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ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

南関東地震の発生確率高まる

2012-02-12 08:34:48 | 地震
 東日本大震災の影響で、首都圏の地震活動が活発化している。1月24日、東京大地震研究所のチームが、南関東でマグニチュード7クラスの地震が発生する確率は、「今後4年以内に約70%に達する可能性がある」という試算結果を発表した。
 これまで政府の地震調査研究推進本部は、今後30年以内の発生確率を70%程度としてきたので、一気に切迫性が高まったことになる。
 首都圏でのM3~6クラスの地震は、東日本大震災前に比べて約5倍に増えている。研究チームがM6.7~7.2の地震の発生確率を計算したところ、今後30年間に98%、4年後には70%になった。現在の地震発生頻度が10~20年程度継続すると仮定した場合の数値だという。
 続いて、2月1日、京都大学防災研究所が、「5年以内に28%」という試算を発表した。こちらは昨年3月11日から本年1月21日までの首都圏で起きたM3以上の地震のデータをもとに計算したもの。東大が調査したのは大震災直後の余震が多い時期だったため、京大より高い数値が出たという。
 2月5日、東大地震研究所は再計算の結果、「4年以内に50%以下」と再度発表した。昨年9月中旬から12月までに観測した地震データを加えて計算し直したところ、以前と異なる数値になったという。
 最初のM7クラスが「4年以内に70%」という数字は、強烈だった。平成7年(1995)の阪神淡路大震災はM7.3で、死者・行方不明者は6,437人だった。首都圏で同規模の直下型大地震が起これば、被害はこの比ではない。政府の中央防災会議による首都直下地震の被害想定は、最悪の場合死者1万人超、経済被害は112兆円にものぼると推算している。よりエネルギーの大きかった関東大震災はM7.9ゆえ、M8クラスだった。死者行方不明者は、10万人を超えた。
 数年以内かどうかはわからないが、首都圏直下型地震は、近いうちにいつか起こる。そう覚悟しなければならない。最近の各種発表によると、東海地震は30年以内の発生確率が87%から88%に上がった。南海トラフ巨大地震は、東海・東南海・南海の3地震が連動した場合の想定震源域が従来の約2倍に拡大され、想定される地震の規模をM9・0に引き上げられた。
 これらの巨大地震に耐え、日本が存続し、繁栄を維持していくためには、防災を強化し、災害に強い日本を創ることが急務である。私は、特に早急に首都機能の分散化を進めるべきだと思う。東京への一極集中のままでは、首都が機能マヒになると、日本全体がマヒ状態に陥る。日本人の英知を結集して、来るべき巨大地震に備えなければならない。それをなし得るかどうかは、国民の精神にかかっている。日本人には、もはや豊かさと安全に呆けている暇は無い。家族と仲間、ふるさとと日本を守るために、各自のできることに心を尽くそう。
 以下は関連する報道記事。

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●NATIONAL GEOGRAPHIC 平成24年1月24日

http://www.excite.co.jp/News/science/20120124/Nationalgeo_00020120124001.html
M7首都直下地震4年以内の確率70%
2012年1月24日 14時38分

 昨年3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の影響で、首都圏の地震活動が活発化している。これに伴い、マグニチュード(M)7クラスの首都直下地震の発生確率を東京大学地震研究所の研究チームが試算したところ、「4年以内に起きる可能性は70%」と、切迫性がかなり高まっていることが分かった。
 首都圏でのM3~6クラスの地震は、東日本大震災前に比べて約5倍(1日当たり1.48回)に増えている。地震の規模(マグニチュード)の小さい地震が増えると、より大きい地震の発生確率も高まること(注)から、研究チームがM6.7~7.2の地震の発生確率を計算したところ、今後30年間に98%、4年後には70%になったという。
 政府の地震調査研究推進本部は2004年に、南関東でのM7クラスの地震の発生確率は「今後30年間で70%程度」と評価しているが、これは過去150年間に起きたM6.7~7.2の地震を数えて、その頻度から発生確率を算出した。東北地方太平洋沖地震の以降は同クラスの地震が起きていないので、発生確率は変わっていない。
 同研究所は「首都直下地震では、家屋の耐震補強や家具止めで8割の被害軽減ができる。今から対策を」と呼びかけている。

●J―CAST 平成24年2月6日

http://www.j-cast.com/2012/02/06121312.html
 これまで首都圏で大地震が発生する確率は、文部科学省の地震調査研究推進本部が計算した「30年以内に70%程度」という数値が定説だったため、危機感が一気に増した。
 しかし12年2月1日、京都大学防災研究所が「5年以内に28%」という全く異なる試算を発表した。こちらは11年3月11日から12年1月21日までの首都圏で起きたM3以上の地震のデータをもとに計算している。
 東大と京大の数値の差については、両大学とも「Mが1上がるごとに地震の発生確率が10分の1になる点と、東日本大震災に誘発された地震がどのくらいの頻度で起きているかを組み合わせる」という方法で計算しており、観測データが増えるとそのたびに確率が変わる。東大が調査したのは大震災直後の余震が多い時期だったため、京大より高い数値が出たということだ。
 その後、2月5日には東大地震研究所による「4年内に50%以下」という再計算の結果が報じられた。新聞報道によると、9月中旬から12月までに観測した地震データを加えて計算し直したところ以前と異なる数値になったという。
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連掲示
・拙稿「安政三大地震と巨大地震の世紀」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/ef1dfeedd8f30f50553b8374c0dc7609
・拙稿「東海地震・南海トラフ巨大地震への備えを」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/94f600e480751bf2405978cbd1ccaabc

東海地震・南海トラフ巨大地震への備えを

2012-01-18 08:50:38 | 地震
 昨日、阪神淡路大震災から17年を迎えた。傷跡はなお深い。昨年、東日本大震災が起こり、多くの人が今も避難生活をしている。わが国は地震列島であり、また「天地動乱の時代」に入っていることが改めて認識される。
 政府の地震調査委員会は、本年1月1日現在の主な地震の発生確率を更新した数値を発表した。地震調査委員会は、文部科学大臣が本部長を務める地震調査研究推進本部の専門員会である。同委員会の発表によると、東海地震は30年以内の発生確率が87%から88%に上がった。南海地震は10年以内の発生確率が10~20%から20%程度に上がった。
 また内閣府の検討会は、東海・東南海・南海地震の震源域が連なる南海トラフ(浅い海溝)の巨大地震について、3地震が連動した場合の想定震源域を従来の約2倍に拡大し、想定される地震の規模をマグニチュード(M)8・7から東日本大震災と同じM9・0に引き上げる中間報告をまとめたという。
 東日本大震災を通じて、政府関係機関や地震学者は「想定外」という安易な姿勢を改め、従来よりシビア―な予測を出すようになった。わが国は東海地震、及び東海地震を含む南海トラフ巨大地震への警戒と防備を急ぐべきである。
 今から158~159年前、わが国は、東海・東南海・南海地震、そして首都直下型地震に見舞われた。1853年黒船が来航した翌年、安政東海地震が発生した。続いて同日、安政南海地震が発生。さらに翌年、安政江戸地震が発生した。これらを合わせて「安政三大地震」と呼ぶ。幕末の日本を襲った巨大連続地震だった。
 詳しくは、拙稿「安政三大地震と巨大地震の世紀」に書いた。ご参考に願いたい。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/ef1dfeedd8f30f50553b8374c0dc7609
 以下、関連する報道記事。

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●産経新聞 平成24年1月12日

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120111-00000579-san-soci東海地震の30年
確率88%に上昇 南海は10年20%程度に 政府の調査委員会

 政府の地震調査委員会は11日、国内の主な地震の発生確率を更新し、1日現在の数値を公表した。1年前と比べて東海地震は30年以内の発生確率が1ポイント増の88%に、南海地震は10年以内の発生確率が従来の「10~20%」から20%程度に、それぞれ上昇した。
 東南海地震の30年以内の確率は70%程度で従来と同じ。南海地震も30年以内は60%程度で変わらない。千島海溝沿いの地震の30年以内の確率は、十勝沖が「0・3~2%」から「0・5~3%」、根室沖が「40~50%」から50%程度、択捉島沖が60%程度から「60~70%」に上がった。
 阿部勝征委員長は会見で「確率が高くてもすぐ起こらない場合もあるし、低くてもすぐ起こることも多々ある。一喜一憂せず、防災について考えることが大事だ」と話した。

●産経新聞 平成24年1月18日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120116/dst12011603060000-n1.htm
【主張】
地震防災 「阪神」の教訓も忘れるな
2012.1.16 03:06

 阪神淡路大震災から17日で17年になる。東日本大震災を受け、政府の中央防災会議は昨年末、防災基本計画を修正したが、「阪神」の教訓を地震防災に反映させることも忘れてはならない。
 東日本大震災では、想定をはるかに超えた津波による壊滅的被害が広範囲に及んだ。それに対する痛切な反省から、中央防災会議は、「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波を検討」し、防災基本計画の津波対策を抜本的に強化した。
 内閣府の検討会は、東海・東南海・南海地震の震源域が連なる南海トラフ(浅い海溝)の巨大地震について、3地震が連動した場合の想定震源域を従来の約2倍に拡大し、想定される地震の規模をマグニチュード(M)8・7から東日本大震災と同じM9・0に引き上げる中間報告をまとめた。
 最悪の事態を想定し、それに備えることは危機管理の大原則だ。国や自治体が津波対策の強化に取り組むのは当然といえる。
 しかし、ここ10カ月の地震防災の議論は「想定外」をなくすことに重点を置き、地震の想定規模の拡大と津波対策の強化のみに偏った印象も受ける。
 阪神大震災では、犠牲者6434人の死因の8割を、倒壊した建物の下敷きになっての圧死が占めた。修正された防災基本計画は、最大級の津波に対し「住民の避難を軸に対策を講じる」としたが、地震の揺れから生き残らなければ津波からも逃れられない。
 首都直下地震をはじめ、各地で想定される大規模地震でも、建物の耐震化が最重要かつ最優先の課題である。
 今世紀前半に起こる可能性が高いとされる南海トラフの巨大地震に関しては、大規模地震対策特別措置法(大震法)の抜本的改正にも大至急で取り組むべきだ。
 現行の大震法は東海地震が単独で起きると想定し、「直前予知の可能性がある」としている。3地震が同時または立て続けに起きる「連動型」への対応が規定されていない。「想定外」だった東日本大震災では、地震学の限界も露呈した。防災面で予知に依存した対策は、地震学の最新の知見が反映されておらず、問題が多い。
 南海トラフ巨大地震を最小被害で乗り切るには、予知の幻想から脱し、連動型に対応できる防災対策の構築が必須だ。
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安政三大地震と巨大地震の世紀

2011-09-01 08:48:55 | 地震
 本日9月1日は防災の日である。この日は、関東大震災の発生した日にちなんで設けられた。本年の防災の日は、特別の重みをもっている。言うまでもなく、3月11日に東日本大震災が起こったからである。
 東日本大震災は、天変地異の時代の序章に過ぎない。政府の中央防災会議は、今後30年以内に地震が起こる確率を、M7クラスの首都直下型地震が70%、またM8クラスの東海地震が87%、東南海地震が60%、南海地震が50%と発表している。
 人の一生の間には、こういう大災害にあうことは少ないから、多くの人は、そんなことが本当に起こるのだろうか、と素朴な疑問を持つ。だが、今から157~158年前、わが国は、東海・東南海・南海地震、そして首都直下型地震に見舞われた。
 時は幕末。1853年ペリーの黒船が来航した。動乱の時代が始まった。黒船来航の翌年、安政東海地震が発生した。同じ日に続いて、安政南海地震が発生。さらに翌年、安政江戸地震が発生した。これらを合わせて「安政三大地震」と呼ぶ。幕末の日本を襲った巨大連続地震だった。
 安政三大地震は、概略次のような災害だった。
最初の安政東海地震は、安政元年11月4日(1854年12月23日)に起こった。東南海地震の領域も本地震の震源域に含まれていた。震央は東海道沖。M8.4。震度7の地域が、甲斐甲西、駿河興津・相良、遠江袋井。地震の種類は海溝型地震、逆断層型。津波は最大10mとも13mとも言われる。死者は 2~3千人と見られる。
 第二の安政南海地震は、安政東海地震の約32時間後に起きた。安政東海地震とともに東海・東南海・南海連動型地震だった。近畿から四国、九州東岸に至る広い地域に甚大な被害をもたらした。震央は南海道沖。M8.4~8.5。震度6の地域が、紀伊新宮、阿波徳島、土佐高知。地震の種類は海溝型地震、逆断層型。津波は最大16.1m。死者数千人。この地震の2日後には豊予海峡でM7.4の地震が発生した。
 第三の安政江戸地震は、安政2年10月2日(1855年11月11日)に、関東地方南部で発生した。南関東直下地震に含まれ、震央は江戸直下。M6.9。震度6の地域は江戸。地震の種類は直下型地震。死者は4千人~1万人と推計される。この地震で水戸学の泰斗、藤田東湖は母親を救おうとして家内で圧死した。
 安政三大地震は、社会不安を醸成するとともに、幕府の経済基盤を弱め、明治維新の遠因となった。

 平成6年(1994)、地震学者の石橋克彦氏は、名著『大地動乱の時代』(岩波新書)を著して、迫り来る巨大地震について警告した。今回の東日本大震災は、石橋氏が早くから警告していた「大地動乱の時代」の到来を思わせる。
 産経新聞 平成23年8月3日の記事によると、産業技術総合研究所の寒川旭(さんかわ・あきら)氏は、地震考古学の研究によって、9世紀に起きた貞観地震や仁和地震などの地震が、阪神大震災以降の地震の状況と酷似していることを、明らかにした。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110803/dst11080301010000-n1.htm
 寒川氏は、ここ約30年の間に日本海中部地震(昭和58年、M7・7)、阪神大震災(M7・3)、新潟県中越沖地震(平成19年、M6・8)など各地でM7前後の地震があり、その後東日本大震災が発生した点が、平安時代の状況と共通しているという。また、首都圏直下型地震や東海・東南海・南海地震については、どれもフィリピン海プレートの影響下にあって関連が深く、過去の首都圏直下型や仁和地震に匹敵する3連動型地震が近い将来に発生する可能性が高いという見解を示す。そして「千年に一度の巨大地震の世紀になるかもしれない」と警鐘を鳴らしている。
 今後、いつかは来る巨大地震に耐え、日本が存続し、繁栄を維持していくためには、防災を強化し、災害に強い日本を創ることが急務である。拙稿「東日本大震災からの日本復興構想」で、藤井聡氏の提言を紹介した。藤井氏は、この課題を実行するための具体策を示している。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13l.htm
 藤井氏は、上記提言の後、著書『列島強靭化計画』(文春新書)を刊行した。天変地異が多発する時代において、日本はどう災害に備え、日本人はどう生き抜くべきか。本書はその手引きとなる。多くの人にお勧めしたい。