昨日の「風っこ南房総」の記事の続き。
安房鴨川からの外房線の列車に乗る前に、駅横に「鴨川温泉」の幟が立つ中で、無料の足湯を見つける。時間があるので大和人さんと二人入ってみるが、かなり熱い。10分もすれば足の部分が、靴下を別に履いたかのように真っ赤になる。まあこれが、鴨川温泉の特徴なのかもしれないが。
外房線の列車は、特急「わかしお」用の新型車両。東京行きだが、館山までは普通列車の扱いという。ガラガラだったので、大和人さんとそれぞれ前の座席を回転させて4人がけのシートを作成。「風っこもよかったですが、何かこう、脚を伸ばして座るってのがあればいいですね」と話していた大和人さんの想いが通じたかな。勝浦までの一時はそれぞれ4人がけシートをこしらえてしばし休憩。
勝浦で後続の普通列車に乗り換え、大原着。ここで下車する。純粋な房総半島一周であれば、このまま外房線に乗れば早く千葉に戻れるのだが、変化をつける意味で、いすみ鉄道に乗ってみる。「なのはな」のヘッドマークをあしらった、その通りに菜の花色の車体に緑の帯を巻いたレールバスが停まっている。ロングシートがほぼ埋まるくらいの乗車率で発車。
乗車券であるが、終点の上総中野で接続している小湊鉄道で五井へ抜ける「房総半島横断きっぷ」というのがある。これを使えば、通常1990円のところが1600円とお買い得。以前、小湊鉄道の五井から乗った時は五井駅の窓口で買った覚えがあるが、いすみ鉄道側の場合、事前に運転士にこのきっぷを買うことを申し出て、途中の唯一の有人駅・大多喜に着いた時に駅係員が車内に持ってきたのを引き換えに受け取るというやつだ。
沿線は、「なのはな」のヘッドマークにふさわしく、菜の花の姿を見かける。よく観光写真にあるように、列車の両側に菜の花畑が見渡す限りに絨毯のように広がる・・・ということはないが、線路の道床際とか、土手に生えているのが多い。さすがこのあたりは看板にふさわしい車窓である。
一つ不思議なのが、いすみ鉄道の各駅の駅名標。普通に昔ながらのパネルに書かれたものがあるかと思うと、JRの駅名標のようなデザインを施したものがあり、高校の美術部が駅名を書いて駅名標をこしらえたものもある。その一方で、長年の風雨にまかせて外側はさびつき、字もまともに読めなくなった駅もある。これがバラバラに登場するのだから、いったいいすみ鉄道の考えがどうなっているのかわからない。
上総中野着。小湊鉄道へは線路を渡って乗り継ぐことになるが、第一この駅自体が無人駅。お互いを分け隔てるのはホームへの渡り通路くらいで実にあっけない。大和人さんは、跨線橋があったり切符売り場があったり、それなりの乗り継ぎ駅をイメージされていたようで、このボーダレスさを見て半ばあきれ返った感想を持ったようだ。まあ、それも無理ないか。やがて五井方面からの折り返し列車がやってきた。この先、それぞれの線路に乗り入れて半島の向こう側に行ってしまえばとも思うのだが、線路のつくりも微妙に先へ進めないようになっている。
さて、小湊鉄道。クリーム色に朱色という、昔ながらの塗装。いかにも「気動車」という呼び名がピタッとくる。「KTK」のロゴもポイント。また車内はロングシートではあるが、気動車らしいエンジン音や揺れを楽しむことができる。また、今時珍しくワンマン化されておらず、女性車掌が乗っているのも特徴。車内に求人広告が出ており、女性の車掌や駅務員の募集を行っていた。その一方で男性には運転士や車両整備士の求人。何とか地元の雇用も確保しつつ、路線も守ろうという姿勢がうかがえる。
夕方の列車のこととて、そろそろ周囲が暗くなったところで五井着。こうして、やや変則的な形ではあるが、房総半島の一周は相成ったわけだ。あとは東京へ戻るだけ。
千葉のディスティネーションキャンペーン。確かにこうして訪れると、今回行くことのできなかったスポットを含めて、房総には実に多くの見所がある。ただ大事なのは、今回のキャンペーンを一過性のもので終わらせるのではなく、キャンペーンが終わった後でも本当の意味での観光客誘致や町おこしにつなげること。というわけで、もっともっと房総の魅力をPRしてほしいものだ・・・・。
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