東日本大震災の影響で、首都圏の地震活動が活発化している。1月24日、東京大地震研究所のチームが、南関東でマグニチュード7クラスの地震が発生する確率は、「今後4年以内に約70%に達する可能性がある」という試算結果を発表した。
これまで政府の地震調査研究推進本部は、今後30年以内の発生確率を70%程度としてきたので、一気に切迫性が高まったことになる。
首都圏でのM3~6クラスの地震は、東日本大震災前に比べて約5倍に増えている。研究チームがM6.7~7.2の地震の発生確率を計算したところ、今後30年間に98%、4年後には70%になった。現在の地震発生頻度が10~20年程度継続すると仮定した場合の数値だという。
続いて、2月1日、京都大学防災研究所が、「5年以内に28%」という試算を発表した。こちらは昨年3月11日から本年1月21日までの首都圏で起きたM3以上の地震のデータをもとに計算したもの。東大が調査したのは大震災直後の余震が多い時期だったため、京大より高い数値が出たという。
2月5日、東大地震研究所は再計算の結果、「4年以内に50%以下」と再度発表した。昨年9月中旬から12月までに観測した地震データを加えて計算し直したところ、以前と異なる数値になったという。
最初のM7クラスが「4年以内に70%」という数字は、強烈だった。平成7年(1995)の阪神淡路大震災はM7.3で、死者・行方不明者は6,437人だった。首都圏で同規模の直下型大地震が起これば、被害はこの比ではない。政府の中央防災会議による首都直下地震の被害想定は、最悪の場合死者1万人超、経済被害は112兆円にものぼると推算している。よりエネルギーの大きかった関東大震災はM7.9ゆえ、M8クラスだった。死者行方不明者は、10万人を超えた。
数年以内かどうかはわからないが、首都圏直下型地震は、近いうちにいつか起こる。そう覚悟しなければならない。最近の各種発表によると、東海地震は30年以内の発生確率が87%から88%に上がった。南海トラフ巨大地震は、東海・東南海・南海の3地震が連動した場合の想定震源域が従来の約2倍に拡大され、想定される地震の規模をM9・0に引き上げられた。
これらの巨大地震に耐え、日本が存続し、繁栄を維持していくためには、防災を強化し、災害に強い日本を創ることが急務である。私は、特に早急に首都機能の分散化を進めるべきだと思う。東京への一極集中のままでは、首都が機能マヒになると、日本全体がマヒ状態に陥る。日本人の英知を結集して、来るべき巨大地震に備えなければならない。それをなし得るかどうかは、国民の精神にかかっている。日本人には、もはや豊かさと安全に呆けている暇は無い。家族と仲間、ふるさとと日本を守るために、各自のできることに心を尽くそう。
以下は関連する報道記事。
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●NATIONAL GEOGRAPHIC 平成24年1月24日
http://www.excite.co.jp/News/science/20120124/Nationalgeo_00020120124001.html
M7首都直下地震4年以内の確率70%
2012年1月24日 14時38分
昨年3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の影響で、首都圏の地震活動が活発化している。これに伴い、マグニチュード(M)7クラスの首都直下地震の発生確率を東京大学地震研究所の研究チームが試算したところ、「4年以内に起きる可能性は70%」と、切迫性がかなり高まっていることが分かった。
首都圏でのM3~6クラスの地震は、東日本大震災前に比べて約5倍(1日当たり1.48回)に増えている。地震の規模(マグニチュード)の小さい地震が増えると、より大きい地震の発生確率も高まること(注)から、研究チームがM6.7~7.2の地震の発生確率を計算したところ、今後30年間に98%、4年後には70%になったという。
政府の地震調査研究推進本部は2004年に、南関東でのM7クラスの地震の発生確率は「今後30年間で70%程度」と評価しているが、これは過去150年間に起きたM6.7~7.2の地震を数えて、その頻度から発生確率を算出した。東北地方太平洋沖地震の以降は同クラスの地震が起きていないので、発生確率は変わっていない。
同研究所は「首都直下地震では、家屋の耐震補強や家具止めで8割の被害軽減ができる。今から対策を」と呼びかけている。
●J―CAST 平成24年2月6日
http://www.j-cast.com/2012/02/06121312.html
これまで首都圏で大地震が発生する確率は、文部科学省の地震調査研究推進本部が計算した「30年以内に70%程度」という数値が定説だったため、危機感が一気に増した。
しかし12年2月1日、京都大学防災研究所が「5年以内に28%」という全く異なる試算を発表した。こちらは11年3月11日から12年1月21日までの首都圏で起きたM3以上の地震のデータをもとに計算している。
東大と京大の数値の差については、両大学とも「Mが1上がるごとに地震の発生確率が10分の1になる点と、東日本大震災に誘発された地震がどのくらいの頻度で起きているかを組み合わせる」という方法で計算しており、観測データが増えるとそのたびに確率が変わる。東大が調査したのは大震災直後の余震が多い時期だったため、京大より高い数値が出たということだ。
その後、2月5日には東大地震研究所による「4年内に50%以下」という再計算の結果が報じられた。新聞報道によると、9月中旬から12月までに観測した地震データを加えて計算し直したところ以前と異なる数値になったという。
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連掲示
・拙稿「安政三大地震と巨大地震の世紀」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/ef1dfeedd8f30f50553b8374c0dc7609
・拙稿「東海地震・南海トラフ巨大地震への備えを」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/94f600e480751bf2405978cbd1ccaabc
これまで政府の地震調査研究推進本部は、今後30年以内の発生確率を70%程度としてきたので、一気に切迫性が高まったことになる。
首都圏でのM3~6クラスの地震は、東日本大震災前に比べて約5倍に増えている。研究チームがM6.7~7.2の地震の発生確率を計算したところ、今後30年間に98%、4年後には70%になった。現在の地震発生頻度が10~20年程度継続すると仮定した場合の数値だという。
続いて、2月1日、京都大学防災研究所が、「5年以内に28%」という試算を発表した。こちらは昨年3月11日から本年1月21日までの首都圏で起きたM3以上の地震のデータをもとに計算したもの。東大が調査したのは大震災直後の余震が多い時期だったため、京大より高い数値が出たという。
2月5日、東大地震研究所は再計算の結果、「4年以内に50%以下」と再度発表した。昨年9月中旬から12月までに観測した地震データを加えて計算し直したところ、以前と異なる数値になったという。
最初のM7クラスが「4年以内に70%」という数字は、強烈だった。平成7年(1995)の阪神淡路大震災はM7.3で、死者・行方不明者は6,437人だった。首都圏で同規模の直下型大地震が起これば、被害はこの比ではない。政府の中央防災会議による首都直下地震の被害想定は、最悪の場合死者1万人超、経済被害は112兆円にものぼると推算している。よりエネルギーの大きかった関東大震災はM7.9ゆえ、M8クラスだった。死者行方不明者は、10万人を超えた。
数年以内かどうかはわからないが、首都圏直下型地震は、近いうちにいつか起こる。そう覚悟しなければならない。最近の各種発表によると、東海地震は30年以内の発生確率が87%から88%に上がった。南海トラフ巨大地震は、東海・東南海・南海の3地震が連動した場合の想定震源域が従来の約2倍に拡大され、想定される地震の規模をM9・0に引き上げられた。
これらの巨大地震に耐え、日本が存続し、繁栄を維持していくためには、防災を強化し、災害に強い日本を創ることが急務である。私は、特に早急に首都機能の分散化を進めるべきだと思う。東京への一極集中のままでは、首都が機能マヒになると、日本全体がマヒ状態に陥る。日本人の英知を結集して、来るべき巨大地震に備えなければならない。それをなし得るかどうかは、国民の精神にかかっている。日本人には、もはや豊かさと安全に呆けている暇は無い。家族と仲間、ふるさとと日本を守るために、各自のできることに心を尽くそう。
以下は関連する報道記事。
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●NATIONAL GEOGRAPHIC 平成24年1月24日
http://www.excite.co.jp/News/science/20120124/Nationalgeo_00020120124001.html
M7首都直下地震4年以内の確率70%
2012年1月24日 14時38分
昨年3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の影響で、首都圏の地震活動が活発化している。これに伴い、マグニチュード(M)7クラスの首都直下地震の発生確率を東京大学地震研究所の研究チームが試算したところ、「4年以内に起きる可能性は70%」と、切迫性がかなり高まっていることが分かった。
首都圏でのM3~6クラスの地震は、東日本大震災前に比べて約5倍(1日当たり1.48回)に増えている。地震の規模(マグニチュード)の小さい地震が増えると、より大きい地震の発生確率も高まること(注)から、研究チームがM6.7~7.2の地震の発生確率を計算したところ、今後30年間に98%、4年後には70%になったという。
政府の地震調査研究推進本部は2004年に、南関東でのM7クラスの地震の発生確率は「今後30年間で70%程度」と評価しているが、これは過去150年間に起きたM6.7~7.2の地震を数えて、その頻度から発生確率を算出した。東北地方太平洋沖地震の以降は同クラスの地震が起きていないので、発生確率は変わっていない。
同研究所は「首都直下地震では、家屋の耐震補強や家具止めで8割の被害軽減ができる。今から対策を」と呼びかけている。
●J―CAST 平成24年2月6日
http://www.j-cast.com/2012/02/06121312.html
これまで首都圏で大地震が発生する確率は、文部科学省の地震調査研究推進本部が計算した「30年以内に70%程度」という数値が定説だったため、危機感が一気に増した。
しかし12年2月1日、京都大学防災研究所が「5年以内に28%」という全く異なる試算を発表した。こちらは11年3月11日から12年1月21日までの首都圏で起きたM3以上の地震のデータをもとに計算している。
東大と京大の数値の差については、両大学とも「Mが1上がるごとに地震の発生確率が10分の1になる点と、東日本大震災に誘発された地震がどのくらいの頻度で起きているかを組み合わせる」という方法で計算しており、観測データが増えるとそのたびに確率が変わる。東大が調査したのは大震災直後の余震が多い時期だったため、京大より高い数値が出たということだ。
その後、2月5日には東大地震研究所による「4年内に50%以下」という再計算の結果が報じられた。新聞報道によると、9月中旬から12月までに観測した地震データを加えて計算し直したところ以前と異なる数値になったという。
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連掲示
・拙稿「安政三大地震と巨大地震の世紀」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/ef1dfeedd8f30f50553b8374c0dc7609
・拙稿「東海地震・南海トラフ巨大地震への備えを」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/94f600e480751bf2405978cbd1ccaabc