まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

近鉄・阪神・山陽横断ツアー~六甲おろしに晴れたる青空

2014年07月18日 | 鉄道企画もの

近鉄・阪神・山陽横断ツアーも阪神区間・尼崎にさしかかる。次の見どころは尼崎車庫へのピットインと洗車体験。外は雨もやんできて、ホームには大勢のファンが撮影に押しかけている。

Dscn7943 Dscn7945 仕事の関係で阪神尼崎は利用することも多く、三宮、姫路方面の線路のさらに外側に引き込み線があるのは知っている。そこに入り、車庫への線路に入る。こうした角度で尼崎のホームを見上げるのはもちろん初めてである。

Dscn7951 屋根のある車庫まで入る。両側には検査用の道具というのかいろんなものが転がっている。こういうのを見るのもなかなかできるものではない。技術的なことがわからないので、整備関係のものだな、と一括りに認識する。

「これから洗車体験です」というアナウンスが入る。注意事項として「絶対に窓は開けないでください」と言われる。考えるまでもなく当たり前のことだが、そこは何をしでかすかわからないのが鉄道ファンの「その筋」の人。あるいは子どもが面白がって窓を開けるかもしれない。ここでクギを差しておく必要があるのだろう。

Dscn7954 ピットを出て、ゆっくりと三宮方面に動き出す。車庫に勤めるのか、あるいは研修中か、若々しい社員たちが手を振って列車を見送ってくれる。

Dscn7955 そして次の瞬間、窓に大量の水滴。ただし窓に当たっていたのは2~3秒くらいか。洗車機といってもガソリンスタンドやコイン洗車場にあるような小ぶりなもので、列車は一瞬で通過する。ただその水圧は相当なものだろう。他の客が阪神の女性助役に洗車の頻度はどのくらいか訊いている。ほぼ毎日行われているとのことで、洗車といっても特別なものではなく、人間で言えば仕事や学校から帰って手洗い、洗顔をするような日常的なものか。

Dscn7960 しばらく引き込み線で退避し、定期の列車が一通り出てから本線に戻る。と、前方に阪神の車両が留置されているのだが、その間に茶色の塗装の車両を見かける。一瞬、近鉄奈良線の100周年記念塗装の近鉄車両かと思ったがどうも様子が違う。

Rscn7964 ガタゴトと本線に戻る時に、車両の間に再びその車両を見るが、はっきりと「Hankyu」のロゴが見て取れる。これはどういうことか。他の乗客も「あれ、阪急ちゃうん?」「ホンマや」「何で阪急こんなとこ来とんねん?」といぶがしげである。

この日のツアーから帰宅後にネットで調べたところでは、この阪急車両は神戸高速経由で尼崎車庫まで回送されてきたものである。能勢電鉄に譲渡するに当たって一部改造が必要らしいが、阪急の正雀工場が満杯ということで、阪神の車両メンテナンスで作業を行うことになったとか。神戸高速の高速神戸や新開地では阪急と阪神の車両が同じホームに並ぶし、これを媒介として両社の車両が乗り入れることは可能ではあったが、実際に阪急のマルーン色の車両が、阪神の中でもコテコテのエリアである尼崎に顔を出すのは経営統合前後を通して初めてという。

私が乗っているのは近鉄・阪神・山陽という3社を一気通貫で走る列車であるが、鉄道ファンの注目度とすれば、「阪急の車両が阪神の線路を走る」という史上初の出来事のほうが圧倒的に高かったようで、こちらのほうが新聞記事になったくらいである。ともすれば、阪神、山陽、近鉄に加えて阪急と、アングルとタイミングがよければ4社の車両を1枚の写真に収めることも可能である。別に阪急が貸切列車にぶつけて来たわけではないだろうが、一本取られたなと思う。

昔、かんべむさしというSF作家の作品に「決戦・日本シリーズ」というのがあったのを思い出す。阪急ブレーブスと阪神タイガースが日本シリーズを戦うのだが、「日本シリーズで勝ったほうの電車が、阪急と阪神の接点である今津駅を乗り越えて相手の線路を凱旋走行する」というイベントが某スポーツ新聞により企画される。普段からお互いライバル視する両方の沿線住民やファンはシリーズ前から熱狂し、シリーズは第7戦でも引き分け。そして運命の第8戦は・・・・。

小説では、「どちらも勝ち」となっている。というのが、最後は本の上段と下段が分かれ、それぞれ阪急側、阪神側の勝利という結末が書かれているのだ。さらにその後は・・・というものである。

この「決戦・日本シリーズ」は1974年の作品というから、ちょうど40年前のことである。40年が経過して、その結果は阪急電車が阪神に乗り入れるというものだった。阪急と阪神も同じグループの会社となり、鉄道のカラーは全く異なるが、グループ会社ということでこういう芸当もできるようになった。当時は全く考えられなかったことだろう。いずれ、乗客を乗せたイベント列車でも走る日が来るだろうか。

一方野球のほうでは、阪急ブレーブスという球団はなくなった。阪急だけではなく、近鉄も南海も、私鉄会社の球団としては歴史に幕を下ろしている。ただその中で鉄道球団の老舗的地位を守っているのが阪神である。アンチタイガースとしては面白くないが、それが現実なのだからどうしようもない。

Dscn7973 尼崎を出た列車の停車駅・・・実際にドアを開け、乗客が外に出ることのできる最初の停車駅は甲子園である。この日はタイガースの試合もなく、最も球場寄りのホーム、野球開催時には降車専用となるホームを貸切列車のために使うことができる。ここで30分近く停車する。近鉄奈良を出ておよそ2時間、初めてドアが開くということで乗客もホッとした様子である。トイレにも長い行列ができる。

ここは昼食休憩の位置づけでもある。事前に予約した人には限定の「タイガース弁当」の引き換えがある。これをロングシートで食べる人も多い。私は注文していなかったので、乗車前にコンビニで購入したおにぎりやサンドイッチでの昼食である。

Dscn7969 残念ながら改札の外に出ることができなかった。あげく、普通の梅田、三宮方面のホームに抜けることもできない。まあ混乱を避けるためには致し方ないのだろう。少しでも時間があれば甲子園球場の前まで行って、奈良の寺社群と姫路城という世界遺産の間にあって、「野球文化遺産」とでも言うべき甲子園球場を加えようという気があったのだが。まあ、それは仕方がない。ただ、駅が改装工事中ということもあってか、改札の内側に自動販売機もなく、水分補給をしようという人が難儀そうにしていたのは改善点である。アイスクリームの立ち売りはあったが、水分補給や熱中症予防であればお茶や水のペットボトルこそ売るべきではないかと思う。

Dscn7971 Dscn7972 停車中にはホームに六甲おろしが流れ、また屋外ということでよりよい条件での撮影タイムとなった。

Dscn7979 甲子園を出発すると今度は阪神イベントでのじゃんけん大会。最初は車掌のアナウンスとの勝負で、3回戦からは各車両ごとのスタッフとの対戦。私は1回戦で早々と敗退したが、阪神の女性助役との対戦に見事勝利したのはお父さん。高校野球の臨時輸送用のヘッドマークのレプリカシールに運転手用の時刻表を獲得した。お子さんと一緒の参加で父親の面目躍如とあって、車内からも大きな拍手が起きた。

大石でしばらく退避して何本かの列車をやり過ごし、いよいよ神戸市内に入る・・・・。

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