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民主党新政権と国の約束事

(嬉野の稲穂)

今日は、出張で、佐賀県の嬉野にいた。聞いていると、会社の地元責任者のケイタイに次々に情報が入ってくる。今朝、一斉に各地に農水省から連絡があり、補正予算で実施するとして内示があった事業が、ことごとく一時進行をストップするとの話であった。すでに準備に取り掛かっていた責任者が頭を抱える。景気刺激策として実施が急がれた事業に待ったが掛かると、景気浮揚の雰囲気に水をぶっ掛ける結果になりかねない。

もちろん、民主党政権がまだ出来ていないので、中止になると決まったわけではない。しかし、色々な報道が出てくると、官僚たちが先回りして、新政権におもねるように、そんな指示を流し始める。そんな動きに東国原宮崎県知事が内示のあった事業を取りやめるなら、法的な提訴もじざないと、釘を刺した。内示があればすべてが一斉に準備を始める。国がそこまで来て中止するならば、準備のために要した損害を賠償するべきである。

象徴的なのは、群馬県の「八ツ場(やんば)ダム」である。民主党は八ツ場ダムの工事中止をマニフェストに明記した。しかしマニュフェストに載せる前に、その影響を十分調査したようにはみえない。地元の意見も聴取した形跡はない。それどころか、群馬県のその選挙区には民主党は候補者すら立てていない。八ツ場ダムの周辺の県は水利権を得るために莫大な金額の税金を投入している。中止となれば、国は自ら投入した税金を捨てるだけではなくて、それらの補償もしなければならない。そのためには完成させる以上に新たな税金投入が必要だと試算されている。

猛反対の水没する地元住民を、長い年月を掛けて騙すようにして諦めさせてきた。それを今さら止めるなどというのは、大きな裏切り行為である。中止するならば、壊してしまった故郷を元に戻して欲しいという地元住民の声は切実である。物理的に壊した風景は時間と金を掛ければ元に戻すことが出来るかもしれない。しかし壊れた山村のコミュニティはもはや元には戻せないだろう。

初めての政権交代で、国が約束してきた一つ一つのことを、どこまでを引き継いで、どこからは変更が出来るのか、そんな暗黙のルールすらまだ出来ていない。すべてをご破算に出来るならば、それは政権交代ではなくて革命である。有権者は決して革命を選んだ訳ではない。

民主党がやろうとしている政策は、自民党では絶対に出来なかったことばかりで、国民の多数が期待している。その一方で、国が約束してきたすべてをご破算にするような暴挙を、国民は大変不安に思って注目している。
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