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温暖化講座、遺伝子組換植物の現状

(会社駐車場の萩の花)

(温暖化講座の続き)
遺伝子組換えによる品種改良が行われる以前、品種の改良はもっぱら人工交配によって行われてきた。といっても、その歴史は浅くメンデルの法則が発表されたのが1865年で、その後、1898年以降というから、高々1世紀にすぎない。

品種改良以前に品種改良が無かったかといえば、人間が耕作過程で偶然に生じた雑種が優れた特徴を持つことから、特に選んで育てるという経過の中で、品種の改良が行われた。コメ、ムギ、トウモロコシ、トマトなど原種と比べると別種に見えるほど改良されてきた。

遺伝子組換えによる品種改良は、1994年、遺伝子組換えによって熟しにくいトマトが開発され市場に提供されたのが始まりとされる。

交配による品種改良と遺伝子組換えによる品種改良は両者ともに目的は同じである。ただ交配による品種改良は同種または交配可能な近縁種のみから遺伝子を集めるのに対して、遺伝子組換えによる品種改良はどんな遺伝子でも組換えに使えるという特徴がある。

遺伝子組換え農作物のもっとも普及しているものは除草剤抵抗性作物である。アミノ酸合成行程を壊す除草剤(グリホサート剤)に対して、グリホサート抵抗性を持つ作物が遺伝子組換えによって開発された。除草剤を撒いて雑草を押えながら、作物は無傷で育てることが出来れば、雑草除去の手間が全く無くなる。
(今日のNHKクローズアップ現代「スーパー雑草大発生」で除草剤に耐性をもった雑草が世界的に大発生していると報道していた。)

その他、遺伝子組換えによって、ストレス耐性作物、害虫抵抗性作物、ウィルス抵抗性作物などが研究されている。ストレス耐性作物とは、低温、高温、乾燥、塩害などに耐性を持つ作物をいう。

作物のサイズを大きくする技術は、細胞分裂を伴わないDNAの複製(エンドリデュプリケーション)を起こすことで可能になる。普通、細胞はまずDNAを複製しそれぞれにDNAを持った二つに分裂をする。しかし何らかの方法で細胞分裂を起こさないようにすれば、細胞内に複数のDNAが存在することになる。細胞内にDNAが増えるとその増加に比例して細胞のサイズが大きくなることが知られている。この技術で大きくしたトマトなどが作られている。

低開発国でビタミンAが不足している現状から、トウモロコシの遺伝子を組み入れたビタミンAを豊富に含む黄色いお米が開発されたり、紫色のカーネーションが出来たり、遺伝子組換え技術を使った色々な作物も開発されている。

日本は遺伝子組換え作物に対して当初国自らネガティブキャンペーンをやったかとがいまだにひびいて、遺伝子組換えについてはヨーロッパ諸国(除くスペイン)と同様、たいへんに消極的であった。最近になってようやく、遺伝子組換えの分野で国際的に遅れを取るということで、国も推進するようになってきた。
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