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温暖化講座、光合成のメカニズム

(静大農学部准教授、本橋令子氏)

午後、第5回目の環境講座で靜岡に出かけた。今日のテーマは「植物の力が私たちを助ける」という演題で、静岡大学農学部准教授、本橋令子氏の講義であった。これが大変にやっかいな講義で、プロジェクターを使っていたが、あとで復習すべきペーパー無しで行われた。仕方が無いからひたすらメモの鉛筆を走らせた。遠くを見る眼鏡を掛けていると、手元のメモにピントが合わないから、手探りでメモを取ることになる。あとで解読出来るかどうか、古文書よりも難しいかもしれない。

准教授の専門は植物分子遺伝学及び植物生理学である。研究テーマが環境問題にどう関わるのか最後まで理解出来なかったが、氏の過去及び現在の研究発表として聞いた。唯一、関係が有りそうなのが、光合成機能を遺伝子組み換えで高める植物の研究であろうか。

植物の葉の中にある葉緑体は光合成が主要な機能であるが、その他にも窒素代謝、硫黄代謝、アミノ酸合成、脂質合成、色素合成など、植物細胞における代謝の重要な機能を果している。光合成は光が強い程機能が高まるが、過剰な光は有害なものになる。葉に過剰な光を当てると葉は白いワックスを出して過剰な光を和らげたり、葉を閉じて光を避けたりする。あるいは光から葉緑体が逃げて葉が透明に見えるようになる。

葉緑体は外側を二重の膜で覆われている。内部には、チラコイドと呼ばれる多数の膜で出来た薄い袋状のものが積み重なった構造の塊りが幾つもある。このチラコイドの部分で光合成が行われる。

チラコイドで光合成が行われた後、酵素による炭酸固定がなされる。この反応は光が無くても起きるので「暗反応」と呼ばれる。この炭酸固定の代表的な酵素としてルビスコという酵素が知られる。地球上に最多の酵素と言われるように、植物の中に大量にある。例えばホウレンソウのタンパク質の30%はルビスコだという。ルビスコはCO2を一秒に2個という超スローでしか処理できない。そのため大量のルビスコが必要になる。ルビスコは仕事が遅い上に、5個に1個は間違えてO2をつかんでしまうという。原始の地球には酸素がほとんど無かったから、ガードが甘くても問題が無かった。
※ 炭酸固定 - 空気中から取り込んだ二酸化炭素を炭素化合物として留めておく機能

このルビコスという酵素よりもっとスピードが速く、CO2とO2の識別能力が高い酵素(スーパールビコス)を発見し、有用な作物に遺伝子組替え出来れば、成長の早い植物により温暖化の原因となる二酸化炭素をどんどん吸収して、食糧生産などにも役立つ。

現在、スサビノリという海苔の一種にスーパールビコスにあたる酵素が発見されている。海水中にはCO2、O2ともに少ないので識別能力の高い酵素が必要であったのであろう。それで、スサビノリは大変成長が早いという。この酵素を遺伝子組み換えするような実験が現在も行われている。

自分でメモを見て書きながら、実は余り理解出来ていない。光合成とか炭酸同化作用などと判りきった話と考えていたが、実は何も判っていなかったと気付かされた。
(明日へ続く)
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