goo blog サービス終了のお知らせ 

ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

キリスト教178~インドとキリスト教

2019-03-27 08:55:27 | 心と宗教
●インドとキリスト教

 西アジアに位置するインド文明は、古代のインダス文明、ガンジス文明の時代から続く一個の文明である。インド文明は、バラモン教が発達したヒンドゥー教をはじめ、仏教、ジャイナ教等の宗教を生み出した。北インドは中世からたびたびイラン系、アフガン系、トルコ系等のイスラーム教国の侵攻を受け、イスラーム教が浸透した。16世紀に樹立されたムガル帝国では、イスラーム教とヒンドゥー教の融合が進められた。これに比し、南インドは、ヒンドゥー教の王朝が続いた。
17世紀からイギリス、オランダ、フランスがインドに進出した。イギリスは、1600年、東インド会社を設立してインド洋交易に参加し、インドへの進出を続けた。1757年のプラッシーの戦いでフランスを破り、以後、インドの諸国を次々に征服した。1820年代以降、産業革命の進むイギリスから、機械生産による綿布がインドに大量に流入した。インドの手工業者は圧迫され、インド経済は打撃を受けた。インド人の不満は高まり、57年セポイの反乱が勃発したが、イギリス軍はこれを鎮圧した。1857年にムガル帝国を滅亡させ、77年にヴィクトリア女王が皇帝を兼ねるイギリス領インド帝国を創建した。これによって、インドを完全に植民地化した。
 白人種は、有色人種を人間と見なさず、奴隷とし、家畜のように扱った。マハトマ・ガンディーらが民族自決を目指す運動を起こしたが、イギリスの鉄鎖を逃れるのは極めて困難な課題だった。日本は大東亜戦争でアジアの解放を戦争目的の一つに挙げた。マレー半島ではイギリス軍の中核をなすインド兵に投降を呼びかけ、インド独立の基盤を作る工作をした。藤原岩市少佐が率いる特務機関が、インド国民軍の創設を指導・支援した。日本の敗戦後、インド国民軍は独立戦争に勝利し、1947年インドの独立が回復された。インド国民軍は、今も日本の協力に感謝を表している。
 インドが独立した際、イスラーム教徒の多いバングラデシュが分離独立し、翌年、仏教徒が多いビルマ(ミャンマー)とセイロン(スリランカ)も分離独立した。
 次に、インドにおけるキリスト教について述べると、紀元52年に十二使徒のひとり、トマスがインドに来て布教したという伝説があり、それがインド南部にある東方諸教会のひとつ、トマス派の由来とされる。ただし、同派は、ペルシャからきたネストリウス派が起源だろうと推定されている。
ヨーロッパからは、13~14世紀にフランシスコ会、ドミニコ会による伝道があったと伝えられる。1498年にヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を開いた後、イエズス会士フランシスコ・ザビエルによって本格的な布教が開始された。ザビエルは、1542年に当時ポルトガル領だったインド西海岸のゴアに到着し、そこを拠点にインド各地で宣教した。また、45年にマラッカ、46年にモルッカ諸島で宣教した。47年にザビエルがマラッカで出会った日本人ヤジロウ(アンジロー)がゴアで受洗し、日本人初のカトリック教徒になった。ザビエルは、49年に日本に到着し、布教活動を行った。さらにシナ大陸で活動しようとしたが、それを果たせず52年に死亡した。
 ザビエルの後、イタリア人のイエズス会士ロベルト・デ・ノビリが、1606年にインドに派遣された。ノビリはヒンドゥー教を研究し、バラモン階級に近づき、バラモン僧のように服を着たり、外面的な要素をインド文化に適応するなどして、カトリックの浸透を図った。その後、18世紀にイギリスが覇権を確立し、植民地支配を行ったが、バプテストなどイギリス系のプロテスタントはカトリックほど布教に成功していない。
 インドでキリスト教は、信者数でヒンドゥー教、イスラーム教に続いて第3位を占め、シーク教やジャイナ教、仏教より数が多い。インドの人口は、2013年現在で12億3900万人とされる。そのうちの2.3%となる約2850万人がキリスト教徒と推計される。2011年の国勢調査によると、人口のうち最も多いヒンドゥー教徒が79.8%、イスラーム教徒が14.2%等である。
 インドのキリスト教徒の多くは、カトリックである。現代の話になるが、世界的に有名な修道女マザー・テレサは、ユーゴスラビア生まれで、1928年にインドに派遣され、カルカッタを拠点に活動し、病人・孤児・貧者への慈善活動を行った。1979年にノーベル平和賞を受けた。インドには少数ながらプロテスタント系の北インド教会や南インド教会もある。また、古代から非カルケドン派の諸教会が存在し、ヤコブ派シリア教会、マランカラ・シリア正教会などがある。
 インド文明が強い影響を与えている周辺諸国では、中国の自治区になっているチベットは仏教の一宗派である(大乗密教のラマ教が大半を占める。本来はそれが国教だったが、激しい弾圧を受けている。ブータンはラマ教が60%、ヒンドゥー教が20%、ネパールはヒンドウー教が大半であり、ともにキリスト教は少ない。

 次回に続く。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。