ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

Puffinさんの投資指針 その6

2015年09月03日 | Puffinさんの投資指針

【Ⅲ】長期保有を目的とした国内外の株式投資

(1)銘柄選びの指針

 ④  東証一部に指定替えが予想される銘柄:マザースやジャスダックなどの新興市場から東証一部に指定替えになると、沢山存在する投資信託のインデックスファンドが保有してポートフォリオに組み込むことが必須となるので、大量の買い注文が入るようになります。また、機関投資家が投資対象とすることが多くなります。

会社の信用度も大きく高くなるので、銀行融資などでの資金調達がし易くなり、更に事業規模拡大が可能になり、純利益も増える傾向にあります。従って、当然株価は上昇します。

東証一部への指定替え条件は、東証が公表しています http://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/transfers/basic/01.html 。この中で重要なのは、(1)株主数、(2)流通株式数、(3)時価総額、(4)利益の額、です。新興市場にいる会社は、一般に株主数が限られ時価総額も低いので、よく行われるのは、株式の➊「立売外分売」:金融商品取引所の立会時間外を利用して、大株主などの所有株を多くの投資家にあらかじめ決められた価格で証券会社を通して売却することをいいます。 多くの場合、株式を一度に売り出すことによる株価の値下がりを防ぎながら、個人株主数を増やしたり、流動性を高めるために行われます。 立会外分売の買付価格は分売実施日の前営業日夕方に発表される1本値で、多くの場合、分売実施日の前営業日終値よりディスカウントされています、や❷「公募・増資」:上場している企業が資金調達のために増資を行うことで、どこからお金を調達するのかというと、「公募」 つまり、不特定多数の投資家を対象に新たに株を発行します。証券会社を通じて応募することができます、❸「株式分割」:これは前述【Ⅲ】の(1)の②、などが行われるので、これに注目します。「株式分割」以外は、大体は発表と同時に、発行株式数が増えて一株当たりの資産価値が下がるため一旦株価が下がるので、一応「立売外分売」や「公募・増資」に申し込んでおいて、ザラ場(寄付から引けまでの間の取引時間のこと)でそれより安値が付けば、前述の申し込みはキャンセルしてそこで買っておくと良いです。

上記の行動をとる企業なら何でも良い、というわけではなく、最低2年間合計で5億円以上の経常利益を出しているか時価総額500億円以上あるがことが前提条件です。この条件に合致する企業は、後述の四季報オンラインで簡単に検索できます。

あと、新規上場から1年が経過すると、指定替えが認められることが日本独自の慣例となっており、最近IPOした企業で、企業業績が良く、条件を満たすためのこうした手順を取る企業が、特に狙い目です。

こうした銘柄は、始めに安値で買え、今後の大きな成長が期待できるのでもちろん長期保有に向きますが、投資資金に限りがあってそれを増やす過程の方の場合は、短期売買も可能です。一般に、機関投資家の買いが入るので株価は東証一部指定替え後に次第に上昇し、さらに指定替えされた翌月の最終営業日にインデックスファンドに組み入れの為の大量買いが大引けのタイミングで出されるので、その時が絶好の売り時になります。


⑤ 会社の業態や目指す方向性が、国策に合致している銘柄:例えば、今だと、車の自動運転関連銘柄や、IoT(モノのインターネットInternet of Things : IoT)、それから人口高齢化と主に増大する高齢者の医療費軽減を狙った「自宅介護」支援関連など。私が現在注目しているのは、7203トヨタ自動車、6902デンソー、7779CYBERDYNE、などです。7203トヨタ自動車は、国際オリンピック委員会(IOC)と最高位の「TOP」スポンサー契約を結んで、2024年までの10年間の五輪で独占して(平昌を除く)全世界にCMが 流せて、大会使用車をすべて提供できる事などで、先進技術をアピールする絶好の機会と判断し、20年をメドに開発を進める、燃料電池車「ミライ」の次期型 のほか、自動運転車などの投入を見据えている模様です。TOPスポンサーに、IOCは85年の制度開始以来、自動車メーカーを加えてきませんでしたが、その理由は自動車はどの国でも基幹産業であり、地域色が濃く出てしまうためといわれています。各国の組織委員会にとって重要なスポンサーになっていることなども理由。今回は「標準」とされてきた従来の300億円前後を大きく上回る2千億円程度(ギリシャの返済焦げ付き債務とほぼ同額)とみられる契約金がその慣習を打ち破った形です(以上は、日経新聞2015年3月14日付けよりの情報)。すでに実用実験が、米国の一般公道及び日本の東名高速道路(トヨタの東富士研究所があるので)を使って、レクサスGSを用いて行われている段階に入っています。6902デンソーはトヨタ系列で売り上げの筆頭にトヨタが上がっており、その自動運転関連の中核企業です。7779 CYBERDYNEは、今のところ上場来常に赤字計上でしたが、2016年でトントン、2017年は黒字化が見込まれています。装着することによって身体機能を拡張・増幅・補助することができる世界初のサイボーグ型ロボットHALを製造しており、下肢に障害がある方々や、脚力が弱くなった方々を対象にした治療機器とするのに加え、腰痛などの職業病により離職を余儀なくされている現在の介護職業界の為の介護支援用にも、移乗介助のような介助動作において腰部にかかる負荷を軽減することで、腰痛を引き起こすリスクを減らし、これまで通りの介護を楽に行うことができ、支えられる側だけでなく、支える側も支援します。これからの高齢化社会に適した事業形態です。また、現在の羽田空港では、エレベーターも自分で認識して上り下りして空港内をくまなく掃除して回る掃除ロボットや、重い荷物を持つ空港内職員支援のHAL型ロボットスーツも、既に実際に稼働しています。その内、映画のように「ターミネーター」なんかも作るかも(笑)。創業以来赤字の為、今はまだ株価は低位で推移していますが、2015年7月末に株式2分割が発表されており、更なる発展が期待できるので、長期的には「買い」だと思います。

現在の日本の国家戦略では、こうした業態の企業を支援することが国策となっています。投資格言に、「国策に売りなし」とあるように、「国策」となると、国家プロジェクトとして大量に政府の支援資金の投入や企業優遇策が取られるので、長期保有銘柄として最適です。

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中国経済統計の信頼性につい... | トップ | Puffinさんの投資指針 その7 »

コメントを投稿

Puffinさんの投資指針」カテゴリの最新記事