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第4回古文書に親しむ「直江大言の事」

(名前が判らない鳥)

9月11日、佐賀県の肥前鹿島駅、昼下がりのホームから撮影。全長40センチメートルほどに見えた。名前が判ったら教えを乞う。

昨日の書き込み、「第4回古文書に親しむ」の続きである。時は秀吉の朝鮮征伐前、上杉景勝の家老、直江山城守兼継が諸侯の前で大言を発した話である。直江山城守兼継といえば、現在進行中の大河ドラマ「天地人」の主人公である。今、旬の人物だから、あえてこの時期に取り上げたと講師は言う。「大平基軍伝」なる読み物がどんなものなのか知らないが、原本から手書きで引き写したものである。歴史的な価値は度外視して、読み物として読んでみようと講師が話す。

以下へ解読後、書き下したものを示すが、変体仮名が多用されていたり、漢字だと思って読み悩んでいると、仮名を何文字か連ねたものであったりと、慣れないと難解な文書である。ただし慣れればもともと一般に読み本として書き写されたものだから、さほど難しいものではないと思った。

大平基軍伝 前篇 巻第二
  直江山城守兼継大言の事
    並び石田三成、直江に懇志を通する事
太閤すてふ(すちょう)朝鮮征伐の義、思いたち給うに付いて、かの国々の軍用のため、金銀をもって銭を鋳さしめ給う。今ここに至りて、くだんの銭出来しければ、太閤御覧ありてのち諸侯へ見せ給うにより、大老、中老、五奉行をはじめ、あまたの諸侯、伏見に登城し、おのおの列座あり。

※ すてふ(すちょう)- 「てふ」は「という」の転。合わせて「するという」、つまり、「太閤秀吉がするという朝鮮征伐」とつながる。

くだんの銭を取り寄せ、一見ありてよく出来候などと挨拶評定し、めんめん手に取りて誠に重宝の品なりと称美あり。座廻りより段々次へまわし見られけるに、末席に上杉景勝の長臣直江山城守兼継、主人景勝大老の中なれば、所労によりて名代として相詰め居りけん。
※ 長臣 - 寵臣のことか。
※ 所労 - 疲れ。病気。

諸侯方の銭を見終りて末席に至り、田中兵部吉政、次の上に在りしかば、いざ御邊(おこと)へとありて、直江に渡す。兼継、扇子を開き、請けとりて、唯一同見て、元へ返しけるにぞ。兵部心の中に、さては信臣たるによって、座を憚り、かく慇懃にするならんと思いしかば、御邊、今日は主人の名代なり、何か苦しかるべき。遠慮におよばず、手に取りてよく見給えと挨拶す。
※ 御邊(おこと)-(二人称)相手に対して親しみの情をこめて呼ぶ語。そなた。

まだまだ話は始まったばかり、直江の大言壮語は次回の解読となる。
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