある「とっこの湯」を初めとして、落ち着いた風情の温泉街である。朝の温泉街、しゃくなげの花や、竹林の風情を楽しむ。ただ、温泉街とはいうものの、温泉には入れず・・・。外湯もあるのだが、営業は午後からという。まあ、ここは修禅寺に参詣できたことでよしとし、もう一度修善寺駅に戻る。
ここから、天城峠に向かうバスに乗る。観光バス型の車両で、旅行者の姿も見かける。道端のいたるところに桜の花を咲かせる中、天城峠に向けてバスは走る・・・。(続く)
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