話が中国と九州を行ったり来たりしているが、ここからは中国地方編である。
中国四十九薬師めぐりは2月に三次にある第14番の日光寺まで進んでいるが、東城にある第13番の徳雲寺が飛んだ形となっている。場所が芸備線の超閑散区間にあり、また最寄り駅の備後八幡からも離れているので鉄道での訪問は実質無理。また冬の時季と重なり、冬仕様にしていないためにクルマで行くのも見送っていた。
そして3月下旬となり、そろそろ行ってもいいかなと思う。積雪のために2ヶ月以上出雲横田~備後落合間が運休していた木次線も3月26日から運転を再開したとのことである。
さて、東城に行くなら広島から直接中国自動車道なり国道54号線~国道183号線なりで行けばよいが、一応、中国地方を循環して・・ということにしている。その前が福山の神辺までだったので、福山から北上して東城へ行き、徳雲寺の後は三次まで行ってようやくコマが進んだ形になる。その後の第15番薬師寺は福山の松永なのでまた南下するが、さすがに1日で行くのはしんどいとして、次の機会にする。三次~福山なら福塩線に乗ってみようか・・。
3月27日の6時すぎに自宅を出発、まずは福山まで国道2号線で行き、まずは神辺駅に向かうことにする。
2号線も特に渋滞するところもなく、三原バイパス沿いにある道の駅「みはら神明の里」に着く。ちょうど三原の市街地から糸崎駅付近を見下ろし、向こうには佐木島、因島といったしまなみを見ることができる。その中に浮かぶ小さな島は宿祢島で、新藤兼人監督の「裸の島」のロケ地として知られている。
糸崎駅にちょうど三原方面からの列車が入ってきた。ひょっとしてこの列車、私が西広島から在来線で東に向かう時に乗る糸崎行きではないだろうか。自宅を出たのが同じような時間だったが、バイパス利用もあって糸崎には鈍行列車よりも早く着いた形だ。
この後もバイパスで福山まで入り、福山駅の手前で芦田川沿いに走る。山陽線は福山までは先行するが、福塩線との乗り継ぎ時間がかかるため、神辺到着は私のクルマのほうが早かった。まあ、どうでもいいことだが・・・。
この神辺駅から前回の続きとする。目的地の東城へは国道182号線をひた走ることになる。ちょうど広島から見て三角形の2辺を進む形だ。
しばらく平坦なルートを走るが、すぐに上りのルートとなる。福山市を抜けて神石高原町に入る。平成の大合併で、それまで神石郡にあった油木町、神石町、三和町、豊松村の4町村が対等合併した町である。神石高原町に入ると衆議院の選挙区が変わり、沿道には亀井静香・佐藤公治氏の「結集ひろしま」のポスターが目につく。広島県の7つの小選挙区にあって唯一野党が議席を持っているところ。この広島6区、人口はともかく面積は広い・・。
その中で立ち寄ったのが、道の駅さんわ182ステーション。かつての三和町エリアにある。最近リニューアルされたとあり、ちょうど福山と東城の中間ということで多くのクルマやバイクで賑わっている。ここまで福山駅から中国バスの路線バスの便もあるが、平日は1日数本あるものの、土曜日はわずか2往復、日曜・祝日は運休という厳しいダイヤだ・・。
物産コーナーも充実しており、クルマで来ているということもあって神石高原名物のこんにゃくや、米、玉子、地酒などを買い求める。
途中、道の駅での休憩もあったが自宅を出て4時間弱で中国自動車道の下をくぐり、東城の町中に入った。東城の街並みは2月に芸備線を乗りに来た時に急ぎ足で回ったので今回は省略して、そのまま駅に向かう。
東城から備後落合までは1日わずか3往復、反対の新見まででも1日6往復しかないが、駅舎に入ると窓口の中に係の人がいたのでかえって驚いた。業務委託駅として時間を区切ってきっぷの発売など行うそうだが、この時間、両方向とも列車は走っていない。次の備後落合行きまででも3時間ほどある。それは承知で、沿線にあって東城は代表的な町で、限られた時間だけでも係の人を置いておこうということか。定期券を売ることもあるだろう。
ホームに出る。昔ながらの案内板、急行「やまのゆ」の乗車口案内などを見る。今回列車に乗ることはないが、鉄道の風情を少しでも味わうことにする。