「週刊文春」は、6月16日号に「衆院300選挙区緊急予測 民主158議席VS自民232議席 被災者の怒りが民主政権を滅ぼす!」という記事を載せた。選挙情報の専門会社・政治広報センターの社長・宮川隆義氏による記事である。政治広報センターは、「週刊文春」に長年選挙結果の予測を載せ、定評がある。同社の選挙結果予測は、過去の衆参比例区政党得票、選挙区候補者得票、政党支持率動向を吟味し、マスコミ各社の世論調査などをパラメーター(変数)にして、予測するという。
宮川氏は、昨年10月にも「週刊文春」に予測を載せている。私は10月11日の日記にその記事について書いた。その際は、民主党は97議席減らして、209議席。自公は214議席となって拮抗するという予測だった。これに対し、今回は、民主党は143議席減で政権から転落。自公は合計で265議席で政権を奪回。「過半数(241)はもちろん、絶対安定多数(269)をうかがう勢いだ」という予測である。
記事に掲載されている予測表では、民主が現有301議席から143議席減らして、158議席。自民党が現有118議席から114議席増やして、232議席。民主が半減、自民が倍増に近い結果となる。ただし、予測には幅があり、民主は最多277議席、最少106議席。比例区は55議席で変わらず、予測の幅はすべて小選挙区での違いである。一方、自民は最多290議席、最少119議席。比例区は60議席とし、やはり小選挙区でこれだけの差がある。こうした幅の中で、現時点で最も起こりえそうな結果が、民主158議席VS自民232議席というわけである。
大震災で特に甚大な被害を受けた東北の岩手・宮城・福島の3県は、これまで15選挙区中14選挙区を民主党が握ってきた。だが、今回の予測では「3県合計で9議席減」、当確が4人、有力が1人という「衝撃的な結果」となった。
最も注目すべき小沢一郎氏について、宮川氏は「大苦戦が予想される。落選もありうる」とする。苦戦の理由の一つは、菅内閣の内閣不信任案に関する小沢一派の行動が不評であること。6月2~3日に共同通信が行った世論調査では、小沢一派の行動を「評価しない」が約9割に達している。しかし、宮川氏は、小沢氏苦戦の「最大の理由は資金面だ」と言う。多額の政党交付金を一手に差配できる幹事長の立場を離れ、党の資金に触れえない。小沢氏個人の資産に疑惑の目が注がれ、政治資金規正法違反をめぐる裁判が今秋にも始まる。民主党の党員資格が停止され、党からの選挙資金も、企業団体献金も受けられない。「悪評と資金枯渇で追い詰められた小沢は、誰が対抗馬となろうと、かつてない苦境に陥ることは間違いない」と言う。
小沢氏と同じく内閣不信任案で造反した他の議員はどうか。16名いるうち、当確は田中真紀子氏のみ。有力1名のほかは、苦戦の模様。田中美絵子福田衣里子氏らの小沢ガールズは、絶滅の危機だとする。
今回の内閣不信任案及び菅首相の退陣時期をめぐる騒動で、小沢氏と並ぶもう一人の主役は、鳩山由紀夫氏。宮川氏は「前総理ながら落選危機に陥っている」とする。
菅首相については、「現段階では当確予測だが、無論これも相手次第だ」と言う。誰か有力な候補が出れば、苦戦になる可能性がある。
各政党では、民自の激突の中で、大幅増と予測されるのが、公明党とみんなの党。公明は現有21議席から33議席に。1.5倍以上。みんなは現有5議席から25議席へ。こちらは、5倍増の躍進である。宮川氏は「この2党は、“民主党には呆れたが、自民党にも入れたくない”という有権者の受け皿になり、比例区の大幅議席増が見込まれる」と言う。
今回も受け皿になれそうにないのが、ミニ政党。国民新党、新党日本、たちあがれ日本等は、ほとんど現状維持という予測である。
記事の予測をもとに私見を述べると、次回衆議院選挙は、政権交代が起こりうる選挙となる。趨勢は民主の惨敗、自民の大勝である。ただし、宮川氏の予測でも、民主が1割程度議席を減らし、自民が現状維持程度となるケースも想定されているように、自民党がどの程度、有権者の支持を集められるかによって、結果は大きく異なるだろう。自民党が従来のように立党の精神を忘れた状態であれば、国民の信頼を回復することはできない。また、菅首相が辞任した後の民主党の代表が誰になるか、どういう連立政権になり、首相が誰になるかによっても、その後に行われる選挙の結果は大きく異なるだろう。そして、民主・自民のどちらが優勢を取っても、公明党ないしみんなの党が政権の帰趨に関わる。このように言えるだろう。
いつ解散総選挙が行われるか、現時点では確とした見通しはない。そういう状況における一つの選挙予測として記しておきたい。
関連掲示
・拙稿「衆院選予測~民主は97議席減」(平成22年10月11日)
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20101011
宮川氏は、昨年10月にも「週刊文春」に予測を載せている。私は10月11日の日記にその記事について書いた。その際は、民主党は97議席減らして、209議席。自公は214議席となって拮抗するという予測だった。これに対し、今回は、民主党は143議席減で政権から転落。自公は合計で265議席で政権を奪回。「過半数(241)はもちろん、絶対安定多数(269)をうかがう勢いだ」という予測である。
記事に掲載されている予測表では、民主が現有301議席から143議席減らして、158議席。自民党が現有118議席から114議席増やして、232議席。民主が半減、自民が倍増に近い結果となる。ただし、予測には幅があり、民主は最多277議席、最少106議席。比例区は55議席で変わらず、予測の幅はすべて小選挙区での違いである。一方、自民は最多290議席、最少119議席。比例区は60議席とし、やはり小選挙区でこれだけの差がある。こうした幅の中で、現時点で最も起こりえそうな結果が、民主158議席VS自民232議席というわけである。
大震災で特に甚大な被害を受けた東北の岩手・宮城・福島の3県は、これまで15選挙区中14選挙区を民主党が握ってきた。だが、今回の予測では「3県合計で9議席減」、当確が4人、有力が1人という「衝撃的な結果」となった。
最も注目すべき小沢一郎氏について、宮川氏は「大苦戦が予想される。落選もありうる」とする。苦戦の理由の一つは、菅内閣の内閣不信任案に関する小沢一派の行動が不評であること。6月2~3日に共同通信が行った世論調査では、小沢一派の行動を「評価しない」が約9割に達している。しかし、宮川氏は、小沢氏苦戦の「最大の理由は資金面だ」と言う。多額の政党交付金を一手に差配できる幹事長の立場を離れ、党の資金に触れえない。小沢氏個人の資産に疑惑の目が注がれ、政治資金規正法違反をめぐる裁判が今秋にも始まる。民主党の党員資格が停止され、党からの選挙資金も、企業団体献金も受けられない。「悪評と資金枯渇で追い詰められた小沢は、誰が対抗馬となろうと、かつてない苦境に陥ることは間違いない」と言う。
小沢氏と同じく内閣不信任案で造反した他の議員はどうか。16名いるうち、当確は田中真紀子氏のみ。有力1名のほかは、苦戦の模様。田中美絵子福田衣里子氏らの小沢ガールズは、絶滅の危機だとする。
今回の内閣不信任案及び菅首相の退陣時期をめぐる騒動で、小沢氏と並ぶもう一人の主役は、鳩山由紀夫氏。宮川氏は「前総理ながら落選危機に陥っている」とする。
菅首相については、「現段階では当確予測だが、無論これも相手次第だ」と言う。誰か有力な候補が出れば、苦戦になる可能性がある。
各政党では、民自の激突の中で、大幅増と予測されるのが、公明党とみんなの党。公明は現有21議席から33議席に。1.5倍以上。みんなは現有5議席から25議席へ。こちらは、5倍増の躍進である。宮川氏は「この2党は、“民主党には呆れたが、自民党にも入れたくない”という有権者の受け皿になり、比例区の大幅議席増が見込まれる」と言う。
今回も受け皿になれそうにないのが、ミニ政党。国民新党、新党日本、たちあがれ日本等は、ほとんど現状維持という予測である。
記事の予測をもとに私見を述べると、次回衆議院選挙は、政権交代が起こりうる選挙となる。趨勢は民主の惨敗、自民の大勝である。ただし、宮川氏の予測でも、民主が1割程度議席を減らし、自民が現状維持程度となるケースも想定されているように、自民党がどの程度、有権者の支持を集められるかによって、結果は大きく異なるだろう。自民党が従来のように立党の精神を忘れた状態であれば、国民の信頼を回復することはできない。また、菅首相が辞任した後の民主党の代表が誰になるか、どういう連立政権になり、首相が誰になるかによっても、その後に行われる選挙の結果は大きく異なるだろう。そして、民主・自民のどちらが優勢を取っても、公明党ないしみんなの党が政権の帰趨に関わる。このように言えるだろう。
いつ解散総選挙が行われるか、現時点では確とした見通しはない。そういう状況における一つの選挙予測として記しておきたい。
関連掲示
・拙稿「衆院選予測~民主は97議席減」(平成22年10月11日)
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20101011
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