●現在の台湾
台北に政府を移した中華民国は、1950年(昭和25年)以降、大陸の統治権を失い、台湾島の他、中国福建省隣接の島嶼を実効支配している。
台湾本島の面積は、九州と同じくらいである。海洋国家であり、日本、フィリピン、中国と領海を接する。
人口は、2018年月現在で約2,357万人。日本の人口約1億2,700万人の18.56%。5分の1弱である。
政体は、中華民国の建国の父・孫文の三民主義(民族独立,民権伸長,民生安定)に基づく共和制の議会制民主主義国家である。中華民国憲法を持つ。総統を国家元首とする。蒋介石を初代総統とし、蔡英文総統は第7代である。孫文の五権分立論に基づいて、立法院・行政院・司法院・考試院・監察院を国家機関として持つ。立法院は一院制の立法機関で、日本の国会に当たる。また国会議員に当たるのが、立法委員である。経済体制は、自由主義的資本主義である。
国連脱退後、多くの国は台湾を国家として承認していない。また近年、承認国は減少傾向にあり、2020年1月現在、台湾を正式に中華民国という国家として承認している国は15ヶ国となっている。内訳は、大洋州の島嶼国4か国、欧州はバチカン市国1カ国、中南米・カリブの9カ国、アフリカ1カ国で、先進国や新興経済国は1カ国もない。日本は、台湾を中華民国とうう国家として承認しておらず、「台湾」と表記している。他の国家と合わせて数える時は「地域」としている。
だが、台湾は、国連脱退後も、以前の国交を結んでいた国々と実質的な外交関係を保ち、経済的・文化的な交流を活発に行っている。日本、米国、西欧諸国等には、実質的な大使館と言える台北経済文化代表処が置かれている。
●共産中国の台湾への姿勢
共産中国は、台湾を「中国の不可分の領土」だと一方的に主張している。そして、「一つの中国」を標榜し、台湾を独立国家と認めていない。
中国は、台湾の自主自立や独立を望む勢力に圧力をかけ、親中派、大陸との統一派を後押しし、戦わずして統一を勝ち取る作戦を展開している。だが、台湾では、1988年(昭和63年)に李登輝が総統になって以降、自主や独立を望む勢力が伸長している。李登輝に続いて、2000年(平成12年)に政権に就いた民進党の陳水扁は自主路線を取った。その後、2008年(平成20年)に政権に就いた国民党の馬英九は親中派で中国寄りとなったが、2016年(平成28年)に再び自主路線の民進党の蔡英文政権となり、自主や独立を望む勢力の支持を拡大している。
この間、陳水扁政権の時に、2005年(平成17年)3月、中国で「反国家分裂法」が制定された。同法は台湾が独立に動けば非平和的手段、すなわち武力を行使するとしている。台湾進攻に自国内の法的根拠を与えるものである。
「反国家分裂法」は、20世紀前半の世界を覆った帝国主義ないしファシズムの発想に近い思想によるものである。台湾は民主的な総統や議会を持ち、実質的に独立国として機能している。なにより台湾人の多数は「統一」を望んでいない。そもそも中華人民共和国が台湾を領有したことは一度もない。中華人民共和国は、清朝や中華民国の後にできた国である。それなのに中国が台湾を自国領だと主張するのは、覇権主義的・ファシズム的な領土拡張の野望によるものである。
1979年(昭和54年)1月1日、中国の全国人民代表大会常務委員会は、「台湾同胞に告げる書」を発表し、台湾政府に対して、中国本土との分裂局面を終わらせる平和統一を呼びかけた。その40年後となる2019年(平成31年)1月2日、中国の習近平国家主席は、「台湾同胞に告げる書」の40周年記念イベントで、「一国二制度」による台湾統一の考えを示した。
習主席は「祖国統一は必須であり必然だ」とした上で、一つの国家に異なる制度の存在を認める「一国二制度」の具体化に向けた政治対話を台湾側に迫った。制度の具体化にあたっては「台湾同胞の利益と感情に十分配慮する」とし、私有財産や宗教信仰の自由などは「十分に保障される」と主張した。さらに「一つの中国」原則を基礎として、「台湾の各党派や団体」との間で中台間の政治問題や平和統一のプロセスに関する対話を実施する意向を示した。
だが、その一方、習氏は「武器の使用は放棄せず、あらゆる必要な措置をとる選択肢を残す」と述べ、「外部勢力の干渉や台湾独立分子」に対しては武力行使を辞さない姿勢を改めて強調した。また、「台湾問題は中国の内政で、中国の核心的利益と民族感情に関わることであり、いかなる外部の干渉も許さない」と米国のトランプ政権を牽制した。
この習主席の演説の同じ日、台湾の蔡英文総統は、総統府で開かれた臨時記者会見において、「台湾は決して一国二制度を受け入れられない。台湾の絶対的多数の住民は一国二制度に断固として反対している。これは台湾のコンセンサスだ」と強く反発した。
中国と台湾の間では、1992年(平成4年)香港で「一つの中国」問題に関して当局者間で協議が行われ、一定の合意がされた。2000年(平成12年)4月に台湾の行政院大陸委員会主任委員・蘇起が、九二共識(きゅうにきょうしき)と名付けて公表した。だが、合意されたとう内容について、双方で解釈が異なる。台湾側は「双方とも『一つの中国』は堅持しつつ、その意味の解釈は各自で異なることを認める」(「一中各表」)という見解であり、中国側は「双方とも『一つの中国』を堅持する」(「一中原則」)という見解である。蔡英文総統は、2016年(平成28年)の就任以来、九二共識を受け入れない立場を取っている。今回の「一国二制度」への断固反対は、この基本姿勢に基づくものである。
次回に続く。
************* 著書のご案内 ****************
『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1
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台北に政府を移した中華民国は、1950年(昭和25年)以降、大陸の統治権を失い、台湾島の他、中国福建省隣接の島嶼を実効支配している。
台湾本島の面積は、九州と同じくらいである。海洋国家であり、日本、フィリピン、中国と領海を接する。
人口は、2018年月現在で約2,357万人。日本の人口約1億2,700万人の18.56%。5分の1弱である。
政体は、中華民国の建国の父・孫文の三民主義(民族独立,民権伸長,民生安定)に基づく共和制の議会制民主主義国家である。中華民国憲法を持つ。総統を国家元首とする。蒋介石を初代総統とし、蔡英文総統は第7代である。孫文の五権分立論に基づいて、立法院・行政院・司法院・考試院・監察院を国家機関として持つ。立法院は一院制の立法機関で、日本の国会に当たる。また国会議員に当たるのが、立法委員である。経済体制は、自由主義的資本主義である。
国連脱退後、多くの国は台湾を国家として承認していない。また近年、承認国は減少傾向にあり、2020年1月現在、台湾を正式に中華民国という国家として承認している国は15ヶ国となっている。内訳は、大洋州の島嶼国4か国、欧州はバチカン市国1カ国、中南米・カリブの9カ国、アフリカ1カ国で、先進国や新興経済国は1カ国もない。日本は、台湾を中華民国とうう国家として承認しておらず、「台湾」と表記している。他の国家と合わせて数える時は「地域」としている。
だが、台湾は、国連脱退後も、以前の国交を結んでいた国々と実質的な外交関係を保ち、経済的・文化的な交流を活発に行っている。日本、米国、西欧諸国等には、実質的な大使館と言える台北経済文化代表処が置かれている。
●共産中国の台湾への姿勢
共産中国は、台湾を「中国の不可分の領土」だと一方的に主張している。そして、「一つの中国」を標榜し、台湾を独立国家と認めていない。
中国は、台湾の自主自立や独立を望む勢力に圧力をかけ、親中派、大陸との統一派を後押しし、戦わずして統一を勝ち取る作戦を展開している。だが、台湾では、1988年(昭和63年)に李登輝が総統になって以降、自主や独立を望む勢力が伸長している。李登輝に続いて、2000年(平成12年)に政権に就いた民進党の陳水扁は自主路線を取った。その後、2008年(平成20年)に政権に就いた国民党の馬英九は親中派で中国寄りとなったが、2016年(平成28年)に再び自主路線の民進党の蔡英文政権となり、自主や独立を望む勢力の支持を拡大している。
この間、陳水扁政権の時に、2005年(平成17年)3月、中国で「反国家分裂法」が制定された。同法は台湾が独立に動けば非平和的手段、すなわち武力を行使するとしている。台湾進攻に自国内の法的根拠を与えるものである。
「反国家分裂法」は、20世紀前半の世界を覆った帝国主義ないしファシズムの発想に近い思想によるものである。台湾は民主的な総統や議会を持ち、実質的に独立国として機能している。なにより台湾人の多数は「統一」を望んでいない。そもそも中華人民共和国が台湾を領有したことは一度もない。中華人民共和国は、清朝や中華民国の後にできた国である。それなのに中国が台湾を自国領だと主張するのは、覇権主義的・ファシズム的な領土拡張の野望によるものである。
1979年(昭和54年)1月1日、中国の全国人民代表大会常務委員会は、「台湾同胞に告げる書」を発表し、台湾政府に対して、中国本土との分裂局面を終わらせる平和統一を呼びかけた。その40年後となる2019年(平成31年)1月2日、中国の習近平国家主席は、「台湾同胞に告げる書」の40周年記念イベントで、「一国二制度」による台湾統一の考えを示した。
習主席は「祖国統一は必須であり必然だ」とした上で、一つの国家に異なる制度の存在を認める「一国二制度」の具体化に向けた政治対話を台湾側に迫った。制度の具体化にあたっては「台湾同胞の利益と感情に十分配慮する」とし、私有財産や宗教信仰の自由などは「十分に保障される」と主張した。さらに「一つの中国」原則を基礎として、「台湾の各党派や団体」との間で中台間の政治問題や平和統一のプロセスに関する対話を実施する意向を示した。
だが、その一方、習氏は「武器の使用は放棄せず、あらゆる必要な措置をとる選択肢を残す」と述べ、「外部勢力の干渉や台湾独立分子」に対しては武力行使を辞さない姿勢を改めて強調した。また、「台湾問題は中国の内政で、中国の核心的利益と民族感情に関わることであり、いかなる外部の干渉も許さない」と米国のトランプ政権を牽制した。
この習主席の演説の同じ日、台湾の蔡英文総統は、総統府で開かれた臨時記者会見において、「台湾は決して一国二制度を受け入れられない。台湾の絶対的多数の住民は一国二制度に断固として反対している。これは台湾のコンセンサスだ」と強く反発した。
中国と台湾の間では、1992年(平成4年)香港で「一つの中国」問題に関して当局者間で協議が行われ、一定の合意がされた。2000年(平成12年)4月に台湾の行政院大陸委員会主任委員・蘇起が、九二共識(きゅうにきょうしき)と名付けて公表した。だが、合意されたとう内容について、双方で解釈が異なる。台湾側は「双方とも『一つの中国』は堅持しつつ、その意味の解釈は各自で異なることを認める」(「一中各表」)という見解であり、中国側は「双方とも『一つの中国』を堅持する」(「一中原則」)という見解である。蔡英文総統は、2016年(平成28年)の就任以来、九二共識を受け入れない立場を取っている。今回の「一国二制度」への断固反対は、この基本姿勢に基づくものである。
次回に続く。
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『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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